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【開催報告】業界ユースケースにフォーカス ! ファッション・アパレル業界・合同生成 AI ワークショップ

本ブログ記事は、ファッション・アパレル業界のお客様に向けて、業界ユースケースにフォーカスした生成 AI ワークショップの内容をご報告するものです。ファッション・アパレル業界のお客様に向けて、業界ユースケースにフォーカスした生成 AI ワークショップを、6 月を皮切りにスタートさせました。初回のテーマは「 EC 」、第 2 回のテーマは「実店舗」でした。本記事では、第 2 回のワークショップを中心に開催報告をお届けします。

ファッション・アパレル業界での生成 AI 活用シーン

デザインに使う画像生成、EC サイトにおけるファッションモデルの生成、バーチャル試着、レビューコメント分析、ささげ(※)業務の補完、店舗での購買データの分析、シフト生成、パーソナライズされた商品説明など、生成 AI はこれまでの「仕事のあり方」と「顧客への価値提供」に変化をもたらし始めています。一方で、「どういったユースケースで生成 AI を活用できるのか分からない」「どうやって生成 AI を適用できるのか分からない」「他社はどうやっているか知りたい」といったお客様の声を多くいただきました。そういったお客様の声に応えるべく、本ワークショップを企画しました。

※ささげ:撮影(さ)、採寸(さ)、原稿(げ)の頭文字を取った略称

図1. ファッション・アパレル業界での生成 AI 活用シーン

開催概要

1 回目 テーマ:EC    / 参加企業:10 社、26 名
2 回目 テーマ:実店舗 / 参加企業:11 社、28 

各ワークショップでは 4-5 つのグループに分かれ、ハンズオンとディスカッション、そして、同業他社様同士の交流が行われました。IT / DX 部門のみならず、店舗運営、新規事業、マーケティング、AI 推進チーム、アプリケーション開発など、多種多様な所属部門のお客様にご参加いただきました。

第 2 回のアジェンダは、下記の通りです。

  • Amazon Web Services(AWS) の生成 AI とファッション・アパレル業界における活用ユースケースのご紹介
  • 店舗スタッフの支援事例とデモのご紹介
  • ワークショップ ① 店舗のレポート作成、分析をもっと楽に
  • ワークショップ ② 店舗の商品、在庫確認をもっとかしこく

ワークショップの紹介

AWS の生成 AI とファッション・アパレル業界における活用ユースケースのご紹介
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 アカウントマネージャー 木村 幸二

2024 年に入り、多くのお客様が PoC から実装の段階へ進んでおり、実装においては生成 AI 単独ではなく、データを活用した生成 AI のカスタマイズによりビジネス価値を創出するということをご説明しました。AWS が提供する Amazon Bedrock では、カスタマイズを支援する RAG(検索拡張生成) 、また運用統合を支援するエージェントの機能を提供しており、またこれらが実装された「generative-ai-use-cases-jp(略称 GenU )」という、すぐに業務活用できるビジネスユースケース集を含む安全な生成 AI アプリケーションのサンプルを公開していることをお伝えしました。

最後に、AWS が公開している 100 以上の事例をもとに、高いビジネス価値が期待できるユースケースをご紹介しました。取り組みを成功させるためには技術面だけでなく、小規模チームの立ち上げやスピーディーな実験・改善サイクルの構築が重要であることに加え、複数ユースケースにより蓄積されるデータが連鎖的にビジネス価値を生む、ということをご説明しました。

ご参考:
100 以上の生成 AI 事例に見る 6 つの高インパクトなユースケースを自社で活用する方法 [資料]

店舗スタッフの支援事例とデモのご紹介 [資料]
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト 小林 大樹

自社の商品を SNS を使ってマーケティングするユースケースで、生成 AI を活用してその作業を効率化する事例とデモについてご紹介しました。投稿する画像と、画像からは伝わらない背景や状況に関する付加情報を生成 AI にインプットすることで、 Instagram に投稿するキャプションとハッシュタグを生成させることができます。ここでのポイントは、SNS に投稿する店舗スタッフの過去の投稿データに対して、Amazon Bedrock にそのスタッフの文体や好みを分析させることです。その分析結果をプロンプトに加えることで、投稿するスタッフに合わせた文章を生成できることをご紹介しました。builders.flash 記事「写真を撮ったら、あとはお任せ !」 Amazon BedrockとClaude でインスタ投稿自動化に挑戦 ~ F.F.B. 株式会社による生成 AI 実装解説 でも詳しくご紹介しているので、あわせてご確認ください。

