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AWS公共部門パートナー各社向け:5つのトレンドと5つの支援策
今回のブログでは、AWS 公共部門グローバルパートナーおよびプログラム・バイスプレジデント Sandy Carter による投稿をもとに、AWSジャパン・パブリックセクターより、「AWS公共部門パートナー」各社が今後数年間で注力すべき5つの分野と、AWSが各社のビジネスを成長させるための支援策を紹介します。──── 日本の政府機関・公共機関(自治体・独法・教育・医療/ヘルスケア・NPO)のお客様向けにも、「AWS公共部門パートナー」のソリューションを広く紹介することで各機関のDXを推進していきたいと、AWSでは考えています。
今回のブログは、AWS Partner Summit 2021の開催に併せまして、AWSジャパン・パブリックセクターより同時公開する3本のブログのうちの、1本となります。
5つのトレンド:拡大するAWS 公共部門のパートナービジネス
【1】AWSは公共部門パートナー各社の成功を支援
2020 年、AWS 公共部門パートナープログラムに参加している企業数は前年比で 45% の増加が見られ、現在 1,600社を超えるパートナーが世界中に存在します。
パートナーが AWS への投資を躊躇せずに最大化できるように、AWS は、新しいパートナーのオンボーディングをサポートするための利用しやすい充実した「コンシェルジュ・プログラム」を提供したり、既存のパートナー向けにより高度なプログラムおよび認定を提供したりすることに重点を置いています。
xFusion Technologies社 は、AWS パートナーになる利点を大いに活用した組織の好例です。同社の 10 か月という準備期間は、コンシェルジュ・プログラムを活用する以前の未登録だったパートナー企業にとっては標準的な長さですが、セルフサービスで開発を続けるパートナーが費やす時間の半分以下にすぎません。同社のライトハウス・カスタマー (代表的な、早期導入顧客) には、「カリフォルニア学生援助委員会 (California Student Aid Commission; CSAC)」 などが含まれます。
xFusion 社は、2021 年前半の内に AWS パートナーネットワークの「アドバンスト・ティア」にアップグレードすることを目指しています。同社は既に AWS 公共部門パートナープログラムと AWS パートナートランスフォーメーションプログラム (PTP) を活用しており、PTP の 「100 日プラン」に取り組みながら 2021年10 月中旬にワークショップを完了する予定です。
公共部門の各組織・各機関にとって、クラウドジャーニーを開始したばかりであっても、あるいは行政サービスの変革や進化に役立つ次世代テクノロジーを模索中であっても、AWS および公共部門パートナーとの連携は、かつてないほど簡単になっています。
【2】デジタル・ワークプレイス・ソリューションの加速
昨今のパンデミックにより、Amazon Connect、Amazon AppStream 2.0、Amazon WorkSpaces といった AWS のサービスを使用したデジタルワークプレイスソリューションへのニーズが、公共部門においてさらに高まっています。
T-Systems 社は Amazon Connect を導入し、カタルーニャ州政府の職業安定所がより優れた市民サービスをより低コストで、数か月ではなくわずか「数分」のうちに提供できるようサポートしました。
カタルーニャ州政府がパンデミックの発生によりオフィスの閉鎖を決定した際、T-Systems はオムニチャネルのコンタクトセンターを設置して、400 人のエージェント(=職員)の在宅勤務を実現し、1 日 16,000 件の市民からの問い合わせに対応することを可能にしました。
パンデミックに代表されるような、通常のビジネスサイクルや想定外の事象に応じてエージェントが連日柔軟に在宅で対応できる環境を実現し、エージェントが顧客である市民とのやり取りに費やした時間に対してのみ費用を支払うことにより、カタルーニャ州政府はコンタクトセンターをあらゆる規模にスケールアップ / スケールダウンできるようになりました。
【3】AWS での運用権限(=Authority to Operate)の付与
米国連邦政府には FedRAMP (Federal Risk and Authorization Management Program) と呼ばれるプロセスがあり、FedRAMP 監査に合格したソリューションには運用権限 (ATO; Authority to Operate) が付与されます。
Authority to Operate (ATO) on AWS (AWS での運用権限) プログラムが獲得した FedRAMP 認可[= authorizations ]の数 (2020年11月現在合計 129 のソリューション) は、Azure と GCP の合計よりも3倍多くなっています。
FBI (連邦捜査局)は人的資本管理 (Human Capital Management;HCM) システムの実稼働環境を AWS Secret Cloud に移行することに挑み、この新しいリージョンで運用権限を付与された最初の連邦機関となりました。
