OSI モデルとは何ですか?

Open Systems Interconnection (OSI) モデルは、ネットワーク通信機能を 7 つの層に分割する概念的なフレームワークです。ネットワーク経由でのデータ送信は複雑です。なぜなら、さまざまなハードウェアおよびソフトウェアテクノロジーが地理的および政治的境界を越えて連携して機能する必要があるからです。OSI データモデルは、コンピュータネットワーキングのために汎用的な言語を提供するため、標準プロトコルや通信ルールを使用したさまざまなテクノロジー間での通信が可能となります。特定の層のすべてのテクノロジーは、ネットワーキングで役立つように特定の機能を提供し、特定の機能を実行する必要があります。上位層のテクノロジーは、基盤となる実装の詳細を考慮することなく下位レベルのテクノロジーを利用できるため、抽象化の恩恵を受けます。

OSI モデルが重要なのはなぜですか?

Open Systems Interconnection (OSI) モデルの層は、ソフトウェアコンポーネントとハードウェアコンポーネントの両方にわたって、あらゆる種類のネットワーク通信をカプセル化します。このモデルは、2 つのスタンドアロンシステムが、現在のオペレーション層に基づき、標準化されたインターフェイスまたはプロトコル経由で通信できるように設計されました。

OSI モデルのメリットを次に示します。

複雑なシステムについての共通の理解

エンジニアは OSI モデルを使用して、複雑なネットワークシステムアーキテクチャを整理およびモデル化できます。主な機能に応じて、各システムコンポーネントのオペレーション層を分離できます。抽象化によってシステムをより小さく管理しやすい部分に分解できるため、システムを全体として概念化することがより容易になります。

より迅速な研究開発

OSI 参照モデルを使用すると、エンジニアは自分の仕事をより良く理解できます。これらのエンジニアは、相互に通信する必要がある新しいネットワークシステムを作成する際に、どのテクノロジー層 (1 つまたは複数) を開発しているのかを認識しています。エンジニアは、ネットワーク化されたシステムを開発し、一連の反復可能なプロセスとプロトコルを活用できます。 

柔軟な標準化

OSI モデルは、レベル間で使用するプロトコルを指定するのではなく、プロトコルが実行するタスクを指定します。これはネットワーク通信の開発を標準化するため、システムに関する事前知識がなくても、非常に複雑なシステムを迅速に理解、構築、分解できるようになります。また、詳細が抽象化されるため、エンジニアはモデルのあらゆる側面を理解する必要がありません。最新のアプリケーションでは、システムの設計と開発を簡素化するために、下位レベルのネットワーキングとプロトコルが抽象化されています。次の図は、最新のアプリケーション開発で OSI モデルがどのように使用されているかを示しています。

OSI モデルの 7 つの層とは何ですか?

Open Systems Interconnection (OSI) モデルは、1970 年代後半に International Organization for Standardization などによって開発されました。1984 年に最初の形式で ISO 7498 として発行され、現在のバージョンは ISO/IEC 7498-1:1994 です。モデルの 7 つの層を次に示します。

物理層

物理層とは、物理的な通信媒体と、その媒体を介してデータを送信するためのテクノロジーをいいます。データ通信の核心は、光ファイバーケーブル、銅線ケーブル、空気などのさまざまな物理チャネルを介したデジタル信号と電子信号の転送です。物理層には、Bluetooth、NFC、データ伝送速度など、チャネルに密接に関連するテクノロジーやメトリクスの標準が含まれます。

データリンク層

データリンク層とは、物理層が既に存在するネットワークを介して 2 台のマシンを接続するために使用されるテクノロジーをいいます。データパケットにカプセル化されたデジタル信号であるデータフレームを管理します。データのフロー制御とエラー制御は、多くの場合、データリンク層の主要な焦点です。イーサネットは、このレベルの標準の一例です。データリンク層は、多くの場合、メディアアクセス制御 (MAC) 層と論理リンク制御 (LLC) 層の 2 つのサブ層に分割されます。 

ネットワーク層

ネットワーク層は、ノードやマシンの分散ネットワークまたは複数の接続されたネットワーク全体でのルーティング、転送、アドレス指定などの概念に関係します。ネットワーク層はフロー制御も管理する場合があります。インターネット全体では、Internet Protocol v4 (IPv4) と IPv6 が主要なネットワーク層プロトコルとして使用されます。

トランスポート層

トランスポート層の主な焦点は、データパケットが損失やエラーなく正しい順序で到達できるようにすること、または必要に応じてシームレスに回復できるようにすることにあります。フロー制御は、エラー制御とともにトランスポート層で焦点となることがよくあります。この層で一般的に使用されるプロトコルには、ほぼロスレスの接続ベースのプロトコルである伝送制御プロトコル (TCP) と、損失の多いコネクションレスのプロトコルであるユーザーデータグラムプロトコル (UDP) が含まれます。TCP はすべてのデータをそのままにしておく必要がある場合 (ファイル共有など) に一般的に使用され、UDP はすべてのパケットを保持することがそれほど重要ではない場合 (動画ストリーミングなど) に使用されます。