ワークショップ ① 店舗のレポート作成、分析をもっと楽に [資料]
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト 濱上 和也

日報を作成する店長、および多くの日報を受け取る本部スタッフそれぞれの視点で、生成 AI を活用して日報業務を効率化する方法について、ハンズオンで体験いただきました。

店長シナリオ
生成 AI アプリケーションとして GenU を利用し、Amazon Bedrock Agents を使うことで、POS データを元に売上日報に必要なデータ集計やグラフ化を行いました。ここでは、Amazon Bedrock Agents の Code Interpreter 機能を利用しており、インプットしたデータファイルを分析、可視化するためのプログラムコードを生成し、サンドボックス環境でそれを実行して、実行結果をユーザーに応答することができます。これらの集計データをインプットに、指定した日報フォーマットに沿うサマリ日報文章を生成しました。従来は店長の負担作業であった、店舗売上のデータ集計やその結果を元にした文章作成を数秒で片付けることができました。

本部スタッフシナリオ
各店舗から届くたくさんの日報ファイルをまとめて読み込み、店長が書いた定性的なテキスト情報から、生成 AI が対応の必要な課題の抽出と対応策の検討を数秒で実現することを体験いただきました。課題の対応策として、継続的に監視すべきメトリクスが発見された場合には、本部スタッフがいつも確認している BI ダッシュボードを見直さないといけないかもしれません。そういった際には BI ツールの Amazon QuickSight の生成 AI 機能である Amazon Q in QuickSight を用いることで、自然言語で指示を出すだけで関連データの抽出やダッシュボードのビジュアル作成、さらにはエグゼクティブサマリも生成できるということをデモでご紹介しました。

ワークショップ ② 店舗の商品、在庫確認をもっとかしこく [資料1資料2]
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト 三好 雄登

2 つ目のハンズオンでは、生成 AI を活用した、店舗における商品の検索や在庫検索のユースケースを体験しました。生成 AI を本格的に業務に活用し、さらに大きなビジネス価値を生み出すには、自社のシステムやデータと、生成 AI を組み合わせることが重要です。Amazon Bedrock Agents をうまく活用することで、企業のシステムやデータソースと接続し、必要な API を自動的に呼び出して、処理を進めることができるかどうか、またはさらに情報を収集する必要があるかどうかを自動で判断することが可能です。また、ユーザーからのリクエストを理解してタスクに細分化したり、1 つのインターフェースでさまざまな作業を完結させることができます。ハンズオンを通じて、実際に Amazon Bedrock Agents を活用してドキュメントやデータベースから情報を取得する方法を体験いただきました。

お客様の声

業界ユースケースに沿った内容を実際にハンズオンで手を動かすことで、生成 AI の使いどころや AWS サービスへの理解が深まり、適用のイメージが湧いたという声を多くいただきました。これまで生成 AI を業務で活用していない、または、具体的なアイデアを思いついていなかった、というステータスのお客様のうち 35% のお客様から、このワークショップに参加して「具体的な生成 AI の活用アイデアを思いついた」という回答をいただきました。さらに、参加された 83% のお客様が具体的に活用の検討を始めてくださっています。他社との交流や事例共有の機会があったことも好評で、今後も同様のワークショップやイベントへの参加を希望する声も多くいただくことができました。

まとめ

お客様の業界ユースケースにおける生成 AI 活用事例とハンズオンの提供、そしてお客様同士のコミュニケーションによって、お客様の気づきにつながるワークショップを開催することができました。お客様の声に耳を傾けて、今後も期待に応える企画を考えてご提供していきます。

著者について

三好 雄登(Yuto Miyoshi)
技術統括本部 ソリューションアーキテクト
流通・小売・消費財のお客様を担当するソリューションアーキテクトです。居酒屋巡りが好きなので、場所、人数、目的に応じたお店選びの支援も行います。

濱上 和也(Kazuya Hamagami)
技術統括本部 ソリューションアーキテクト
流通・小売・消費財のお客様を担当するソリューションアーキテクトです。好きな AWS サービスは Amazon Connect で、業界問わずコンタクトセンター関連の技術支援も行っています。