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速報!本日未明に終了したAWS公共部門 サミットのハイライトを紹介します-前編【キーノート編】
AWSジャパン・パブリックセクターより、日本時間の本日未明に終了した「AWS Public Sector Summit Online」 における、政府機関・教育機関・NPO向けのハイライトをご紹介いたします(記載は2020年7月1日時点)。 本年のサミットには、世界各国から多数の政府・行政機関・教育機関・NPOの皆様、ユーザーの皆様よりオンラインでのご参加をいただきました。日本からも、深夜の時間帯にもかかわらず多数の聴講をいただいたことに、感謝を申し上げます。 なお、日本のお客様向けに、今回のサミットで開催された25のブレイクアウト・セッションの中から幾つかをご紹介させていただく投稿も今回併せて準備させていただきました(こちらが【ブレイクアウト・セッション編】)。例年、日本のお客様からは高い関心が寄せられるセキュリティ系のセッションをはじめ、公共機関のDX、マネジメント&イノベーション系のセッションが充実しています。ぜひご参照ください。
キーノートの11個のハイライト:
クラウドによるミッション達成とパブリック・セクターDXの促進
日本時間の本日未明(米国現地ワシントンDCでの6月30日)に終了した、AWS パブリックセクター・サミット・オンライン 2020 (以下、「サミット」)では、アマゾンウェブサービス(AWS)のWorld Wide Public Sector部門のバイス・プレジデントであるテレサ・カールソンが、基調講演を行いました(動画全編はこちら)。テレサは、過去数か月間のコロナウィルスがもたらした困難な時期を振り返り ── 未だ多くの国においてこの危機は現在進行形ですが ──、パブリック・セクターのユーザーが多くの教訓を共有すること、そして世界中の人々がミッションを遂行することを支援し続けているAWS のコミットメントについて語りました。
「コロナ危機に臨んで構築中のソリューションは、公共部門のITへのアプローチを根本的に変化させている。危機以前の”古い考え方”に戻ることはない」── とテレサは述べます。 前例のない危機に直面した各国の政府機関は、クラウドの俊敏性・スピード・柔軟性をあらためて実感しました。クラウドの本格活用により、お客様はミッションに集中しながら、この危機を乗り越えつつあります。基調講演では、以下に紹介するとおり、AWS のユーザーである各国の公的機関における取り組みと、AWS がそれらのお客様のミッションをサポートする方法について紹介が行われました。キー・テイクアウェイとして注目いただきたいポイントを、以下にご紹介します:
#1:データの新しいフロンティアを受け入れる:AWS の航空・宇宙および衛星ソリューション
AWS は、この「惑星」の内外でのお客様のミッションを支援することに、全力を尽くしています。最近新しく立ち上げられた「 AWS 航空・宇宙および衛星ソリューション事業」は、宇宙におけるイノベーションを推進するために創設され、退役した空軍少将クリント・クロサイエを本部門のリードとしてAWSに迎えられたことを、歓迎したいと思います。彼には、宇宙でのミッションにクラウドソリューションを提供すべく専門家のチームを率いてもらいます。
航空・宇宙および衛星ソリューションチームは、AWS Ground Station を使用してデータをダウンリンク・処理・分析・配信する費用対効果の高い方法で世界中のお客様に対するサポートを、既に開始しています。規模の大小を問わず、多くの民間企業や公的機関では、AWS Ground Station を使用して衛星通信業務を迅速に拡張し、宇宙スタートアップもまた、衛星地上インフラストラクチャの構築に必要な主要な設備投資をAWSを利用することで圧倒的に合理化しています。
航空・宇宙および衛星分野のフロントランナーとしては、AWSのお客様の 「Capella Space」社 が AWSへの「オールイン(=すべてのIT環境をAWSへ移行済)」を達成しています。AWS を利用し、Capella は世界最大の商用人工レーダーを搭載した衛星システムを打ち上げています( Synthetic Aperture Radar, SAR)。SARは、雲を貫通し、全天候条件下でデータを収集し、昼夜を問わずデータを把捉できる独自のレーダーです。Capella Space はすでに SAR データセットを AWS に移行しており、分析や機械学習などのサービスを活用して、このデータを迅速かつ低コストで顧客に提供しています。