セッション層

セッション層は、セッション内の 2 つの別個のアプリケーション間のネットワーク調整を行います。セッションは、1 対 1 のアプリケーション接続の開始と終了、および同期の競合を管理します。ネットワークファイルシステム (NFS) とサーバーメッセージブロック (SMB) は、セッション層で一般的に使用されるプロトコルです。

プレゼンテーション層

プレゼンテーション層は主に、アプリケーションが送信および消費するデータ自体の構文に関係します。例えば、Hypertext Markup Language (HTML)JavaScipt Object Notation (JSON)、Comma Separated Values (CSV) はすべて、プレゼンテーション層でデータの構造を記述するためのモデリング言語です。 

アプリケーション層

アプリケーション層は、特定の種類のアプリケーション自体と、その標準化された通信方法に関係します。例えば、ブラウザは HyperText Transfer Protocol Secure (HTTPS) を使用して通信でき、HTTP クライアントと E メールクライアントは POP3 (Post Office Protocol version 3) と SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) を使用して通信できます。

OSI モデルを使用するすべてのシステムがすべての層を実装しているわけではありません。

OSI モデルでは通信はどのように行われますか?

Open Systems Interconnection (OSI) モデルの層は、アプリケーションや基盤となるシステムの複雑さにかかわらず、アプリケーションが、別のデバイス上の別のアプリケーションとネットワーク経由で通信できるように設計されています。これを実現するには、さまざまな標準およびプロトコルを使用して、上下の層と通信します。各層は独立しており、その上下の層と通信するためのインターフェイスのみを認識します。 

これらすべての層とプロトコルを連鎖させることにより、ある高レベルのアプリケーションから別の高レベルのアプリケーションに複雑なデータ通信を送信できます。プロセスは次のように機能します。

  1. 送信者のアプリケーション層は、その下の層にデータ通信を渡します。
  2. 各層は、データを渡す前に独自のヘッダーとアドレスをデータに追加します。 
  3. データ通信は、最終的に物理的な媒体を通じて送信されるまで、層を下っていきます。
  4. メディアの他端では、各層がそのレベルの関連ヘッダーに従ってデータを処理します。 
  5. 受信側では、データは層を上方向に移動し、他端のアプリケーションが受信するまで徐々に展開されます。

OSI モデルに代わるモデルにはどのようなものがありますか?

これまでは、Sequenced Packet Exchange/Internet Packet Exchange (SPX/IPX) や Network Basic Input Output System (NetBIOS) など、さまざまなネットワーキングモデルが使用されていました。現在、Open Systems Interconnection (OSI) モデルに代わる主なモデルは TCP/IP モデルです。

TCP/IP モデル

TCP/IP モデルは、次の 5 つの異なる層で構成されます。

  • 物理層
  • データリンク層
  • ネットワーク層
  • トランスポート層
  • アプリケーション層

物理層、ネットワーク層、アプリケーション層などの層は OSI モデルに直接マッピングされているように見えますが、実際はそうではありません。代わりに、TCP/IP モデルは、インターネットの構造とプロトコルに極めて正確にマッピングします。

OSI モデルは、教育目的で全体的な観点からネットワーキングがどのように動作するかを説明するための、依然として人気のあるネットワーキングモデルとなっています。ただし、実践的には TCP/IP モデルがより一般的に使用されるようになっています。

独自のプロトコルとモデルに関する注意点

すべてのインターネットベースのシステムおよびアプリケーションが TCP/IP モデルまたは OSI モデルに従っているわけではないことに注意することが重要です。同様に、すべてのオフラインベースのネットワークシステムやアプリケーションが OSI モデルや他のモデルを使用しているわけでもありません。

OSI モデルと TCP/IP モデルは両方ともオープンスタンダードです。これらは誰でも使用できるように設計されており、さらには特定の要件を満たすために構築することもできます。

組織はまた、クローズドソースで、かつ、システム内でのみ使用する独自の内部標準 (プロトコルやモデルなど) を設計します。場合によっては、相互運用性の実現やさらなるコミュニティ開発のために、その後にそれらを一般公開することもあります。当初は Amazon Web Services (AWS) 独自のプロトコルだったが、現在はオープンソースとなっている TLS プロトコルである s2n-tls を一例として挙げることができます。

AWS はコンピュータネットワーキングの要件をどのように満たすことができますか?

AWS は、組織がネットワーク化されたシステムとアプリケーションをより少ないフリクションで設計、デプロイ、スケールできるようにサポートします。 

当社は、AWS ネットワークとコンテンツ配信の堅牢なスイートを提供しています。これらは、ネットワーク運用のあらゆるレベルにわたって、内部アプリケーションおよびサービスを補完し、これらと統合するように設計されています。次に例を示します。

  • AWS App Mesh は、すべてのサービス向けに安全なアプリケーションレベルのネットワーキングを提供し、通信のモニタリングおよびコントロール機能を備えています
  • Amazon CloudFront は、優れたパフォーマンス、セキュリティ、デベロッパーの利便性を実現するために構築された、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) サービスです
  • AWS Direct Connect は、組織から AWS のリソースに対する、インターネットを経由しない直接接続を提供します
  • Elastic Load Balancing (ELB) は、着信ネットワークトラフィックを AWS のターゲット全体に分散して、アプリケーションのスケーラビリティを向上させます

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