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強化された AWS Pricing Calculator (パブリックプレビュー)でパーソナライズされたコスト見積もりを作成しましょう

本日、強化された AWS Pricing Calculator が、請求とコスト管理コンソールからパブリックプレビュー機能として利用できるようになったことを発表致します。新機能では、新しいワークロードや既存の AWS 使用量の変更についてディスカウントを含めた正確なコスト見積もりを行うことができます。これにより、あるリージョンから別のリージョンへのワークロード移行、既存のワークロードの変更もしくは新しいワークロードの計画やコミットメント購入計画などについて時間を節約しコスト見積もりの正確性を向上させることができます。 既存の Web サイトとしての Pricing Calculator と異なり、強化された Pricing Calculator を開始するには開始するには、請求とコスト管理コンソールにログインし、左側ナビゲーション内の “予算と計画” セクションにある Pricing Calculator (Preview) / 料金見積りツール (プレビュー) をクリックしてください。

AWS Pricing Calculator のこれまでの歩み

最もよくある一般的な質問の 1 つは、” AWS 上でワークロードを実行するとどのくらいコストがかかりますか?” というものです。これに応えるために、2007 年に AWS Simple Monthly Calculator をローンチしました。これは、最新の料金変更に対応し、簡単にコスト見積もりを行えるツールです。2018 年には、AWS Pricing Calculator をローンチしました。シンプルな UI で幅広いサービスに対応しており Pricing Calculator はすぐに AWS ワークロードのコストを見積もるための頼りになるリソースとなりました。2023 年には、 1 つのツールですべてのアーキテクチャのニーズに対応した料金を調査できるよう Simple Monthly Calculator の廃止を決定しました。これ以来、Pricing Calculator の機能を向上させ拡張し続けてきました。

本日のローンチ以前は、AWS Pricing Calculator を利用して AWS 上のワークロードのコスト影響を評価できました。しかし、ディスカウントについては自分自身で計算する必要がありました。さらに、変更を加える場合にはまず既存の使用量を収集する必要がありました。また、コストの見積もりを保存したりチームで共有するための出力や管理プロセスを構築する必要がありました。

強化された Pricing Calculator (パブリックプレビュー)

お客様からのフィードバックを取り入れて、請求とコスト管理コンソールで利用できる新しく強化された AWS Pricing Calculator を開発しました。まず、AWS アカウントで Pricing Calculator にログインし、見積もりに過去の AWS 使用量をインポートできるようになりました。また、これらの見積もりをアカウントに直接保存し、今後のリファレンスとできます。次に、AWS が請求書を作成するために利用しているものと同じ計算ロジックを利用して AWS 請求全体のコストを見積もることができるようになりました。この機能により、Savings Plans や Reserved Instances などの様々なディスカウントが全体のコストにどのように影響するのかより詳しく理解するために役立ちます。最後に、ディスカウントを適用させながら、特定のワークロード(すべての AWS 使用量のサブセット)のコストをインタラクティブに見積もることができます。開始するには、請求とコスト管理コンソールにログインし、左側ナビゲーション内の “予算と計画” セクションにある Pricing Calculator (Preview) / 料金見積りツール (プレビュー) をクリックしてください。それでは、詳細について見ていきましょう。

2 種類の見積もり

新しい Pricing Calculator の機能は、パブリックプレビューとして 2 種類のコスト見積もりをサポートしています。ワークロード見積もりと請求見積もりです。

  • ワークロード見積もりを利用すると、様々なワークロードやアプリケーションの変更によるコスト影響をインタラクティブにモデル化し、ディスカウントを適用した効果を自動的に含ませることができます。アプリケーションを所有している場合や、アプリケーションに関する財務もしくは組織内の使用量に関して責任を持っている場合は、こちらの見積もりが役に立ちます。ワークロード見積もりは、管理アカウント、メンバーアカウントとスタンドアロンアカウントすべての AWS アカウントで利用できます。
  • 請求見積もりを利用すると、管理アカウントのユーザーは AWS サービスの使用量の変化に加えて、Savings Plans と Reserved Instances を含んだりコミットメント金額を調整した見積もりを作成できます。これはすべてのコストと使用量が一括請求で計算されることにより実行されます。一括請求での見積もりは、アカウント間で割引の共有を行いながら活用できるため、より長期間のコミットメントを含めたシナリオを評価したいお客様によって特に有益です。

おそらく皆さんは、この新しい Pricing Calculator の機能を活用する色々な方法について考えているのではないでしょうか?まさに、新しいビジネスをサポートするための既存ワークロードの拡張や新規ワークロードの追加、レジリエンシー、パフォーマンスもしくはコスト最適化などの理由による新しいリージョンへの移行や推奨されるライトサイジングの実装といったシナリオに活用できます。既存の Amazon EC2 の使用量を変更しながら新しく Amazon RDS を追加する必要があるユースケースについて、お客様が手短な回答を探している例について見てみましょう。

ワークロード見積もり

あなたが所属するチームが m5d.16xlarge インスタンスの使用量を月あたり 355 時間から 1460 時間に増やすことを決めました。見積もりコストは増加しますが、他のワークロードを変化させた場合のコスト影響も一緒に確認したいとします。

自分のアカウントで Pricing Calculator にログインし、使用可能なパラメーターとしての日付範囲やフィルター(リージョン、アカウント、タグやコストカテゴリなど)を用いて過去のワークロードをインポートし、ワークロード見積もりを作成してください。EC2 サービスの使用量のみをインポートすることができます。これを実行するために、Amazon Elastic Compute Cloud サービスでフィルタリングし、新しい使用グループを作成して名前を付け、詳細を設定してサービスの使用量を編集してください。

