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Amazon FSx for NetApp ONTAP と VMware Cloud on AWS の統合

AWS で Sr. Partner Solutions Architect を務める Kiran Reid、 Sr. Specialist Solutions Architect を務める Siegfried Eigler、Sr. Specialist Solutions Architect を務める Ziv Klempner、および Sr. Specialist Product Manager を務める Pat Brandel による記事です。

アマゾン ウェブ サービス (AWS) と VMware は、 VMware Cloud on AWS 向けに利用できる Amazon FSx for NetApp ONTAP の一般提供を開始すると発表しました。

Amazon FSx for NetApp ONTAP (FSx for ONTAP) は、NetApp ONTAP ソフトウェアを搭載したネイティブ AWS マネージドサービスであり、世界中で利用可能です。この統合により、Amazon FSx for NetApp ONTAP を利用してストレージ容量の追加で簡単かつ費用対効果の高い方法で、 Software-Defined Data Center (SDDC) を拡張することが可能になります。

この投稿は、VMware Cloud on AWS 内でお客様管理のネットワークファイルシステム (NFS) データストアとして Amazon FSx for NetApp ONTAP を利用することが適切かどうかを判断するのに役立ちます。

VMware Cloud on AWS はマネージドサービスとして、VMware の Software-Defined Data Center (SDDC) を導入し、AWS グローバルインフラストラクチャ上で vSphere ワークロードを利用できるようにするものです。VMware と AWS が共同で開発した VMware Cloud on AWS は、お客様に真のハイブリッドクラウド体験を提供します。

課題

VMware Cloud on AWS のお客様が直面する課題の1つは、ストレージとコンピュートをどのように独立して管理するかということです。お客様は、ストレージ集約型のさまざまなワークロードをサポートするために、スケーラブルで弾力性のあるストレージを必要としています。

もう一つの課題は、運用です。多くの組織は、データセンター、プライベートクラウド、パブリッククラウド、エッジ環境などの多様なインフラ環境において、従来型のアプリとモダンなアプリケーションの両方を導入しており、それらを一貫して管理する方法を求めています。

FSx for ONTAP による VMware Cloud on AWS 向けのデータストア

AWS と VMware は、VMware Cloud on AWS に補足的なデータストアのサポートを実装することでこれらの課題を解決します。今回の発表により、カスタマーマネージドのデータストアを NFS プロトコルを介して既存の SDDC に柔軟に追加できるようになり、増大するワークロードのニーズに対応する柔軟なストレージソリューションが提供されます。カスタマーマネージドのデータストアとは、SDDC に接続され、VMware が直接管理していない外部データストアであることを意味します。

Amazon FSx for NetApp ONTAP は、お客様がクラウド上でフルマネージドの ONTAP ファイルシステムを起動・実行することを可能にするストレージサービスです。NetApp は AWS ストレージコンピテンシーパートナーであり、ONTAP は広く採用されているデータアクセスおよびデータ管理機能を提供する NetApp のファイルシステム技術です。オンプレミスの NetApp ファイルシステムの使い慣れた機能、パフォーマンス、API に加え、フルマネージドの AWS サービスならではの俊敏性、スケーラビリティ、シンプルさを備えています。

FSx for ONTAP の Storage Virtual Machines  (SVM) では、各 SVM はデータにアクセスするための専用の管理者認証情報と IP アドレスを持つ独立したファイルサーバとなります。各 SVM は複数のストレージアクセスプロトコル (SMB、NFS、iSCSI) をサポートしており、これらの機能を組み合わせることで、単一の FSx for ONTAP ファイルシステムで複数のお客様のワークロードや基幹業務をサポートできます。

NetApp ソフトウェア

NetApp のソフトウェアスイートはすべてゲスト内のワークロードからは利用可能です。ゲスト仮想マシン (VM) からストレージに接続する場合は、引き続き NetApp の拡張機能を利用することができます。VMware Cloud on AWS からストレージに接続する場合は現時点において、 SDDC 内での ONTAP ツールの使用をサポートしていません。

スケールアウトストレージ

ストレージに制約がある場合や、計画外のストレージ需要が発生する場合、このサービスを利用することで、ホストを追加購入せずに容量を段階的に追加できる費用対効果の高い方法が提供されます。Amazon FSx for NetApp ONTAP サービスを通じてプロビジョニングされた弾力性のあるネットワークストレージを活用することで、ワークロードが必要とするときにストレージ容量を柔軟に追加することができます。