ATO on AWS プログラムを利用すると、時間とコストを節約しながら FedRAMP 認可を受けられる状態に到達できます。その仕組みを上記リンク先よりご覧ください。
【4】パートナー・トランスフォーメーション・プログラムの活用
公共部門パートナーが AWS のスキルと専門知識を基礎から学べるよう、実績のある AWS パートナー・トランスフォーメーション・プログラム (PTP) が活用されています。「PTP」 は当社のパートナートレーニングおよびセールス支援プログラムで、同プログラムを修了した AWS パートナーは、参加していないパートナーと比較して収益が平均 25% 増加しています。
iPSB Technology 社は、PTP プログラムを活用した経験豊富な AWS パートナーです。iPSB (マレーシア) のセールス担当バイスプレジデントである Mardhiah Nasir 氏は、AWS パートナー・トランスフォーメーション・プログラムが「まさに私たちが取り組むべきものを明らかにし、特定してくれましたが、それはわれわれが最初に考えていたよりも詳細な点までをも充分に扱ってくれているプログラムでした」──と語っています。
PTP はこれまでに、 450 を超える AWS パートナーのクラウドジャーニー (約 100 日で達成) を促進してきました。
DLT Solutions 社にとって、PTP は同社の立ち位置を確認し、AWS クラウドビジネスによって今後目指すべき成長の方向性を見極めるのに役立ちました。過去数年間にわたる大幅な成長に伴い、DLT社 は顧客の要求を満たすために戦略的に進化する方法を検討する必要がありました。同社は効率性を高めて顧客に大きな成果をもたらすため、人材、プロセス、テクノロジー、ツールに多大な投資を行いました。
【5】小規模パートナーのThink Bigを支援する
ここからは、「小規模パートナーのThink Bigを支援する (Think Big for Small Businesses)」と名付けられたプログラムをご紹介していきます。中小企業 (Small-to-Medium sized businesses (SMB) /enterprises (SME)) 向けに立案された、非常に興味をかき立てられるプログラムです。その焦点は多様なビジネスとすべての SMB パートナーにあります。
このパイロット版プログラムでは、AWS パートナーネットワークのレジスタードおよびセレクト・ティアに属する公共部門 SMB/SME が、パートナーの事業規模に応じた一連の要件を満たすことを通じて、セレクトおよびアドバンストティアの特典を一時的に利用できます。つまり実質的には、APN 要件を満たすために費やせねばならなかった、多くの時間とリソースがパートナー各社に先んじて与えられることになります。
SME パートナーコミュニティの例としては、テキサス州ヒューストンに拠点を置く、従業員数 20 人未満のクラウドコンサルティング専門パートナーである DLZP 社が挙げられます。この家族経営の企業は、移行サービスの範疇を超えて、特に教育分野において、サーバレスの専門知識を深めてきました。
DLZP Group のマネージングパートナー兼社長である Lisa Brunet 氏は次のように述べています。「当社は女性かつマイノリティが経営する小規模企業であり、AWS Certification や顧客満足に振り向けられるスタッフの時間とリソースは限られています。「小規模パートナーのThink Bigを支援する (Think Big for Small Businesses)」プログラムは千載一遇の好機でした。同プログラムにより、アドバンスト・ティアの特典を迅速に活用できると同時に、対応する APN ティアの要件を満たすために必要な時間とサポートを得ることができました」。
「小規模パートナーのThink Bigを支援する (Think Big for Small Businesses)」のパイロットプログラムに参加する DLZP などの AWS パートナー各社から、今後も刺激的な事例を学べることを楽しみにしています。こうした取り組みを通じて、SME およびマイノリティ経営ビジネスのコミュニティを強固で多様なパートナーグループへと発展させたいとAWSでは考えています。ビジネスとしての成功を超えて、より優れた、よりインクルーシブな社会に向けて積極的に貢献するようなパートナーグループの育成が、目指されています。
5つの支援策:AWS 公共部門パートナー各社の「What’s Next」
AWS re:Invent 2020 が盛況に開催されました[*公共部門のキーノートのRecap ブログはこちら]。私たちが次に採り得るアクションとは、なんでしょうか?。公共部門パートナー諮問会議 (Public Sector Partner Advisory Council (PAC)) と共有した重要な分野を5つ、ご紹介します。
- 【A】共同販売および共同マーケティングの拡大: AWS 公共部門マーケティングチームはパートナー各社を支援します。AWSはお客様固有のバリューの共同マーケティングに投資し、市場開拓用のファンドを最大限に活用できるよう支援します。
