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AWSはマレーシア政府と包括契約を締結。公共部門のイノベーションを促進へ
今回のブログでは、 AWS ジャパン・パブリックセクターより、「マレーシア政府との間で締結された、包括契約・合意の要旨」について紹介します。ご不明の点、「Contact Us」までお問合せください。(以下、「AWS signs new Cloud Framework Agreement with Malaysia to power public sector innovation」と題された投稿の翻訳となります。)
イノベーションへの道をスムーズに
マレーシアの政府機関や部局は、合理化された調達モデルを通じて AWS のクラウドサービスにアクセスし、イノベーションを推進し、市民向けの行政サービスをデジタル化できるようになりました。「クラウド・フレームワーク契約」は、事前に交渉された有利な契約条件により、個々の機関や部局の管理上のオーバーヘッドを取り除きます。これにより、政府機関のクラウド導入プロセスが合理化され、統合された調達によるスケール・メリット[the economies of scale achieved from the aggregated procurement]によりコスト削減が可能となります。
マレーシアの政府機関は、世界26地域に広がる84の AWS サービスゾーンにおいて、個別に契約条件を交渉することなく、すべての AWS サービスにアクセスし、利用できる一貫した手法を手に入れることになりました。また、業界をリードする AWS のセキュリティ機能、グローバルインフラ、第三者機関によって検証された包括的なセキュリティおよびコンプライアンス管理など、200以上のフル機能を備えた AWS クラウド サービスの多様さと深さとを活用することができるようになったのです。
首相府マレーシア行政近代化・経営計画ユニット(MAMPU – Malaysian Administrative Modernisation and Management Planning Unit)主席補佐官のAdi Azlan氏は、「マレーシア政府のMyDigitalイニシアチブに合わせ、政府は公共サービスの提供をさらに改善するために、ICT プロジェクトの実施にクラウド コンピューティング技術を採用するガイドラインを示す『Cloud First Policy』の通達を発表しています」──と述べています。
AWS クラウド サービスへの柔軟なアクセスは、マレーシア政府内のイノベーションを加速するための新しいアイデアの実験を促進し、新しい市民サービスをより迅速に、より低いコストで提供してゆくことが可能になります。 AWS のサービスには、緊密なガイダンスとベストプラクティスを提供する AWS Enterprise Support と、複雑なプロジェクトでより多くのガイダンスを得る必要がある機関向けの AWS Professional Servicesが含まれています。
公共機関のミッションである
”地域経済成長”を促進する
「クラウド・フレームワーク契約」は、マレーシア政府がデジタル経済における地域のリーダーとなるためのロードマップである「Digital Economy Blueprint」を支援する AWS の継続的なコミットメントの一部となっています。マレーシアのお客様には、高等教育省やセランゴール州政府の Smart Selangor Delivery Unit といった大規模な公的機関のほか、ペトロナスなどの大手企業や Storehub などの革新的なスタートアップ企業が含まれています。
マレーシア高等教育省のポリテクニック・コミュニティカレッジ教育局では、クラウドベースの学習管理システム「Curriculum Information Document Online System(CIDOS)」における、教育サービス提供の際のダウンタイム短縮のために AWS を利用しました。同社のCIDOS は現在、マレーシアの公共部門で最大の統合クラウドベース教育プラットフォームとなっており、36のポリテクニック校舎に所属する11万人以上の学生と7000人以上の講師に通年分のアカデミック カリキュラムをオンラインで配信しています。さらに、セランゴール州政府は、市民が携帯電話や Web を通じて有料行政サービスにアクセスできるようにする市民電子決済プラットフォーム(CEPat)の構築と運用に、やはり AWS のクラウド技術を採用しました。