VMware Cloud on AWS 内で FSx for ONTAP を NFSv3 データストアとして使用する場合、Connected VPC 内にファイルシステムをデプロイすることができないため、既存または新規のお客様アカウントの 新規 VPC 内にファイルシステムをプロビジョニングする必要があります。

この投稿の時点では、ファイルシステムはマルチアベイラビリティーゾーン (AZ) でデプロイする必要があります。VMware Cloud on AWS は現在、NFS データストアとして シングル AZ 構成の FSx for ONTAP をサポートしていません。

図 1 — VMware Managed Transit Gateway (VTGW) を配置したマルチ AZ 構成

データ保護

Amazon FSx for NetApp ONTAP は、ビジネスニーズに応じてデータを保護するためのいくつかのオプションを提供しています。FSx for ONTAP バックアップは、データストア全体を VMware Cloud on AWS の SDDC にリストアすることができます。

NetApp SnapMirror 機能は、マルチ AZ やクロスリージョンでのディザスタリカバリに対応し、サイト停止時にもデータの保護やテストを持続するなど、高可用性と効率性を備えたデータコピーのレプリケーションを実現します。NetApp FlexClone 機能は、高速で容量効率に優れたデータコピーを実現し、ブロックレベルの「永続的な」レプリケーションをサポートします。

FSx for ONTAP ファイルシステムは、Amazon FSx のバックアップシステムを使用してファイルシステム全体を毎日バックアップするようにデフォルトで設定されています。お客様は、コンプライアンスニーズに沿ったスケジュールで追加のバックアップを設定し自動化することができます。これらのバックアップは、お客様の組織固有の要件に基づいて保持することができます。

サポートと SLA に関する考慮事項

VMware は、VMware が管理するすべての NFS ストレージに対して、サービスレベルアグリーメント (SLA) の適用範囲を提供します。VMware が直接管理していないストレージを接続するお客様は、保存されているすべてのデータの可用性について責任を負う必要があります。

問題が発生した場合、VMware のサポートが一次窓口となり、問題解決のために最大限の努力をします。VMware のサポートチームが問題は VMware SDDC 起因ではないことを確認した場合、VMware はお客様に、FSx for ONTAP のトラブルシュートに AWS サポートを引き込むように案内します。

図 2 — VMware のサポート

カスタマーマネージドの NFS データストアをデプロイする場合、お客様は以下の責任を負います。

  • データストアとして使用するためのストレージターゲットの設定と管理
  • ストレージターゲットと SDDC 内のすべてのホスト間のネットワーク接続の設定と管理
  • データストアの空き容量の管理
  • データストアのデータ保護、設定、およびバックアップの管理

パフォーマンスとコスト

お客様は、アプリケーションの要件に応じて、どのアクセスモデルを使用するかを決定できます。Amazon FSx for NetApp ONTAP ソリューションの価格は、製品ページの価格欄に記載されています。

ファイルシステムを作成する際にはスループット容量を指定しますが、それによりクラスターを稼働させるファイルサーバーがサポートするネットワーク I/O パフォーマンスのレベルが決まります。ファイルシステムを作成する際には、Amazon FSx は特定のスループット容量を推奨しますが、128、256、512、1024、2048 MB/秒 のスループット容量から選択することもできます。詳細については、パフォーマンスに関するユーザーガイドを参照してください。

NFS 接続を希望するお客様は、VMware Managed Transit Gateway の使用にかかる追加コストが発生することをご了承ください。料金に関する最新情報は、AWS Transit Gateway の製品ページをご覧ください。

まとめ

Amazon FSx for NetApp ONTAP を使用した VMware Cloud on AWS の NFS データストアサポートは、強力なサービス統合を実現します。これにより、スケーリングや追加ホストを必要とせず、容量を段階的に追加できる費用対効果の高い方法が提供されます。

Amazon FSx for NetApp ONTAP によってプロビジョニングされた弾力性のあるネットワークストレージを活用することで、お客様はワークロードが必要とする時にストレージ容量を柔軟に追加することができます。すでに FSx for ONTAP に移行したお客様は、VMware Cloud on AWS 内でストレージ需要を適切なサイズで調整できるというメリットが享受できます。

参考資料:

翻訳は Specialist SA 武田が担当しました。原文はこちらです。