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消費財パートナー対談: Orbital Insight 社による地理空間分析とサステナビリティ

COVID-19 のパンデミックは、かつてない混乱を引き起こしました。たった数日間で世の中は大きく変わりました。自宅待機命令やロックダウン、マスク着用義務、ソーシャルディスタンスが定着するにつれ、新しい消費行動が急速に浮上しました。おそらく、消費財業界ほどパンデミックの劇的な影響を感じた業界はないでしょう。しかし、リーダーたちは回復力を信じ、粘り強くイノベーションで推進しています。AWS 戦略パートナーのエグゼクティブとの対談を通じて、この困難な時代におけるリーダーシップとイノベーションを紹介します。

消費財パートナー対談ブログシリーズのこの記事では、地理空間分析の会社、Orbital Insight 社の製品・マーケティング・デザインのシニア VP である Jens Tellefsen 氏と対談しています。Orbital Insight 社は、ユニリーバ社、世界銀行、米国国防総省などの組織が、地球上で何が起こっているのかを理解する支援をしています。彼らの提供するセルフサービス分析プラットフォームでは、サプライチェーンの脆弱性や機会、または国家安全保障に関する情報が強調されます。

 

AWS : まず読者に Orbital Insight 社の優位性を理解してもらいましょう。得意分野はなんですか?消費財業界のリーダ達とどう関わっていますか?

Jens Tellefsen氏 :  弊社は地理空間情報を得意としており、グローバル企業や政府機関が、衛星画像、コネクテッドな機器や車両からの位置データ、センサーデータを活用して、地上で起こっていることを理解できるように支援しています。人工知能(AI)と機械学習(ML)を用いてほぼリアルタイムで膨大なデータを処理し、ユーザーはウェブベースのセルフサービス分析プラットフォーム上で結果を分析することができます。

サプライチェーンを管理する多くの消費事業界のリーダ達と会話してきました。多くの企業が、サプライチェーンの効率性、透明性、サステナビリティを高めるためにデータを必要としています。我々は、彼らが自社の製品が時系列に地球上でどう移動しているかを理解するためにプラットフォームを提供しています。多くの消費財企業リーダーがサステナビリティに関心を持っています。例えば、企業のパーム油の調達場所を追跡し、サステナビリティに反した違法森林伐採などの慣行に関わっている地域があれば警告を発することができます。ユニリーバ社が彼らのサプライチェーンから森林伐採を完全に根絶するよう支援もしています。

また、原材料の調達から、物流センターの効率的運用、消費者行動パターン、製造とサプライチェーンの競争分析まで、あらゆるトピックをより深く理解したいと考えている CEO やシニア VP と連携しています。

AWS :  消費財業界の企業はかつてない混乱を乗り越えてきました。お客様にとって最大の課題は何ですか?

Jens Tellefsen氏 :  COVID は、多くの企業に自社のサプライチェーンに対する意識の欠如を認識させました。多くの企業は、自社の間接的な調達先について理解していなかったのです。パンデミックにより、サプライチェーンの弾力性と材料の流れをよりよく監視する方法について考える必要に迫られています。企業は何万社にもなる Tier 2、Tier 3 サプライヤーと取引きしているものの、取引先の詳細をよく知らないのです。場合によっては企業の調達先の多くが同じ Tier 2 サプライヤーに依存していて、考えているほど多様化できていないこともあります。COVID によって明らかになった未知の脆弱性は、Orbital Insight のツールによって世界規模の危機を未然に明らかにすることができます。

AWS :  市場と消費者の期待の変化に合わせて、自社の運用環境を調整する消費財企業をどうお考えですか?

Jens Tellefsen 氏 : COVID-19 が消費者の購買行動に与えた影響を誰もが理解しています。個人としても、毎日その影響を受けています。多くはリモートワークの恩恵を受けています。オンラインでの購入が増えました。ほとんど外に出ず、オンラインで親しい人たちと連絡を取り合っています。自分の健康について考えるようになった人もいます。

こうした行動の変化は消費者と企業の需要に大きく影響を与え、従来の需要予測モデルを変化させました。多くの人が、今まで会社、レストラン、学校にかけていた時間(とお金)を家庭に費やすようになりました。消費財企業は、新しい消費者のニーズに対応できるように、今起きているライフスタイルの大きな変化に関する定量なデータを非常に必要としています。在宅勤務者が増えていますが何パーセントでしょうか?都道府県や市区町村によって違うのでしょうか?他国はどうでしょうか?消費者や小売業者に商品を配送する物流センターはどれくらい効率的にできているのでしょうか?Orbital Insight はこういったトレンドをほぼリアルタイムで定量化することができ、マクロ経済とミクロ経済の両方の規模で分析を行うことができます。

AWS: 消費財業界には強い弾力性があります。ニューノーマルに対して、消費財企業にとってテクノロジーとクラウドはどのような役割を果たしているでしょうか? 消費財企業が自社製品の製造(make)、配送(move)、販売(market)する方法を強化するためのテクノロジーをどのようにご覧になりますか?