国の経済・社会統計を収集するマレーシア統計局(DOSM)は、2020年にマレーシアの連邦政府機関として初めて AWS に移行した政府機関です。同機関は通常、マレーシアの国勢調査を3カ月で実施するミッションを追う一方で、その3ヶ月のために、多大なコストのかかるオンプレミスのインフラを年間を通して維持する必要がありました。クラウドサービスに切り替えることで、DOSMは必要なときだけクラウドのリソースを使用するようになり、コスト削減とスケーラビリティの向上を実現しました。DOSMは、AWS のさまざまなサービスを利用して市民向けサービスをクラウドに移行し、 AWS パートナーの Uberfusion と Integriti Padu(IPSB Technology)と協力して、トラフィック急増の処理、セキュリティ向上、DOSM のクラウド型 e-ラーニングソリューションへの国勢調査員のアクセスを支援しました。 AWS 上で、DOSM の国勢調査ポータルは、ピーク時の20万人のユーザーを含め、常に100%のトラフィックを処理することが出来ています。DOSM を通じて、合計で900万人ものユーザーが AWS 上で管理されるマレーシアの国勢調査データにアクセスするのを支援しました。
AWS は、Maxis Enterprise や Radmik Solutions など、マレーシアの AWS パートナーとの幅広いネットワークを持っており、マレーシアの企業や組織のクラウドジャーニーを支援しています。Radmik Solutions 社は、「クラウド・フレームワーク契約」におけるローカル マネージド サービス プロバイダーとして、政府機関にコンサルティングとテクノロジーサービスを提供します。
Radmik Solutions のマネージングディレクターであるアダム・ロスリー氏は、「マレーシアの公共部門におけるクラウド導入を加速させるために、世界有数のクラウドサービスプロバイダーと協業できることをうれしく思います」と述べています。”このコラボレーションにより、より大きなイノベーションを促進し、お客様のデジタル変革を加速させるためのスピードとコネクティビティを得ることができます。”
デジタルに特化した
ワークフォースの鍛錬
AlphaBeta 社の調査レポートによると、現在、アジア太平洋地域の1億4,900万人の労働者が何らかの形でデジタルスキルを業務に活用していることがわかりました。しかし、同地域における高度なクラウド コンピューティングとデータ関連のスキルに対するニーズは、2025年までに5倍に増加すると予想されています。デジタル スキルのトレーニングは、マレーシアのイノベーションを加速させる鍵となるでしょう。
マレーシア政府と共にイノベーションを加速してゆくために、 AWS は、オンデマンドのデジタルコース、ファシリテーションを伴うトレーニングのイベント、インストラクター主導のクラスルーム・トレーニングを通じて、選定された連邦政府職員にトレーニング・サポートを提供します。これらの取り組みは、政府職員がクラウド技術を大規模に導入し、データに基づくより良い業務上の意思決定を行い、新しいサービスを革新して市民のためのアウトカムを向上させるために必要なスキルと専門知識を身につけてもらうことを目的としています。
このトレーニング支援は、マレーシアのデジタル経済を牽引するデジタルに精通した人材の育成を支援する AWS の広範なコミットメントの一部です。2022年1月、 AWS はマレーシアに拠点を置く UNITAR International Universityが提供する無料のクラウドコンピューティングコースを通じ、マレーシアで re/Start プログラムを開始しました。
その国へ、長期的にコミットする
AWS のワールドワイド公共部門 ASEAN 担当マネージングディレクターである Eric Conrad は、「AWS パートナーのRadmik Solutions 社と共同で、マレーシアのデジタルな未来を構築するためにマレーシア政府を支援できることを嬉しく思っています」と述べています。”この「クラウド・フレームワーク契約」により、政府機関は AWS サービスの調達を容易にし、クラウドを利用して低コストかつ柔軟性を高めた迅速な実験ができるようになります。政府機関の技術調達における障壁を取り除き、政府機関が市民サービスの向上というコアミッションに時間とリソースを集中できるようにすることで、マレーシアにおけるクラウド導入の加速化への道を開くでしょう”──とも併せて述べています。
マレーシアにおける AWS の活動は、政府と国家に対する我々の長期的なコミットメントを表しています。 AWS は、デジタル変革の道を歩むマレーシア政府を支援できることを光栄に思っています。私たちは、デジタル技術に長けた人材の育成、イノベーションの促進、そしてマレーシアの最大の課題を解決するためのテクノロジー活用に、マレーシアと協力して取り組んでいくことを楽しみにしています。
AWS がマレーシアの公共機関のお客様をどのようにサポートしているか、ぜひ以下のビデオでご覧ください。
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日本の公共部門の皆様へのご案内
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このブログは英文での原文投稿を参照し、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が翻訳・執筆しました。
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