Amazon Web Services ブログ

Amazon OpenSearch Service: Managed and community driven

本投稿は、Director of Solutions Architecture for Search Services at Amazon Web Services である Jon Handler によって 2024 年 9 月 16 日に投稿された記事の日本語版です。


私は常に検索にまつわる課題を愛してきました。検索の本質は、質問を受け取り、その質問を理解し、そして最適な回答を取得することです。私は博士課程で AI ロボティクスのプロジェクトを主導し、計画フラグメントのライブラリを検索を通じて実世界の状況と結びつけました。以前の仕事では、商用検索エンジンを一から構築しました。そして AWS でのキャリアでは、ソリューションアーキテクトとして働き、顧客が様々な形態の検索サービスを採用するのを支援してきました。

多くの開発者と同様に、私もオープンソースに情熱を持っています。これは、学者が自分の分野での過去の業績を基礎にし、そこから恩恵を受けて、より大きな利益のために働くという私の学歴に部分的に由来するものです。私は、単一の目的を持つ小規模なプロジェクトから、熱心で積極的なコミュニティを持つ大規模なイニシアチブまで、数多くのオープンソース技術を使用し、貢献してきました。検索コミュニティは、独自の特別で学術的な趣があります。検索自体が情報検索、心理学、(象徴的な) AI といった長年の学術的な取り組みに関連しているからです。オープンソースソフトウェアはこのコミュニティで重要な役割を果たしてきました。検索技術は、特に過去 10-15 年の間に、Apache Lucene、Apache Solr、Apache ライセンス 2.0 バージョンの Elasticsearch、そして OpenSearch のようなオープンソースプロジェクトを通じて民主化されてきました。

本日、Linux Foundation が OpenSearch Software Foundation発表したことに、私は非常に興奮しています。 OpenSearch Foundation 創設の一環として、AWS は OpenSearch の所有権を Linux Foundation に移管しました。 2021 年 4 月のプロジェクトの立ち上げ時にOpenSearch を紹介するにあたって、私たちは「ユーザーが安全で高品質な、完全にオープンソースの検索および分析スイートを、新しい革新的な機能の豊富なロードマップとともに継続して利用できることを確実にする」という希望について話しました。私たちはその願いとコミットメントを維持しています。今回の移管によりそのコミットメントを深め、オープンなガバナンスを備えたより広範なコミュニティを取り込んで、その目標を支援します。

この発表に関して、 2 つの重要なポイントがあります。一つは、Amazon OpenSearch Service の顧客にとっては、何ら変更がないという点です。他方、オープンソース側では多くのことが変わり、それはサービスにとって純粋な利益となります。私たちは、コミュニティとのより深い協力と参加によって推進される、OpenSearch プロジェクトのイノベーションの加速を含む未来に向かって進んでいます。最終的には、それらがサービスに反映され、AWS の顧客に利益をもたらすことになります。

Amazon OpenSearch Service: これまでの取り組み

Amazon は、当初よりオープンな環境で OpenSearch に取り組むことに焦点を当てていました。最初の課題は、コードのインポートと名前変更機能を備えた作業用コードベースをリリースすることでした。2021 年 7 月に OpenSearch 1.0 をローンチし、2021 年 9 月にマネージドサービスを Amazon OpenSearch Service に改名しました。Amazon OpenSearch Service のローンチに合わせて、エンジンの選択肢として OpenSearch 1.0 のサポートを発表しました。

Amazon のチームとコミュニティが OpenSearch プロジェクトで成長し、イノベーションを起こすにつれて、私たちはそれらの変更を対応するバージョンのサポートとともに Amazon OpenSearch Service にもたらしました。AWS では、コミュニティと共同でアイデア、RFC、機能リクエストを公開し議論することで、オープンソースを受け入れました。時間が経ち、プロジェクトが進むにつれて、コミュニティのメンテナーを採用し、AWS 内外の様々なソースからの貢献を受け入れました。

Amazon OpenSearch Service の顧客として、今後もオープンソースからマネージドサービスへの更新と新バージョンの流れを見ることができるでしょう。また、プロジェクト、そのコミュニティ、およびコードベースの成長に対する私たちの投資によって推進される継続的なイノベーションを体験することになります。