#2:非営利団体向けの “Think Big” を支援: AWS Imagine 助成プログラム
現在、2020 AWS Imagine Grant プログラムの募集を開始しています。資格のある非営利団体(NPO)は、最大 100,000 ドルを受け取ることができますので、壮大なビジョンをAWSに共有いただくことで、各団体のミッションの達成をAWSがサポートします。助成金の受給者は、アイデアを実現するためのトレーニング、AWS 利用のためのプロモーションクレジット、技術サポートも受けられます。2020 Imagine Grant への申請方法の詳細と、過去の受賞者についても、併せてお読みください。
#3:クラウドは進化するセキュリティ・ニーズを迅速に満たす
AWS はパートナー各社との協力のもと、ユーザーのセキュリティ向上に注力しています。この文脈で、AWSには、他のどのクラウドプロバイダーよりも多くの 「FedRAMP 認定ソリューション」が引き続き存在し、セキュリティ基盤の構築に取り組む各機関のミッションに貢献していることをテレサは強調しています。5 月末時点で、110 ものサード パーティ ソリューションが AWS上で FedRAMP 認証を取得しています。AWS上に存在する「FedRAMP 認定ソリューション」の数は、2位、3位に位置する 2 つの商用クラウドプロバイダーのそれを組み合わせたものよりも 、4 倍以上に達します。
#4:データ・ドリブンに COVID-19 と戦う: AWS Data Exchangeと CORD-19
オープンデータは、インサイト導出までに要する時間を短縮する、強力な方法です。研究者が COVID-19 に関する洞察をより迅速に得るために、AWS は 125 を超える独自のサードパーティデータセットと 2,300 を超えるデータプロバイダーを AWS Data Exchange で結び付けました。これらのデータセットには、市民の歩行データ (foot traffic)から企業・経済活動データなど、COVID関連のパブリック・レコードも含まれています。
AWS は CORD-19 Search の構築にも役立っています。CORD-19 Searchとは、47,000 件を超える研究文書群を含む COVID 関連の研究データベースを分析する検索ウェブサイトです。この検索エンジンは、AWS の機械学習を使用して、研究に関連した質問に対する正確な回答と参照されるべき研究文書を提供します。ウェブサイトが公開されてからわずか7週間のうちに、76カ国以上から5,500以上のユニークなクエリ(問い合わせ、処理)が集中しました。
#5:研究プロジェクトの加速:AWS DDI および COVID-19 HPC コンソーシアム
感染症対策など、新領域での研究のペースを加速させるために、AWS は 3 月に 「AWS 診断開発イニシアチブ (DDI) 」を立ち上げました。このイニシアチブは、診断ソリューションに焦点を当てた研究者に対して 2,000 万ドルのAWS利用クレジットと技術サポートを約束するものです。このイニシアチブは、COVID-19に限定されるものではなく、現在、35以上のプロジェクトを支援しています。
AWS は、3月のコロナ危機勃発時にホワイトハウスにより設置された「COVID-19 ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)コンソーシアム」の創設メンバーでもあります。COVID-19 HPCコンソーシアムは、COVID-19 の研究者にコンピューティングリソースを提供するために、産学界・政府機関を結集する取り組みです。現在、AWS はこのイニシアチブを通じて、10 件以上の研究プロジェクトを支援しています。
#6:”すぐに使える”パートナーソリューションの一覧 Web サイトを新設
COVID-19 がもたらす問題に直面するお客様を支援するため、AWS パートナーネットワーク(APN)各社によるリモートワーク、コンタクトセンターなどのソリューション一覧を表示する新しいパートナーソリューションウェブページを開設しています。