Jens Tellefsen 氏: クラウドは消費財企業にとって画期的なもので、デジタルネイティブのデータ分析ソリューションが消費財の製造・販売・購入方法に及ぼす影響が明らかになりつつあります。クラウドテクノロジーにより、Orbital Insight は GO と名付けている驚異的なツールを作ることができました。これにより、人と製品の動きを前例のない規模で誰でも分析できます。エンジニアリングチームが作り上げたものについては驚くことばかりです。数ペタバイトの衛星画像を分析し、ML と AI によってそれらの画像から 90億個以上の個々の物体を特定しました。人間が同じ作業を行うのにどれくらい時間がかかるのかを想像してみてください。写真を見て、物体を1つずつ数えるという簡単な作業です。私たちは、1日に何十億もの匿名ジオロケーション情報を取得し、そのデータとその他の IoT データを取り込み、コンピュータビジョンの助けを借りて独自の ML アルゴリズムが処理する衛星データと統合します。その規模には気が遠くなります。地球全体のレベルで世界を見ることも、または個々の国、州、町、施設にフォーカスして、特定の経済がどのように行っているか、人口や物質がどのように動いているかを追跡することもできます。業界全体または個々の企業の動向を追跡することが可能です。ミズーリ州カンザスシティにある単一のターゲットの経済パフォーマンスを追跡できます。テクノロジーが進化するにつれ、このようなデータを元にすばやくズームイン/ズームアウトできることがより容易になります。簡単に世界を手に入れることができます。

AWS: 現在の消費財業界の混乱の中で、変化に対応するために御社はどのようなイノベーションを行っていますか?

Jens Tellefsen 氏: ユニリーバ社と協力して、サプライチェーンのトレーサビリティを再考していますが、とても刺激的です。彼らは、2023年までに、自社製品から森林破壊への関与をなくすことに取り組んでいます。当社では、自社製品の多くに流入しているパーム油の移動を追跡する方法を変革することで、その目標を達成できるよう支援しています。過去には、ユニリーバ社も含め、自分のサプライヤに調査を実施し、サプライチェーンを追跡していました。このプロセスは、大量のリソースを要するにも関わらず不完全であり、信頼性が疑わしいものでした。調査には、実態を隠す理由を持つようなサプライヤーの協力も必要です。アンケートの回答の多くは主観的で、あまり更新されていません。サプライチェーン内のすべての組織を対象とした包括的な調査には、数か月の機関と数十万ドルの費用がかかります。高価で、古くて、信頼性の低いデータに対して対価を支払うことになります。ユニリーバ社のサプライチェーンのあらゆる要素の動きをマッピングし、モニタリングするために、弊社の技術をユニリーバ社のサプライチェーンに適用できる機会を得たことに感謝しています。
衛星画像、ジオロケーション、その他のセンサーデータがほぼリアルタイムで提供され、デジタルネイティブだからこそ本質的にコスト効率の高いデータを使用できます。

ユニリーバ社との取り組みはパンデミック前に始まりました。しかし、このパンデミックは、サステナビリティや不確実で急速に変化する世界に対応するために、企業が自社のサプライチェーンの脆弱性を理解することがどれほど重要であるかを示してくれました。

ユニリーバ社とのコラボレーションにより、私たちのテクノロジーも大きく進化しました。これからも革新的な技術を使用して、自社製品の生産と事業運営の方法を改善したいと考えている他業界、より多くの消費財企業と協力できることを非常に楽しみにしています。我々の顧客のクリエイティブな活動にとても関心を持っています。

AWS: 今後も「ニューノーマル」が話題にしばらく残りそうです。あなたにとって、「ニューノーマル」とはどのようなものに映りますか?消費財業界は3年後にどのようになっていると思いますか?

