Amazon Web Services ブログ

AWSの日本への投資と経済効果

2011年からのAWSリージョンに関する国内投資額を公表

アマゾン ウェブ サービス(AWS)は、お客様によるITシステムのモダナイゼーション(現代化)、安全かつ適切なスピードでのイノベーションを支援することで、日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)を後押しし、持続可能な経済成長を加速することにコミットしています。そしてこのコミットメントを技術的に支えるものとして、2011年に東京にAWSアジアパシフィック(東京)リージョン(データセンター群)を、2021年にはAWSアジアパシフィック(大阪)リージョンをスタンダードなAWSリージョンへと拡大し、お客様を支援してきました。これら2 つの AWS リージョンに関する設備・運用投資総額は、2011年からの累計で1兆3,510 億円に、そのうち2022年単年で3,480億円となる見込みです。さらにこの投資の結果、AWS リージョンを通したAWSの日本の国内総生産(GDP)への寄与は2011年からの累計で1兆3,060 億円となることがわかりました。AWSリージョンへの関連投資は、2022年単年で社外のサードパーティベンダーにおける20,300人超のフルタイム雇用を創出する見込みです。

上述の東京・大阪の2つのリージョンは世界水準のクラウドインフラストラクチャであり、日本のお客様はこの2つのリージョンを通じて 200 を超えるフル機能のクラウドサービスをご利用いただけます。これにより、日本のお客様はより低遅延にAWSクラウドにアクセスし、耐障害性(fault tolerance)、復元性(resiliency)、可用性(availability)を高めながらITシステムを設計することが可能となりました。

創業初日から、お客様の信頼を第一に

世界では現在、数百万のお客様がAWSに信頼を寄せてくださっています。日本では数十万のお客様が国内のクラウドインフラストラクチャ上で、多くは機密性が高く、安全性が求められるITシステムにAWSをご利用いただいています。大企業からスタートアップ企業、公共機関を含む日本のお客様が AWS を活用し、製造、自動車、金融、医療、行政サービスなどの分野で、各組織のDXゴールを推進しています。また、デジタル庁は2021 年、2022 年に、各府省庁や地方公共団体その他の政府機関による利用を想定して整備を進めるガバメントクラウドにクラウドサービスを提供する事業者の 1 社として AWS を選択しました。AWSのグローバルクラウドインフラストラクチャは、日本のお客様による世界のデジタルエコノミーへの架け橋ともなり、デジタルサービスの輸出と日本におけるデジタルイノベーションの拡大を支えます。

AWSはまた、日本のお客様がクラウドを活用して持続可能性における目標を達成できるよう支援することにも注力しています。ITシステムをオンプレミスからクラウドデータセンターに移行することで、エネルギー消費量とそれに付随する温室効果ガスの排出量を80%近く削減できます。AWS自身の規模とインフラストラクチャを活かすことで、典型的なオンプレミスのデータセンターと比べ、高いリソース稼働率とエネルギー効率を実現しています。さらに、AWSクラウドへの移行後、多様なツール、サービス、ソリューションを活用してお客様が持続可能性を向上させ、サステナビリティにおけるイノベーションを加速できるよう支援しています。例えば、AWS は今年3月、Customer Carbon Footprint Toolの提供を開始しました。これは、お客様がオンプレミスのデータセンターの代わりに AWS を使用して削減したCO2排出量の推定値を計算できるようにするものです。

私たちは、サステナブルな世界を構築することに深くコミットしています。Amazonは、2025年までに全世界の事業を 100% 再生可能エネルギーで賄うという目標に向けて歩んでいます。また、世界最大の再生可能エネルギー購入企業として、日本で三菱商事と進める22メガワット (MW) の太陽光発電プロジェクトを含め、世界中で379件の風力および太陽光プロジェクトを展開しています。

日本のパートナー、スタートアップ、デジタル人材を育成

AWSは活気に満ちたパートナーコミュニティとともに、日本のお客様のイノベーションを支援しています。AWSは、世界で 10万 を超える独立系ソフトウェアベンダーとシステムインテグレーターなどが参加するAWS Partner Network(APN)を通じて、日本のパートナーにビジネスチャンスを提供するとともに、技術、マーケティング、市場開拓におけるサポートを提供しています。日本のシステムインテグレーター、コンサルティングパートナー、独立系ソフトウェアベンダーは、企業や公共部門のお客様の AWS への移行を支援し、ミッションクリティカルなアプリケーションを展開し、お客様の環境に関するあらゆる種類の監視、自動化、管理サービスを提供しています。また、パートナー各社のAWS ビジネスを加速するために、日本国内の複数のシステムインテグレーター(NEC富士通クラスメソッドNTTデータ日立システムズ)が、トレーニング、市場開拓、業界ソリューションの開発を含む、複数年にわたる戦略的協業契約を締結しています。AWSは日本のパートナー各社と緊密に連携し、各社がAWS パートナー専用のリソース、トレーニング、特典を活かして、お客様向けソリューションやサービスを構築するのを支援しています。日本のパートナーとのコラボレーションは、お客様によるクラウドでのビジネス構築、移行、成長を加速する力となっています。

