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【開催報告】最新のサイバー攻撃の現状と Web セキュリティ対策 (WAF/DDoS 対策) 実例セミナー (2023年版)
2023/08/10 に「最新のサイバー攻撃の現状と Web セキュリティ対策 (WAF/DDoS対策) 実例セミナー」を開催いたしました。このセミナーでは最新のサイバー攻撃の現状および AWS が提供する Web セキュリティ対策サービスを AWS からご紹介し、AWS のサービスを組み合わせて、どのように Web セキュリティ対策を講じたかをお客様よりご説明いただきました。
それではここから当日のセッション内容について簡単にご紹介していきます。
2023第一四半期サイバー攻撃動向アップデート : 動画
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 Edge Services ソリューションアーキテクト マネージャー 中谷 喜久
最初のセッションでは、前半は AWS Threat Intelligence について説明をしました。インターネットでは DDoS 攻撃、アプリケーションの脆弱性を突いた攻撃や悪質なボットによる攻撃等のリスクにさらされています。AWS では Threat Intelligence チーム(脅威分析チーム)と呼ばれる部隊がインフラを安心してご利用いただくために疑わしい IP や C2/Command and Control への通信経路など様々な脅威となる情報を収集し対応を行っています。これらで得られた知見を元に AWS ウェブアプリケーションファイアウォール (AWS WAF) , AWS Shield , Amazon GuardDuty などの AWS のサービスにフィードバックを行っていることをご紹介しました。また後半では、AWS Edge Services / Perimeter Protection と DDoS トレンドについて説明しました。AWS が観測したデータによると昨年に引き続き DDoS は大きな脅威であり、アプリケーションレイヤーへの DDoS 攻撃は 48% を占め、年間の DDoS 発生件数は 40% 増と増加傾向であり、2023年 Q1 での帯域とパケットにおける攻撃の最大値は 996 Gbps(bits)/480 Mpps(packets per second) であったことを紹介しました。最後に AWS Shield Global Threat Dashboard を見ることで Mpps、Gbps、Krps の値を見ながら DDoS のトレンドが確認できることをご紹介しました。
ウェブアプリケーションのセキュリティ向上に貢献する Amazon CloudFront と AWS WAF の最新機能のご紹介 : 動画
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 Edge Services ソリューションアーキテクト 岡 豊
続いてのセッションでは 、エッジネットワークサービスである Amazon CloudFront と AWS WAF を活用した Web セキュリティ対策をご紹介しました。前のセッションでもお伝えしましたが、DDoS 攻撃、アプリケーションの脆弱性を突いた攻撃や悪質なボットによる攻撃等は年々増加する傾向にあります。
まず最初に Amazon CloudFront できる対策として、
- HTTP メソッドやプロトコルの制限、アプリケーション特有のヘッダーを削除する CloudFront の設定
- オリジン直接の攻撃からの保護方法として、オリジンアクセスコントロール (OAC) および CloudFront マネージドプレフィックスリスト
さらに AWS WAF を CloudFront にアタッチすることで、
- 事前定義済みのルールセットであるマネージドルールやカスタムルールの作成
- 不正ログイン対策として Account Takeover Prevention (ATP)
- Bot 対策として AWS WAF Bot Control
- DDoS 対策としてのレートベースルール
等、様々な機能が利用できることをご説明しました。また、
- 不正アカウント対策をする Account Creation Fraud Prevention (ACFP)
- 検査するボディサイズの拡張
等の AWS WAF の最新アップデートもご紹介しました。これらの機能を活用することでコスト効率を高め、セキュリティレベルを向上できることをお伝えしております。
以降のセッションでは Web セキュリティ対策についてお客様が取り組まれた事例をご紹介いただきました。
BookLiveにおけるWebセキュリティ対策 ~安心して読書を楽しめる環境を守る~ : 動画
株式会社BookLive 技術・開発本部システム開発部 SRE チーム マネージャー 日向野 達郎 様
株式会社BookLive 様は「ブックライブ」をはじめとした電子書籍ストアを運営するストア事業を含む 4 つの事業を運営されており、お客様がいつでも安心して読書を楽しめる環境を守るために、サイバー攻撃に対して素早く・柔軟に対応するための様々な取り組みを行われています。本セッションではこの取り組みについてご紹介いただきました。2016 年に AWS 完全移行が完了し安定稼働した状態でしたが、セキュリティに関して「知名度向上に伴ってサイバー攻撃を受けるリスクが高くなる」、「悪性 Bot による WEB サーバの負荷増やエラーレートの増加」という課題をお持ちでした。
この課題解決のために、
- AWS WAF+WafCharm によるサイバー攻撃に対して柔軟かつ素早く対策する環境の構築
- AWS Shield Advanced による、DDoS 攻撃の緩和
- AWS WAF のレートベースルールによって、Bot による過剰なリクエストの抑制
を実現され、セキュリティ対策を行われています。更に Bot 対策では、将来的なリスク低減のために、IP アドレス以外を条件としたレートベースルールや AWS WAF Bot Control の導入をご検討されています。最後に、「 BookLive ではお客様がいつでも安心して読書を楽しめる環境を守るために、これからも積極的にセキュリティ対策のアップデートを実施していきます。」とのコメントを頂きました。
ココナラが膨大なセキュリティログの可視化と分析を実現するまで : 動画
株式会社ココナラ様は事業として「知識・スキル・経験」を売り買いできるスキルマーケットを中心に 4 つのプロダクトを展開されており、現在はココナラビジネスの領域が伸びている状況で会員数も右肩上がりになっています。2021 年 9 月に立ち上げた CSIRT は 2 名の組織(2023 年 8 月時点)で、セキュリティ施策の企画からモニタリング運用まで担当されています。そのため、優先度の高い施策を効率的に遂行することが不可欠となっています。本セッションではセキュリティログの分析の課題や勘所をご説明いただきました。AWS WAF や Elastic Load Balancing(ELB)のセキュリティログ分析には難しい点が 2 つあります。1 つ目はそのままのログ形式では読みづらく他のログとの相関関係が判断しにくいという点、2 つ目はログの量が膨大であり人力で確認することが非現実的という点です。その解決策としてアクセス状況や攻撃・インシデントの可視化・予測を行うことを目的として SIEM on Amazon OpenSearch Service を導入されました。結果、可視化 → 分析 → 改善とサイクルを回せるようになり、累計 1000 万回以上の悪意のあるアクセスをブロックし、正規ユーザーのアクセスを守ることができています。最後に、一度導入して終わりではなく運用後の改善やリアクティブではなくプロアクティブな仕掛け、セキュリティ強化を進めていくために経営層にセキュリティ対策の必要性・効果を理解してもらうことが重要であるとご説明いただきました。
おわりに
本ブログでは 2023/08/10 に開催された「最新のサイバー攻撃の現状と Web セキュリティ対策 (WAF/DDoS 対策) 実例セミナー」の内容についてご紹介しました。AWS からの最新情報発信だけでなく、お客様から事例をご紹介いただいた非常に学びの多いセミナーでした。最後に今回セミナーに参加いただいた皆さま誠にありがとうございました。引き続きの皆様に役立つ情報を、セミナーやブログで発信していきます。どうぞよろしくお願い致します。
このブログはソリューションアーキテクトの長谷川純也が担当しました。