APN パートナー様は、お客様である市民のニーズに迅速に対応してきました。例を挙げると、アクセンチュアは、ニューメキシコ州のための仮想コンタクトセンターを、たった2日間で立ち上げました。他の事例では、わずか7日でデロイトはモンタナ州の公衆衛生福祉省向けにカスタムされたチャットボットをGo Live(運用開始)させました。チャットボットは、モンタナ州民の食糧・医療・現金給付支援をより迅速に申請できるよう、サポート機能を充実させています。上記サイトに自社ソリューションを含めることに興味がある APN パートナーは、AWSまでお問い合わせください。
#7:「バーチャル・ヘルスケアは夢物語だったが、それは今、実現した」
遠隔での医療受信の需要は拡大し続け、世界的なパンデミックを経たここ数ヶ月は特に急速な需要拡大の傾向が続いています。 世界最大規模の「バーチャル ケア ネットワーク」であるOntario Healthは、2018年以降、OTNHubのアクティブユーザー数が1,500%増加しており、COVID-19の影響を受けて3月にはさらに指数関数的にユーザー数が増加しました。Ontario Healthのテクノロジーサービス担当バイスプレジデントである Sharon Baker は、AWSのクラウドがこの需要に対応し、世界最先端の遠隔診療を提供し続けるのにどのように役立っているかを説明してくれました。クラウドへの移行により、ダウンタイムがまったく無く、システムの可用性を向上させ、環境のボトルネックを解消し、セキュリティを向上させることができたのだと、登壇事例にて言及いただいています。最も重要なのは、メンバーが、必要不可欠な時期に、信頼できる質の高いサービスにアクセスできたことです。Ontario Healthについての詳細事例は、こちら。
#8:「悲鳴をあげていたレガシーシステム」を一晩でクラウドへ移行:ロードアイランド州労働訓練省 (DLT)
COVID-19というパンデミックがもたらした経済的危機により、何百万人もの人々が失業保険を申請し、その数は申請者数の記録を塗り替え、各州のレガシーITシステムは、その処理性能・稼働環境が未曽有の危機のなかで試されることになりました。ロードアイランド州労働訓練局のディレクターであるScott R. Jensen氏は、ロードアイランド州労働訓練局が「ITイノベーション」というミッションファーストのアプローチをどのように開始し、需要の急増に対応しつつもリソースを瞬時かつ効率的に配分し、スケーラブルなクラウド前提の設計とすることで州民をいかに救済したのかを、臨場感をもって教えてくれます。ロードアイランド州労働訓練局は、わずか10日間でレガシーシステムを刷新し、コールセンターが同時に処理できる通話の本数を、クラウド移行前の「74件」から、AWS導入後の「1,000件以上」にスケールさせました。ロードアイランド州労働訓練省 についての詳細事例は、こちら。
#9:ミッションの重要度に比肩するスピードでクラウド移行を実施:海軍企業資源計画(ERP)
COVID-19危機の到来するはるか以前から、米国海軍のエンタープライズリソースプランニング (ERP) はクラウドへの移行を加速していました。米国海軍省の財務システムである Navy ERP は、AWS移行の前は、信頼性の低く、老朽化したオンプレミス エンタープライズ システムでした。もちろん、現場のニーズとして世界中の司令官にサービスを提供するために、可用性と信頼性に優れたクラウド前提のソリューションを海軍は必要としていました。海軍のユニークな点は、自らの「試算」を絶えず問い直した点です。クラウドへの移行に要する時間とコストに関し、より良い方法を追求しつつ、独自の試算と前提にあえて継続的な疑問を向け続けました。結果として世界中の70,000社を超えるユーザーにクラウドベースのソリューションを、従前に予想されていた時間の半分近くで、ダウンタイムを最小限に抑えながら導入することができました。Navy エンタープライズビジネスソリューションプログラムのプログラムマネージャーである Edward E. Quick は、Navy ERP が AWS GovCloud(米国)に移行し、セキュリティ・信頼性・可用性を向上させ、その過程で学んだ教訓について説明しました。海軍ERPについての詳細事例は、こちら。
#10:米国では回答者の8割超が、初のオンライン化された「国勢調査」を完了
