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神戸市はガバクラ先行事業にも参加。 他自治体へ先駆けて“基幹系業務”をガバクラへ移行 – AWS Summit Online 2022 登壇サマリー

今回のブログでは、 AWS ジャパン・パブリックセクターより、2022年5月25日(水)・26日(木) に開催された「AWS Summit Online 2022」における、神戸市 デジタル戦略部長の森浩三様よる講演の模様をお届けします(全8ページの投影資料は、こちら)。 ご不明の点、「Contact Us」までお問合せください。なお、他の自治体様の基幹系システムをガバメントクラウド(以下「ガバクラ」)へ移行する際にご参照いただけるよう、神戸市が採用するアーキテクチャ=サービス構成を解説する後続のブログも別途準備しております。

神戸市がデジタル化を推進する背景

「日本が目指すデジタル社会の姿と、それを実現するために必要な考え方と取り組みについて」と題したスペシャルセッションのなかで、AWSジャパン パブリックセクター統括本部長の宇佐見潮は次のように述べます。

“「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律(2021 年 9 月 1 日施行)」が施行され、「デジタル田園都市国家構想の表明(2022 年 1 月 4 日岸田内閣総理大臣 年頭会見)」も行われました。 こうした政策の流れを受けるなかで、ガバメントクラウドが高度なガバナンス機能を提供することで、国・地方に遍く広くクラウドを利用できる環境が整っていきます。クラウドを介して様々なサービスが繋がっていくことで、利便性が高まっていく。AWSはその基盤を提供する役割を担っていきたいと思っています。 それではここでガバメントクラウドの先行事業にも参加する神戸市様のデジタル化推進の取り組みについて、ご紹介させてください“

── このように、スピーカーである神戸市様がご紹介されました。

今回、ご登壇いただいたのは、神戸市デジタル戦略部長の森浩三様(以下、「森部長」)です。以下に、登壇内容のサマリーをご紹介します。

森部長は、冒頭、次のように「神戸市がデジタル化を推進する背景」を説明します。 “神戸市は平成7年に阪神淡路大震災を経験しました。その復旧・復興のために、非常に厳しい財政運営を強いられ、9,000人近い職員数の削減など、大幅な体制の削減もせざるを得ませんでした。同時に、社会経済状況の複雑化に伴い、市役所が対応すべき「行政需要」というのは量・質ともに増えていきます。結果的に職員一人当たりの負担が増えてしまう。そうした問題が、非常に深刻になっていました(投影資料p.1)。これが、神戸市がデジタル化に取り組みはじめた、大きな背景となります。“

そして森部長は、「職員一人当たりの業務負担を、テクノロジーを活用して合理化していく取り組み」、今で言う「働き方改革」から始めたエピソードを振り返ります。 ”そこで我々は、平成29年に働き方改革を進めることにしました。働き方改革で私たちが掲げる目標としては、1つは職員にとって働きやすい職場、スマートなワークスタイルを実現するということ。同時に、市民にとってもスマートで優しい市民サービスを提供する。これを両立していくことを私たち神戸市は目指しています。その中では、もちろん「デジタル技術」というのをふんだんに使うということを我々は考えて、実際に実践しているところであります。(投影資料 p.2)“ 森部長は続けます。”次に、神戸市が目指すデジタル社会の姿について。当然のことながら神戸市の街の目標としては、市のビジョンで街の姿を示し、これを実現していく。そして、デジタル技術を用いてこれを早く、そしてさらに効果を増幅することを目指す──、そういうことを考えています。“ “さらに、ビジョンの先にある次のまちづくりの「基本計画」、あるいは「基本構想」においても、神戸市が目指すデジタル社会の姿が盛り込まれるべきだと私どもは考えています。そのためには、我々市役所が時代の激しい変化に対応し、デジタル技術を活用して私たち神戸市役所自身が変革をしていく。そして、その結果、市民に選ばれる街の実現に貢献をするというのが、我々の考えるデジタル社会の姿なのです“──このように、森部長は「働き方改革、デジタル技術の採用、ビジョン策定」の全てのパーツが連動していることを強調します。 次に、DXの中核要素について、説明が続きます。 “そして、神戸市にとってデジタルトランスフォーメーションというのは「3本柱」から構成される──と考えています。1つはスマートシティー。2つ目が働き方改革に代表される行政のデジタルトランスフォーメーション。そして、3つ目はデータ利活用だと我々は考えています。”

神戸市はガバクラ先行事業にも参加。
他自治体へ先駆けて“基幹系業務”をガバクラへ移行

ここで森部長より、「クラウドが果たす役割」に関して、あらためて説明が添えられます。

”このデジタル社会実現という大目標における「クラウドの意義」に関し、大きく分けると「3つ」あると考えています。1つはSaaSに代表される、より質の良いサービスをいち早く市民にお届けをするということ。これはコロナ対策においても力を発揮したところであります。(投影資料では、1日の利用実績が約500件を超える「受診先相談チャットボット」や、アクセス数が1日あたり13万件を超えた「特別定額給付金申請状況検索サイト」が例示されています)“

“2つ目がPaaSに代表される安全な環境で、外部のサービスとの連携を容易にすることで、サービスの可能性を広げていくということ。そして3つ目がガバメントクラウドに代表されるIaaSの活用。日本電気株式会社(NEC)の住記システムや、株式会社日立製作所の共通基盤システムなどいわゆる“基幹系”と呼ばれるシステムに関して、「クラウド移行の検証をすすめ、既存環境のガバメントクラウド移行を着実に進めていく。これを他都市・他の自治体に先駆けて、模範となるように神戸市は進めていく考えでいます。“ – (下記掲載、投影資料 p.7)

市のビジョン、働き方改革、クラウドの意義──。主要テーマに触れてきた森部長の講演は、最後に、やはり外すことのできないトピックである「人材育成」へと続いていきます。 “同時に、このクラウドの資源を使いこなし、仕事・業務・サービスをデザインできる職員を市役所の内部でどれだけ増やしていくか。具体的には、2030年度の目標値として職員の1%相当の120名を「デジタルエキスパート」、さらに各所属最低1名以上を全庁400名規模で「DX(業革)推進リーダー」として、“クラウド資源を駆使できる職員の育成”を目指しています(下記掲載資料 p.8)。こういった人材育成も、これから神戸市は力を入れていきたいと考えています。“

“神戸市はクラウドサービスを活用し、行政のデジタルトランスフォーメーションを今後も引き続き、強力に進め、50年後、100年後の市民にまで安心して住んでいただける持続可能な都市運営をしてまいりたいと考えています。”──── このように、未来に向けたサステナブルな都市経営の観点を強調いただき、森部長による講演は締めくくられました。

Learn More

  • 神戸市発表 「デジタル庁のガバメントクラウド先行事業に採択されました!~政令指定都市からは唯一の取り組み~」(令和3年10月27日):Link Here
  • デジタル庁「ガバメントクラウド先行事業(市町村の基幹業務システム等)の採択結果を公表しました」(令和3年10月26日) :Link Here
  • なお、他の自治体様の基幹系システムをガバメントクラウド(以下「ガバクラ」)へ移行する際にご参照いただけるよう、神戸市が採用するアーキテクチャ=サービス構成を解説する後続のブログも別途準備しております。

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このブログは 東京サミットでのご登壇内容をもとに、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が執筆しました。神戸市様の協力・監修に感謝申し上げます。

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小木 郁夫
AWS ジャパン パブリックセクター
統括本部長 補佐(公共調達渉外)
BD Capture Manager
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#AWSCultureChamp (2021年7月~2022年6月)