. - 【B】AWS で構築された横展開可能(Repeatable)なソリューションの浸透を支援: 横展開可能なソリューションとは、パートナーが AWS で作成するソリューションのうち、特定バーティカルの市場セグメントのニーズに適合し、複数の顧客の状況において上手く機能するものを指します。コンタクトセンターの実装や、リモートワーク/リモート学習ソリューションなどが良い例です。詳細については、コンタクト・センターソリューションのページとリモートワークソリューションのページをご覧ください。
. - 【C】クラウドへの移行を支援: マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によると、ほとんどの企業がクラウドジャーニーを 20% しか進められていません。最も単純なワークロードに関しては移行が進行中ですが、同調査によると、残りの 80% のワークロードはまだオンプレミスにあるということです。過去 1 年間で、公共部門で活動する新しい移行(マイグレーション・)コンピテンシー・パートナーの数は 2 倍以上に増加しました。
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AWS Migration Acceleration Program (MAP) により、特にMicrosoft、Oracle、SAP のワークロードが記録的な速さで AWS クラウドに移行しています。
- 【D】スキル、認定による社内人材の育成: クライアントによっては、アプリケーションのモダン化といった問題に取り組むための専門知識が社内に欠けている場合があります。AWS トレーニングを受講すると、顧客組織に対して数ステップ先の目指すべき姿を示すことができるようになります。トレーニングと認定の詳細をご確認ください。
. - 【E】「コンピューティングとストレージ」に留まらない顧客対話の加速: 最も成功しているパートナー各社は、[AWSのサービスのなかで汎用的に用いられがちな]コンピューティングとストレージにとどまらず、IoT、人工知能 (AI)、機械学習に至るまで、顧客との対話のスコープを広げることができます。AWS には機械学習の迅速な導入支援イニシアティブがあることをご存じでしたか? このイニシアティブに参加すると機械学習をすばやく導入でき、Abt、StackArmor、ArdentMC などの AWS 公共部門パートナー各社がその利点をどのように活用しているかを知ることができます。
AWS 公共部門パートナー各社は、公共部門のミッションとソリューションを中心とした取り組みを通じて、世界に変化をもたらそうとするお客様の努力を後押ししています。
データ分析であれ、ワークロードのクラウド移行であれ、人命救助用プラットフォームの提供であれ、信頼できるパートナー皆様と連携できることを光栄に思います。
Learn More: AWS re:Invent のパートナー向けセッションの要約
AWS re:Invent 2020 にご参加いただきありがとうございました。re:Invent の基調講演、リーダーシップセッション、ブレイクアウトなどがすべてオンデマンドで視聴できるようになりました。グローバル・パートナーサミットのセッションや私が担当した公共部門リーダーシップ・セッションも含まれます。視聴するには、登録時に作成した認証情報を使用してログインしてください。
re:Invent で見逃した内容がある方や単に要約を確認したい方のために、AWS パートナーに最も関係がありそうなローンチ、プログラムの更新、学習コンテンツを下記にまとめてあります。
日本の公共部門の皆様へのご案内
AWSでは、政府・公共部門、パブリックセクターの皆さまの各組織におけるミッション達成が早期に実現するよう、継続して支援して参ります。
【New!!】視聴登録のご案内:2021年4月16日(金)に、AWS公共部門サミット・オンラインが開催されます(【登録はこちら】)。午前10時からの無料配信となりますので、ぜひご登録ください。米 国防総省の関連機関であるアメリカ国防兵站局など海外政府機関や、女性エンジニア育成にコミットする「Girls Who Code」等の公的機関の事例を中心に40以上のセッションが予定されており、日本からも京都大学より事例登壇をいただく予定です。
今後ともAWS 公共部門ブログで AWS の最新ニュース・公共事例をフォローいただき、併せまして、「農水省DX室」「気象庁の衛星ひまわり8号のデータセット」や「re:Invent 公共部門セッションのサマリー」など国内外の公共部門の皆さまとの取り組みを多数紹介した過去のブログ投稿に関しても、ぜひご覧いただければ幸いです。
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このブログは、「5 Areas Where AWS Helps Public Sector Partners Grow Their Business and Focus on Mission-Based Solutions」と題した英語原文の投稿(by AWS 公共部門グローバルパートナーおよびプログラム、バイスプレジデント、Sandy Carter)をもとに、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が翻訳・執筆しました。
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