2020年、米国「国勢調査」が初めてオンラインで行われています。AWS を用いてウェブサイト 「2020census.gov」 を構築することで、連邦 国勢調査局は Census の回答をオンラインで受付・集約することができ、COVID-19 が襲ったときも遅滞なく回答を収集し続けることができました。パンデミックにもかかわらず、世帯の60%以上が2020年の国勢調査を既に完了しており、今回は回答者の80%以上がオンラインで国勢調査を完了しています。 国勢調査をまだ完了していない米国の居住者は、2020census.govを訪問して国勢調査を完了することができます。
#11:政府のミッションへ、新たな期待値が設定される
AWS は、連邦政府、州政府、地方自治体がクラウドを活用し、組織独自のミッションを遂行できるよう支援し続けています。米国に限っても、AWS は 9つの連邦政府機関が新しい行政サービスを拡張し、職員にとっての新しい働き方がスムーズに導入できるよう支援しました。また、20 の州政府に対し、COVID-19 をきっかけに困っている市民を迅速に支援するために、失業保険コールセンターの立ち上げをサポートしました。
たとえば、ウェストバージニア州では、失業保険ホットラインへの通話量の急増が見られ、4月の第2週には1日あたり77,000件以上の通話が殺到しました。州は APN パートナー Smartronix社と協力して、クラウドベースのコールセンターをわずか 72 時間で立ち上げました。一週間後、新しいコールセンターは61,252件の通話を処理しました────わずか1日の間に。ウェストバージニア州とSmartronix社の事例の詳細は、このポッドキャストのエピソードをお聞きください。
[*以上、英語版の投稿をもとに、日本のお客様に分かりやすいよう文脈などを補足してお伝えしました。また別の投稿としまして、皆様にぜひご参照いただきたい【ブレイクアウト・セッション編】はAWSジャパン パブリック・セクターからのオリジナルの記載となります。 YouTubeでの動画公開が可能となり次第、各セッションへのリンクも貼られる予定です]
クロージング:「パブリック・セクターもスタートアップに匹敵するスピードで変化可能」
Max Peterson ( VP, International Sales, Worldwide Public Sector, AWS )は、”この、前代未聞の変化が加速する時代において、公的機関が市民向けサービスを改善する機会を獲得し、サービスを近代化し続けるユーザーの努力をAWSがサポートしていくこと” を強調して、サミットを締めくくりました。 Maxは、ミッションをより良い方法で・より速く・より手頃な価格で・よりセキュアに提供するためにすぐに実装できるAWSのソリューションのラインナップに、あらためて言及しました。 例えば、政府機関のDigital Transformationは、Amazon Connectによる迅速なコールセンターの立ち上げによって加速され、また、医療機関の診療の在り方はAmazon Lex Chatbotなどのツールにより、いずれも、このコロナ危機を経て圧倒的な速度で変化しました(「数年分の変化が、数カ月で生じ、AWSはそれをサポートしてきた」)。 「政府機関、公的機関もスタートアップに匹敵するスピードで変化できる」──Maxは、こう強調します。AWSは、1)コロナ危機に対応し、遠隔勤務・遠隔教育に貢献するツールも多数用意、また、これまでと同様に 2)AWSスキルを身に着けるためのトレーニングを充実させるなどの取り組みを継続します。「私たちAWSは、市民、学生、コミュニティ、および公的機関をサポートするための必要なテクノロジーを提供するためにここにいます。」 「変化は始まったばかりであり、AWSはユーザーがその変化に対応していくことをエンパワーしていく」──2020年のサミットは、このように締めくくられました。
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◆AWSサミットOnline Japan 開催概要
会期:2020 年 9月 8日(火)~30 日 (水) オンライン開催
費用:無料
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このブログは、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が執筆し、特にセキュリティ関連の記載に関してはセキュリティ アシュアランス本部 本部長の松本照吾 が執筆・監修しました。