Amazon Aurora 機械学習 (ML) では、使い慣れた SQL プログラミング言語を使用して機械学習ベースの予測をアプリケーションに追加できるため、別のツールの学習も、機械学習の経験も必要もありません。カスタム統合を構築したり、データを移動したりすることなく、Aurora と AWS 機械学習サービスをシンプルかつ最適化された安全な方法で統合できます。ML クエリを実行すると、Aurora は生成 AI を含むさまざまな機械学習アルゴリズムに関しては Amazon SageMaker または Amazon Bedrock を呼び出し、感情分析については Amazon Comprehend を呼び出します。そのため、アプリケーションでこれらのサービスを直接呼び出す必要はありません。
そのため、Aurora の機械学習は、不正行為の検知、広告ターゲティング、テキスト要約、製品のレコメンデーションなど、低レイテンシーでリアルタイムのユースケースに適しています。例えば、顧客プロファイル、ショッピング履歴、および製品カタログデータを SageMaker モデルに渡し、製品のレコメンデーションをクエリ結果として返す SQL クエリを Aurora で記述することで、製品レコメンデーションシステムを構築できます。 モデルからリアルタイムでレコメンデーションを受け取ることも、モデルを定期的に呼び出すことで常に最新の予測列をデータベースに保存することもできます。
Aurora ML は、Aurora に保存されている知識を大規模言語モデル (LLM) に渡して、 Retrieval Augmented Generation (RAG) の一部としてモデルレスポンスを生成するための便利で安全な方法でもあります。カスタムコードを記述する必要はありません。たとえば、Aurora ML を使用してビジネスデータをプロンプトの一部として Amazon Bedrock に渡すことで、基盤モデルの知識を増やし、データを利用しているユーザーに自然言語による回答を提供できます。これにより、特定の製品や価格データを含む質問に回答できるチャットボットを構築できます。
特徴
使い慣れた SQL プログラミング言語
Aurora では機械学習モデルを SQL 関数として公開しているため、標準 SQL を使用して機械学習モデルを呼び出し、データを渡し、予測またはテキストをクエリ結果として返すアプリケーションを構築できます。習得に時間がかかることも、開発が複雑になることもなく、新しいプログラミング言語やツールを学習する必要もありません。
機械学習アルゴリズムの幅広い選択肢
SageMaker などでトレーニングしたモデル、Amazon Bedrock が提供するモデル、AWS パートナーが AWS Marketplace で提供するモデルなど、あらゆる機械学習モデルを使用して予測を実行します。また、Amazon Comprehend は感情分析にも使用でき、トレーニングする必要はありません。
パフォーマンス
Aurora は SageMaker、Amazon Bedrock、Amazon Comprehend と直接統合できるため、ネットワークの遅延が軽減されます。機械学習のトレーニングと推論は SageMaker、Amazon Bedrock、Amazon Comprehend で行われるため、Aurora のパフォーマンスに影響はありません。 Aurora と各 AWS 機械学習サービスの統合により、レイテンシーとスループットがさらに最適化され、スループットが最大 100 倍向上します。機械学習モデルはデータベースやアプリケーションとは別にデプロイされるため、それぞれが独立してスケールアップまたはスケールアウトできます。
セキュリティとガバナンス
Aurora、SageMaker、Amazon Bedrock、Amazon Comprehend の統合により、データセキュリティとガバナンスがデータベース内で確実に維持されます。Aurora と各機械学習サービスへのアクセスは、AWS Identity and Access Management (IAM) と Aurora データベース内で制御できます。 この統合では、サービス間でエンドツーエンドの暗号化が使用され、データがデータベースの外部に保持されることはありません。
テキスト、ビデオ、画像のサポート
Amazon Aurora PostgreSQL 互換エディションは pgvector 拡張機能をサポートしており、テキスト、ビデオ、画像からの機械学習モデルの埋め込みを保存し、セマンティックな類似性検索を効率的に実行できます。Aurora ML は、これらの埋め込みを生成する SageMaker または Amazon Bedrock モデルを呼び出すこともできるので、データベース内の埋め込みを継続的に更新できます。
ユースケース
製品のレコメンデーション
Aurora 機械学習統合を使用すると、顧客のプロフィール、ショッピング履歴、クリックストリームデータに基づいてパーソナライズされた製品購入のレコメンデーションを行う製品レコメンデーションシステムを構築できます。Aurora では、Linear Learner(線形学習) や XGBoost などの機械学習モデルを呼び出し、顧客プロファイル、ショッピング履歴、製品カタログデータをこれらのモデルに渡して、製品レコメンデーションをクエリ結果として取得する SQL クエリを作成できます。その後、クエリ結果をアプリケーションで使用して、顧客のショッピングエクスペリエンスを向上させることができます。
感情分析
Aurora 機械学習統合により、コールセンター分析やカスタマーサポートチケット処理などのカスタマーサービスのアプリケーションを強化できます。Aurora で SQL クエリを記述し、オンラインフィードバックフォーム、サポートチケット、製品レビューなどの顧客インタラクションデータを Comprehend に渡し、このデータを分析して顧客の感情を判断し、顧客の感情をクエリ結果として返すことができます。その後、クエリ結果をアプリケーションで使用して、顧客との関係を改善できます。
不正検出
Aurora は、クレジットカードや保険金請求処理などのアプリケーションで不正行為の検出と防止に役立ちます。Aurora では、K-means クラスタリングやランダムカットフォレストなどの機械学習モデルを呼び出す SQL クエリを記述し、顧客プロファイル、トランザクション、マーチャント情報、ポリシーの詳細、請求データをこれらのモデルに渡し、さらに確認や分析が必要なトランザクションをクエリ結果として取得できます。その後、クエリ結果をアプリケーションで使用して、不正行為の特定と軽減を行うことができます。
カスタマーサービス
お客様との対話のテキストトランスクリプトを分析して成功のパターンを把握し、次善のアクションを予測することで、販売とカスタマーサービスを強化できます。pgvector 拡張機能を使用すると、テキストからの埋め込みを保存して、類似性検索クエリに使用して、販売や特定の状況でのサポートケースの解決に最適なアクションを特定することができます。Aurora ML を使用すると、これらの埋め込みを生成するモデルを呼び出して最新の状態に保つことができるため、最適なカスタマーサービスの推奨事項をリアルタイムで迅速に照会できます。
リソース
料金
- Aurora と AWS の機械学習サービスの統合には追加料金はかかりません。 お支払いいただくのは、基盤となる Sagemaker、Amazon Bedrock、または Amazon Comprehend サービスの料金のみです。
- Amazon Comprehend の料金は、処理されるテキストの量に基づいて決定されます。料金を最小限に抑えるには、データベースクエリのサイズに注意してください。
開始方法
Aurora ML と SageMaker および Amazon Comprehend の統合は、Amazon Aurora MySQL 互換バージョン 5.7 以上と Aurora PostgreSQL 互換バージョン 11 以降で利用できます。Aurora ML と Amazon Bedrock の統合は、Aurora PostgreSQL バージョン 14 以上と Aurora MySQL 3.06 以降で利用できます。 Aurora の最新バージョンにアップグレードし、Amazon RDS マネジメントコンソールでお使いの Aurora データベースが AWS 機械学習サービスにアクセスできるようにするだけで開始することができます。詳細については「Amazon Aurora のドキュメント」をご覧ください。