AWS は教育プログラム、また、トレーニングと認定を通じて、日本がデジタルスキルの課題に対処し、クラウドの可能性を最大限に引き出すための支援にも多くを投資しています。AWS が戦略・経済コンサルティング会社である AlphaBeta に作成を委託した調査によると、2025 年までに、日本の雇用主が最も必要とするスキルの上位2つはクラウドとサイバーセキュリティ関連スキルと予測されています。AWS は 2017 年以降、日本で 40万人以上にクラウドスキル習得に向けたトレーニングを提供し、個人や組織がクラウドを活かしたイノベーションを進められるよう、需要の高いクラウドスキルとベストプラクティスを提供してきました。例えば、凸版印刷株式会社は2021年、AWSで本格的なデジタルトランスフォーメーションに着手しました。122年の歴史を持ち、2025年のビジネス変革目標に向けて従業員のクラウドスキルを向上させたいと考えていた同社は、AWSと連携して3か月間にわたり、のべ1,600人以上の従業員にAWSのクラウドスキルトレーニングを実施しました。さらに、わずか1年間で同社の1,050人に及ぶ従業員がAWS認定を取得するのを支援し、同社のDX推進のイニシアチブの実践に不可欠なクラウドスキル所有者を把握しやすいようにサポートしました。

日本のスタートアップ企業も AWS を活用して成長しています。スタートアップ企業は、クラウド上でのビジネスの立ち上げ、成長、拡大を支援する AWS のリソースとプログラムの恩恵を受けています。例えば、AWSはAWS Activate プログラムを通じて、世界中の数十万ものアーリーステージのスタートアップ企業に、ビジネスを成長させるための強力なツールとリソースを提供してきました。AWSは2013年に本プログラムの提供を日本を含む世界で開始して以来、数千に及ぶ日本のスタートアップ企業に数十億円に相当する支援を行ってきました。AWSを活用した革新的なソリューションで公共分野の課題解決に取り組むスタートアップ企業向けには、AWS Startup Rampを通じて、技術支援・トレーニング、コミュニティ、コネクション・Go-To-Market 支援、最大10万米ドル相当のAWS 無料利用クレジットを提供しています。

日本のセキュリティとデータ統制のニーズに応える

AWSは、重要なデータやインフラストラクチャを安全に保つためのレジリエンスを維持することが、日本のお客様や公共機関のお客様にとって最優先事項であることを理解しています。世界で最も厳しいセキュリティ要件を満たすように設計されたAWSのクラウドインフラストラクチャは、お客様のデータの機密性、完全性、可用性を確保するために、24時間365日監視されています。データセンターとリージョンを相互接続する AWS グローバルネットワークを流れるすべてのデータは自動的に暗号化されます。

日本のお客様は、ご自身でいつでも、暗号化、移動、保存管理などの機能を活用して、データを常に管理でき、最も安全なグローバルITインフラを構築することが可能です。AWS は2021 年 3 月、パブリッククラウドサービスのセキュリティを評価し、政府調達のためのベースライン要件を設定する政府のイニシアチブである「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(Information system Security Management and Assessment Program: 通称、ISMAP(イスマップ))」の認定を受けた最初のクラウドサービス事業者の1つとなりました。AWS は、クラウドコンピューティングの情報セキュリティの側面に関するガイダンスであるISO/IEC 27017:2015、クラウドにおける個人データの保護に焦点を当てた国際的な実務規範であるISO/IEC 27018:2019、SOC1、SOC2、SOC3 などの、第三者のセキュリティ保証フレームワークに準拠していることを示す、国際的に認知された数多くの認証や認定を取得しています。

AWSはまた、お客様のセキュリティの水準を高め続けるため、長期視点で目的に応じたテクノロジーとシステムに投資しています。たとえば、AWS Control Tower のRegion Selectionを活用することで、お客様はデータを保存および処理する地理的な場所を効率的に管理できるようになる他、AWS Nitro System はコンフィデンシャルコンピューティングをサポートし、管理者アクセスを禁止し、人為的エラーや改ざんの可能性を排除します。AWS は引き続き、データ管理、セキュリティ、プライバシー機能を構築し、パートナーと連携して、お客様のデータ統制に関するご要望に応えるソリューションを開発することで、お客様が最も高性能で革新的、信頼性の高いクラウドを活用し、その価値を活かせるように取り組んでいきます。私たちは、世界中のお客様が国内外で革新と競争を続けることができるよう、世界最高のテクノロジーを自由に選択できるようにすべきだと強く信じています。

長期視点で日本のお客様、日本のデジタルトランスフォーメーションにコミット

これらのイニシアチブと投資は、AWSの日本への長期にわたる深いコミットメントと、日本のお客様にとっての重要事項への深い理解を示すものです。世界をリードするクラウドインフラストラクチャの構築、日本企業との連携、デジタル人材の育成と雇用創出への取り組みを通じて、私たちの国のデジタルトランスフォーメーションを引き続き支援し、経済発展に貢献してまいります。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 代表執行役員社長 長崎 忠雄