Jens Tellefsen 氏: COVID は消費者の習慣を劇的に変え、人々は自分たちがどう生きていくべきなのかについて疑問に持つようになりました。パンデミックの影響について最も興味深い分析の1つは、米国での移住パターンです。リモートワークの習慣が何らかの形で残るでしょう。より多くの消費者が、住む場所を柔軟に選べるようになります。この傾向は、米国の50州にわたり、50通りの予防接種や経済再開計画のアプローチがあり、特に COVID 回復が始まる中で、消費財業界にとって非常にダイナミックな環境を作り出しています。

この状況下でクラウドベースの地理空間インテリジェンスツールがちょうどよいタイミングで登場したのです。COVID-19 が消費者の需要を予測する企業の能力を阻害した時、我々は地球上で何が起こっているのかを知るために設計された新しいツールを持っていたのです。これらのツールでは、高速化する AI によって膨大な量のサプライチェーンデータの分析をしており、相互依存の多いコネクテッドな世界で必要とされています。企業は、機会が許す限り、AI を最大に活用し、人間の専門知識とともにサプライチェーンや消費者が日常生活の中で直面している問題を動的に解決する必要があります。

AWS: 消費財業界で最も楽しみにしていることは何ですか?

Jens Tellefsen 氏: 私たちのミッションは、地球に、また地球上で何が起こっているのかを人々が理解できるようにすることです。消費者の多くは、商品がどのように製造され、どう届けられるかについて知らないでしょう。弊社の既存のツールと開発中のツールにより、企業や消費者は、製品がどのように製造され、どこから来たのかを容易に知ることができるようになります。その結果、消費者の需要の変化により適応できる、より効率的でサステナブルな生産につながります。サプライチェーンは、より汎用性が高まり、変化する環境に適応する能力を身につけられます。お客様は、使用する製品について十分な情報に基づいた意思決定を行う知識と力を持ち、消費財企業は、地球をよりよくするためにどのように貢献しているかを示す分析データを生成することができます。

将来的に、消費財企業は、原材料から顧客までのサイクル全体にわたってサプライチェーンをモニタリングすることができるようになるでしょう。また、Orbital Insight などの企業が構築しているモデルが、過去データによって傾向パターンを特定できるため、製造側の断続の可能性や消費者の新しい流行などの将来を予測できるようになります。

AWS: Jensさん、本日の対談をありがとうございました。知見と専門知識を共有していただいて、感謝します。

 

Orbital Insight 社や AWS にご質問がございましたら、ぜひこのブログにコメントするか、あるいは Orbital Insight 社にデモをリクエストしてください。このブログシリーズを楽しんでいただけることを期待します。ご質問やご意見をぜひコメントとしてお寄せください。

 


著者について

Jens Tellefsen

Jens Tellefsen 氏は、Orbital Insight 社の製品、マーケティング、およびデザインのシニア VP を務めています。 彼は、AI、ソーシャルインテリジェンス、自然言語処理、価格と利益の最適化、販売手数料管理をカバーする多くのエンタープライズソフトウェア会社で20年以上にわたって製品管理チームを構築し、リードしてきました。 Orbital Insight 社の前は、Quantifind 社、NetBase Solutions 社、Vendavo 社、Callidus Software 社、および Trilogy 社で製品エグゼクティブを務めました。マッキンゼー・アンド・カンパニーに2年間在籍し、フォーチュン500企業に企業戦略について助言していました。

Kevin E. McCurdy

Kevin E. McCurdy は、グローバル CPG セグメントリード– AWSのAPNであり、戦略的なISVおよびSIパートナーとの関係を特定して関与する責任があります。 以前は、E2open で VP – Demand SignalManagement を務めていました。 Orchestroの戦略的アカウントの共同創設者兼VPであり、後に E2open に買収されました。 また、MercariTechnologies の共同創設者兼事業開発およびサービス担当副社長も務めました。 ケビンは、コカ・コーラ、ジェネラルミルズ、ケロッグ、ペプシコ、ユニリーバ、クラフトハインツなどのグローバル消費財企業や小売業者と協力して、サプライチェーン管理、カテゴリ管理、需要信号管理で25年以上の経験があります。 彼はペンシルベニア州立大学でビジネスロジスティクスと国際ビジネスの理学士号を取得しています。

 

翻訳は Solutions Architect、 Mickael Charneau が担当しました。原文はこちらです。