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AWSがレンダリングパイプラインのための Open Job Description を導入
新しいオープン標準は、あらゆるレンダリングパイプラインでレンダリングジョブを移植可能にすることを目的としています。
Amazon Web Services (AWS) は、スタジオやレンダーソリューション間で移植可能なレンダリングジョブを定義するための、新しく、柔軟で、オープンな仕様の Open Job Description (OpenJD) を発表しました。レンダリングパイプラインは、プロジェクト、技術、管理上の決定によって大きく異なります。OpenJD は、互換性を最大化し、複雑さを軽減し、これらの要因が必然的に変更される場合に、パイプラインをより簡単に適応させることができるように設計されています。レンダリングファームのコンピューティング管理ソフトウェアである AWS Thinkbox Deadline のチームが開発した OpenJD は、現在パブリックレビューとコメントを受け付けています。私たちは開発者コミュニティの方からこの新しいレンダリングサブミットの仕様に関するフィードバックをお待ちしています。
2D および 3D アセットパイプラインのイノベーションからボトルネックを取り除く
メディアやエンターテインメント、ゲーム開発、建築・工学・建設 (AEC)、工業デザインなどの業界では、2D および 3D アセットのワークフローに、プロジェクトの特定のコンポーネントに特化した複数のアーティストやチームが関わることがよくあります。彼らは、3D モデリング、アニメーション、コンピュータ支援設計 (CAD)、シミュレーション、ビジュアルエフェクトなど、それぞれのタスクに特化したさまざまなデジタルコンテンツ制作 (DCC) ソフトウェアアプリケーションを使用します。Thinkbox Deadline などのレンダーファーム製品は、アーティストが制作した作品を取り込み、複数のコンピューティングインスタンスで処理します。これにより、アーティストはプロジェクト中に自分の作業の結果を確認し、自身のワークステーションでしか作業できない場合に比べて、はるかに迅速に完成アセットを納品できるようになります。さらに、スタジオでプロセッサの要件、速度、品質、忠実度などの特性に応じてレンダーエンジンを選択し、オペレーティングシステム、コンピューティングアーキテクチャ、スケジューリング機能、および管理ニーズに対するスタジオの必要なサポートに基づいてレンダーファーム管理ツールを選択します。
スタジオがレンダーファームを採用すると、スタジオの開発者は特定のレンダーファームに最適化されたツールやインテグレーションの開発を始めます。彼らは多くの場合、さまざまな DCC、業界標準のレンダーエンジン、クリエイティブパイプラインに登場した新しいリアルタイムレンダラーに対して複雑なパイプラインを構築します。スタジオがアーティストに提供するクリエイティブツールが多ければ多いほど、開発作業は複雑になります。最終的な品質、レンダーファームの効率、または納期の改善のために新しい変更を試すと、時代遅れになるリスクが高まり、チームが新しいレンダーソリューションが必要だと判断した場合、パイプラインの作業の多くが無駄になります。これまで、チームは困難な課題に直面してきました。つまり、すべてのニーズを満たす 1 つのシステムを選択し、そのソリューションをサポートするソフトウェアベンダーに頼らなければなりません。ソフトウェアベンダーがそのソリューションをサポートすることに依存しなければなりません。一方で、ソフトウェアベンダーは、DCC バージョンごとにレンダーファームソリューションをサポートする必要があるため、レンダーファームの統合を開発することを正当化できないことがよくあります。これらの開発のボトルネックは、パイプラインの継続的なイノベーションを妨げ、スタジオが競争力を維持するための差別化の能力を制限し、コモディティ化が進んでしまいます。
Open Job Description は、スタジオがレンダリングジョブをあらゆるレンダリングパイプラインに移植可能にし、新しいレンダリングワークフローに移行する際に使用するさまざまなツールとの互換性が拡大することで、これらの問題を解決します。OpenJD 標準により、スタジオやソフトウェア開発者は、レンダーファーム統合を自由に開発し、好みの標準ジョブを作成し、OpenJD 標準を理解するレンダーファーム管理システムを実装することができるようになります。
2D および 3D アセットを作成するビジネスの柔軟性が向上
「レンダーファームの管理ツールを選ぶことは、アーティストやお客様が使用するすべてのソフトウェアツールに対して、独自の統合作業の範囲を決めることになります。」と、AWS Thinkbox のレンダリング GM、Félix Duchesneau は述べています。「この問題は、レンダリングジョブのサブミットが移植可能で、より多様なパイプラインと互換性があれば解消されます。レンダリングファームの統合がこの新しい標準をサポートすれば、お客様は新しいパイプラインツールを検討する際に、より多くの選択肢を持つことができます。すでに OpenJD をサポートしているソリューションを利用することもできますし、新しいソリューションに対して OpenJD トランスレーターを構築するだけで済みます。つまり、『一度構築すれば、何度でも再利用できる』投資になるのです。」
また、複数のパイプライン間でレンダリングジョブを移植可能にすることで、テクニカルパイプラインの開発者は、プロジェクトに最適なレンダーファームソリューションをより簡単かつ柔軟にテスト、適応、デプロイできるようになり、スタジオや開発者がすべてのレンダリングのための各バリエーションを一から作り直す必要がなくなります。
「Open Job Description は、移植可能で、人間にもコードが読みやすく、拡張性があり、すべての処理ステップを記述するパイプラインアクションを含み、処理ステップのみを記述するように一から設計されています。これにより、この標準はレンダーファームソリューションとの統合に適しています。」と、AWS のコンテンツ制作担当シニアプロダクトマネージャーの Pauline Koh は述べています。「また、お客様の AWS 上での今後の構築に対しても、将来を見据えたものです。我々は、パイプラインの開発者の皆様に、オープンな仕様をレビューし、コメントいただくよう、この第一歩を踏み出しました。皆様からのフィードバックを心待ちにしています」
コミュニティからのフィードバック募集
パイプラインの開発者は、こちらのオープンな仕様をレビューし、コメントすることが推奨されています。レンダリングパイプラインにおけるジョブサブミットの標準的なアプローチの必要性について詳しく知りたい方は、Academy Software Foundation の Open Source Days セッション Portable Render Jobs for Open Source Content Production Pipelines で Pauline Koh が議論する様子をご覧ください。また、Passemard による VIEW Conference プレゼンテーションに基づいた Post Magazine の記事もご覧ください
著者について
本記事は、AWS introduces Open Job Description for render pipelines を翻訳したものです。翻訳は Solutions Architect の濵野が担当しました。