図 1. ワークロード見積もりへ過去の EC2 使用量を追加した例

図 1. ワークロード見積もりへ過去の EC2 使用量を追加した例

図 2. 既存 EC2 の使用量詳細の編集例

図 2. 既存 EC2 の使用量詳細の編集例

状態の列が “Modified” となり、フィルタリングされたベースライン使用量と変更された推定コストの比較をすぐに確認することができます。

図 3. ワークロード見積もりのランディングページ例

図 3. ワークロード見積もりのランディングページ例

既存の EC2 使用量を変更することに加えて、チームはさらに新しく追加する Amazon Aurora MySQL データベースの使用量に関するコスト影響を把握したいと考えています。このような場合は、新しい Amazon Aurora の使用量を同じワークロード見積もりに加えることができます。これを行うために、“Amazon Relational Database Service” でフィルタし、新しいサービス使用量を加え、詳細を設定することでコストへの影響をすぐに確認することができます。

図 4. 新しく Amazon RDS ( Aurora 使用量)を追加した例

図 4. 新しく Amazon RDS ( Aurora 使用量)を追加した例

図 5. 新しい Amazon Aurora の詳細設定例

図 5. 新しい Amazon Aurora の詳細設定例

新しく Amazon Aurora の使用量を設定すると、Amazon Aurora の使用量をすぐに反映した見積もりをテーブルで再度確認できます。

図 6. 更新されたワークロード見積もりページ例

図 6. 更新されたワークロード見積もりページ例

請求見積もり

チームがワークロードの成長によるコストへの影響について理解した後に、増加した使用量をカバーする新しい Savings Plans を購入する必要があるとします。請求見積もりの機能により、Savings Plans と Reserved Instances の両方を含む AWS 請求全体のコストをモデル化することができます。例えば、m5d.16xlarge EC2 インスタンスの月あたりの使用量を 355 時間から 1460 時間へ増やし、この増加分をカバーするために $1.00/hour の EC2 Instance Savings Plans を追加購入するとします。この場合、請求見積もりを使用することで、全体への影響を把握できます。これを行うためには、新しい請求シナリオを作成し、先月の EC2 使用量をインポートします。次に、増加した使用量を反映させるために関連する使用量の行を変更し、さらに新しい Savings Plans を請求シナリオに追加します。これらの手順を完了させたら、‘Create report’ をクリックして請求シミュレーションを開始してください。

図 7. 請求見積もりページ例

図 7. 請求見積もりページ例

シミュレーション結果が作成されると、請求見積もりのリストで確認することができます。見積もりのタイトルをクリックして、詳細を確認できます。請求見積もりの結果ページでは、一括請求ファミリーのコストと使用量に関する課税前の重要な情報が表示されます。上位 7 サービスと明細項目レベルで変更されたコストと使用量を確認できます。明細項目では、シナリオで使用量が変更された行とコミットメントでカバーされ変更された行やディスカウント適用に伴い変更された行が含まれます。

図 8. 請求結果ページ例

図 8. 請求結果ページ例

注意点

  • レイテンシー:ワークロード見積もりでは、すぐにコスト見積もりを取得できます。請求見積もりでは、処理するデータのサイズに依存しますが、新しい設定の詳細を利用して完全な請求を計算する必要があるため、最大 12 時間の待ち時間が発生する可能性があります。これは非同期処理となり、完了するとメール通知を受け取ります。
  • Savings Plans コストモデリング:時間あたりのコミットメント金額が異なる個別の Savings Plans を購入した場合のコストへの影響について分析するために、新しくローンチされた Savings Plans Purchase Analyer を利用し、様々な購入シナリオにまたがった推定削減額、カバレッジと使用率をインタラクティブにモデル化できます。もし、組織の使用量にまたがった既存のすべての Savings Plans、Reserved Instances とディスカウントに加えて、新しく追加したり変更した使用量、Savings Plans や Reserved Instances によるコスト影響を総合的に把握したいのであれば、Pricing Calculator の請求見積もり機能を利用してください。

結論

新しい Pricing Calculator の機能は、コスト計画に対する確信を高め、組織が必要とする重要なビジネスの意思決定に必要なクリティカルな回答を得るための処理を迅速にします。詳細については、 AWS Pricing Calculator のユーザーガイドAPI ドキュメント料金を参照してください。(訳者注:ワークロード見積もりは、無料で作成できます。請求見積もりは、月 5 件まで無料で作成できますが、以降は 1 件あたり $2 の費用が発生します。)

翻訳はテクニカルアカウントマネージャーの加須屋 悠己が担当しました。原文はこちらです。

Jeremiah Myers

Jeremiah Myers

Jeremiah は、AWS Billing and Cost Management services のシニアテクニカルプロダクトマネージャーです。クラウドコストの責任者がAWS 上の将来のワークロードをよりよく計画できる支援に注力しています。以前のキャリアでは、複数のグローバルソフトウェア製品をローンチし、ベンチャー企業をバックアップするスタートアップを共同成立しました。

Bowen Wang

Bowen Wang

Bowen は、AWS Billing and Cost Management services のプリンシパルプロダクトマーケティングマネージャーです。財務やビジネスのリーダーがクラウドの価値と Cloud Financial Management を最適化する方法をより理解できるようにすることに重点を置いています。以前のキャリアでは、テックスタートアップの中国市場参入を支援していました。