現在、OpenSearch プロジェクトは 7 億回以上のソフトウェアダウンロード、数千人のコントリビューター、200 人以上のプロジェクトメンテナーの参加により、大きな勢いを得ています。OpenSearch Software Foundation は、プレミアメンバーとして AWS、SAP、Uber、一般メンバーとして Aiven、Aryn、Atlassian、Canonical、Digital Ocean、Eliatra、Graylog、NetApp® Instaclustr、Portal26 の支援を受けてスタートします。

Amazon OpenSearch Service: 今後の展開

この発表は Amazon OpenSearch Service に何の変更ももたらしません。Amazon は引き続き、増加するコミッターとメンテナーとともに、OpenSearch プロジェクトのイノベーションと貢献にコミットしています。むしろ、より広範で深い参加によってグローバルコミュニティからより多様なアイデアがもたらされることで、このイノベーションは加速するでしょう。このコミットメントの核心には、「ユーザーが安全で高品質な、完全にオープンソースの検索および分析スイートを、新しい革新的な機能の豊富なロードマップとともに継続して利用できることを確実にする」という創設時からの継続的な願いがあります。私たちは、プロジェクトと密接に協力し続け、コードの改善に貢献し、それらの改善をマネージドサービスにもたらします。

この発表は、Amazon OpenSearch Service への接続や使用方法を変更するものでもありません。OpenSearch Service は引き続きフルマネージドサービスとして、サービスが提供するエンドポイントを通じて OpenSearch と OpenSearch Dashboards を提供します。また、既存のマネージドサービスが提供する各種機能も引き続きご利用いただけます。Amazon OpenSearch Service を使用している場合は、何も変更する必要がないということです。財団への移行によるライセンスの変更やコストの変更も生じません。

Amazon は引き続きプロジェクトに専門知識を提供し、クラウドネイティブな大規模分散システム、検索、分析、機械学習、AI など、顧客が最も必要とする新しいイノベーションに資金を提供します。Linux Foundation はまた、クラウドネイティブなオープンソースプロジェクトにとって重要な Cloud Native Computing Foundation (CNCF) などの他のオープンソース組織との協力を促進します。私たちの目標は、お客様の最もチャレンジングな課題をオープンソースファーストで解決し続けることです。最後に、オープンソースという製品の性質をふまえると、顧客と協力して問題をコードで一緒に解決する大きな機会があると考えています。私たちはその機会を楽しみにしています。

私たちは、常にお客様に OpenSearch プロジェクトへの参加をお奨めしてきました。現在、このプロジェクトには、Amazon 内外のさまざまな背景を持つメンバーが配置された運営委員会と技術運営委員会による、明確に定義された構造と管理が行われています。運営委員会はプロジェクトの資金調達と管理を担当し、技術運営委員会はプロジェクトの技術的な方向性を担当します。これにより、当社のマネージド サービスで使用しているテクノロジーの形成に直接参加できるようになる可能性が広がります。このプロジェクトは、問題の報告や機能リクエストから、RFC へのコメントやコードの貢献まで、大小を問わず、 Amazon OpenSearch Service をお使いの皆様の貢献を歓迎します。

まとめ

プロジェクト、コミュニティ、そして Amazon OpenSearch Service にとって、今は素晴らしい時期です。AWS の顧客は、使用時に変更を加える必要はなく、Apache ライセンス 2.0 や価格にも変更はありません。しかし、Linux Foundation への移行は、オープンソースの世界からテクノロジーへ、そしてそこから Amazon OpenSearch Service への協力の精神をもたらすのに役立ちます。検索が成熟し続けるにつれて、私たちは共に質問をより良く理解し、関連性の高い結果を提供し続けることができるようになります。

OpenSearch Foundation の発表に関する詳細は、AWS オープンソースブログでご覧いただけます。


著者について

Jon Handler は、カリフォルニア州パロアルトに拠点を置くアマゾン ウェブ サービスの検索サービスのソリューション アーキテクチャのディレクターです。 Jon は OpenSearch および Amazon OpenSearch Service と緊密に連携し、OpenSearch の検索およびログ分析ワークロードを抱える幅広い顧客にヘルプとガイダンスを提供します。 AWS に入社する前、Jon のソフトウェア開発者としてのキャリアには、大規模な e コマース検索エンジンのコーディングに 4 年間従事していました。 Jon は、ペンシルバニア大学で文学士号を取得し、ノースウェスタン大学でコンピュータ サイエンスと人工知能の理学修士号と博士号を取得しています。