投稿日: Jun 14, 2024
7 割近い雇用主が AI スキルを持つ人材の雇用を優先事項に上げているものの、82% は必要な AI 人材の確保に苦労しており、国内における AI スキル不足が浮き彫りに
Amazon.com, Inc.(NASDAQ: AMZN)の関連会社である Amazon Web Services, Inc.(以下、AWS)は人工知能(AI)が本格的に活用されるようになると、日本の雇用主は AI スキルや専門知識を備えた労働者に対して 15% 高い給与を支払う意向であることを示す調査結果を発表しました。特に、IT 部門 (21%)、研究開発部門(20%)などで、大幅な昇給が見込まれることが明らかとなりました。
AI 活用の最新動向と職場におけるスキル習得のニーズを把握するため AWS は、 Access Partnership に委託して日本国内 1,600 人以上の就業中の社会人と雇用主 500 人を含むアジア太平洋地域 9 か国の約 15,000 人の労働者と約 5,000 人の雇用主を対象に調査を実施し、「加速する AI 活用、AI スキルに関するアジア太平洋地域の雇用主および労働者の意識調査」 と題するレポートを作成しました。
今回の調査によると、日本の労働者の 86% が、大幅な昇給だけでなく、仕事の効率化や知的好奇心、仕事の満足度の向上などにおいて、AI スキルはプラスの影響をもたらすと考えていることが明らかとなりました。また、世代を超えて国内の労働者の 62% が、キャリアアップを加速するために AI スキルの習得に関心を寄せており、Z 世代の 77%、ミレニアル世代の 72%、X 世代の 60%、さらに引退を考えるベビーブーム世代でも 54% の労働者が AI スキルを身に付けたいと考えており、AI スキル習得コースが提供されれば受講したいと回答しました。
また、AI スキルを備えた労働力によって、日本において非常に大きな生産性向上をもたらす可能性があることも明らかになっています。調査対象となった雇用主は、AI 技術が、反復作業の自動化(56%)、コミュニケーションの強化(50%)、ワークフローや成果の改善(47%)などを促進し、38% の生産性向上を予測しており、労働者も同様に AI によって 38% の生産性向上が可能だと確信しています。
日本の組織が本格的に AI を導入
日本では目を見張るようなペースで AI による変革が進んでいます。雇用主の 78% 以上が、2028 年までに AI 主導の組織になることを想定しています。また、80% の雇用主が AI 導入で最も恩恵を受けるのは財務部門だと考えており、IT 部門(79%)、ビジネスオペレーション部門(78%)、法務(75%)、セールス & マーケティング(73%)、研究開発(70%)、人事(65%)の各部門においても AI が大きな価値を生む原動力になると回答しています。
会話やストーリー、画像、動画、音楽など、さまざまな新しいコンテンツやアイデアを素早く創出することのできる生成 AI は、AI の中でも特に注目されていますが、日本ではすでにこの技術が職場を変えつつあります。今回の調査対象となった雇用主の 79%、労働者の 71% が、今後 5 年以内に仕事で生成 AI ツールを利用するようになると予想しています。その最大のメリットとして、雇用主の 52% が「イノベーションと創造性の促進」を挙げており、「タスクの自動化」(51%)、「ワークフローと成果の改善」(49%)が続いています。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 執行役員 サービス & テクノロジー統括本部 統括本部長 安田 俊彦は、次のように述べています。「生成 AI は、日本においてビジネスを変革する大きな機会をもたらすと期待されています。官民を問わず、エンタープライズからスタートアップまであらゆる企業組織において AI の活用が急速に進むなか、イノベーションを創出する環境を最大限に整え、生産性の向上を図っていくためには、AI スキルを備えた人材がさらに必要となります。今回の調査は、AI スキルが将来の労働力において不可欠であることを示しています。AWS はお客様が生成 AI を含む AI によって実現する将来に備えられるよう今後も支援を行っていきます」
日本における AI スキル不足の解消は必要不可欠
今回の調査によって、AI スキル不足が顕在化し、今後、日本が AI による生産性向上という利点を最大限に生かすためには、この課題の解消が必須であることが明らかになりました。日本企業の 68% が、AI スキルを持つ人材の雇用を優先事項として考えているものの、82% が必要な AI 人材の確保に苦労しています。本調査では、スキルトレーニングに対する認識不足も明らかになり、雇用主の 68% が AI 人材育成のためのプログラムをどのように実施すればよいかわからない、と回答しました。一方で、労働者の 66% も、AI スキルをどのようにキャリアアップに役立てればよいのかわからない、と回答しています。
さらに本調査は、日本の雇用主が AI のトレーニングプログラムを実施できるようにするために、また、労働者に対し、新たに得た AI スキルセットに見合う役割を提供できるようにするために産官学連携強化の必要性が強調されています。
Asia Internet Coalition(アジアインターネット連盟)マネージングディレクター のジェフ・ペイン(Jeff Paine)氏は、次のように述べています。「今回の調査レポートにより、AI にはビジネス変革を推進する力があることを再確認できました。企業組織が AI の力を生かして職場に変革をもたらしています。私たちの日常生活にもますます多くの技術が浸透するなか、各国政府は将来を見据えた賢明な政策を立案し、私たちが共有する未来を形成するうえで AI が果たす役割に好影響をもたらすよう、進捗をうまく舵取りをしていかなければならないと考えます」
日本でデジタルスキルのトレーニングを加速
AWS は 2017 年以降、日本国内で 70 万人以上にクラウドスキルトレーニングを提供しています。しかし、AI のようなクラウド対応テクノロジーの導入が急速に進んだことで、AI 主導の将来においても組織がイノベーションと成長を遂げられるよう、大規模なスケールで労働者のスキルアップを図ることがこれまで以上に求められるようになっています。
Amazon は 2023 年 11 月に、2025 年までに世界中で 2,900 万人に無償のクラウドスキルトレーニングを提供するという AWS のコミットメントを補完する新たな取り組み「AI Ready」を開始しました。「AI Ready」を通じて、AWS は現在、技術職と非技術職のいずれにも対応する生成 AI を含む AI 関連の無料のトレーニングコースを提供し、誰もが AI スキルを習得できるようになっています。これは、AWS のデジタルラーニングセンターである AWS Skill Builder と AWS Educate を通じて提供される AI や機械学習、生成 AI に関する 100 以上のコースや学習リソースに補完するもので、初心者から上級者まで対応しています。すでに生成 AI を含む AI 関連の 52 タイトルを超える教材が日本語で制作されており、AWS Skill Builder にて無料で受講ができます。AWS の年次イベント「re:Invent 2023」 において AWS は、業務用に設計され、ビジネスに合わせてカスタマイズできる生成 AI 搭載アシスタント Amazon Q をはじめとする生成 AI の新たなイノベーションを発表しています。
AWS の最新調査レポート「加速する AI 活用:AI スキルに関するアジア太平洋地域の雇用主および労働者の意識調査」は、こちらよりダウンロードが可能です。