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金融リファレンスアーキテクチャ日本版 v1.5 アップデートのお知らせ
「金融リファレンスアーキテクチャ日本版」は、金融で求められるセキュリティと可用性に関するベストプラクティスを提供するフレームワークとして 2022 年 10 月に正式版として発表し、多くのお客様にご利用いただいております。 この度、皆様からいただいたご意見を踏まえ、v1.5を公開しました。変更点の概要は以下の通りです。
[v1.5 での変更点]
新ワークロード メインフレーム連携アーキテクチャー の提供
新ワークロード ハイブリッド (AWS Outposts) アーキテクチャー の提供
Well-Architected Framework FSI Lens for FISC の FISC 安全対策基準・解説書(第12版)対応
新ワークロード メインフレーム連携アーキテクチャー の提供
勘定系を当面はメインフレームから移行せず運用する金融機関にとって、メインフレーム上のデータ AWS 環境に連携して機能拡張やデータ分析を行うのは、現実的な選択肢の一つです。本リリースでは、以下の 3 つのアーキテクチャ概要を提供します。
データレプリケーション
メインフレームで稼働する各種システムのデータを AWS にレプリケーションすることにより、データ分析や AI / 機械学習での活用や、新規サービスの開発を促進します。
非同期メッセージング
メインフレームで稼働する各種システムと AWS 上で稼働するシステムの間の非同期メッセージングにより、アプリケーション間で直接同期的に接続することなく、シンプルな API でデータを授受します。
ファイル転送
メインフレームで稼働する各種システムと AWS の間のファイル転送により、外部システム連携や、データのバックアップやアーカイブにクラウドを活用します。
新ワークロード ハイブリッド (AWS Outposts) アーキテクチャー の提供
クラウドとオンプレミスを組み合わせたハイブリッドのワークロードのうち、AWS Outposts を用いた3つのアーキテクチャを提供します。
メインフレーム周辺システム
オンプレミスで稼働するメインフレームの周辺システムに AWS Outposts を用いることにより、フロントエンドは AWS クラウドのスケーラビリティを活かし、バックエンドを AWS Outposts で処理して、メインフレームをはじめとするオンプレミスのデータも活用することができます。
データレジデンシーの実現
AWS クラウドでもお客様のデータプライバシー、セキュリティを実現することができますが、お客様のデータを特定のデータセンターに閉じた運用とする、データレジデンシーを Outposts で実現することによって、より明確に統制できます
オンプレミスのデータベースへの低レイテンシーアクセス
レガシーワークロードにおいて、バッチ処理などのトランザクション単位でネットワーク遅延が積み重なることがクリティカルな影響となる場合、データベースと同一のオンプレミスのデータセンターに設置した Outposts で処理を行うことにより、オンプレミスのデータベースへ低レイテンシーでアクセスすることができます
AWS Well-Architected フレームワーク FSI Lens for FISC の FISC 安全対策基準・解説書(第12版)対応について
AWS Well-Architected フレームワーク FSI Lens for FISC におけるベストプラクティスの追加
「AWS Well-Architected フレームワーク FSI Lens for FISC」は、「FISC 安全対策基準・解説書」に沿って、回復力、セキュリティ、および運用パフォーマンスを促進する金融サービス業界 (FSI) のワークロードを設計、デプロイ、設計する方法に焦点を当てたベストプラクティス集です。今回、「FISC 安全対策基準・解説書(第12版)」で追加された内容に対応して、複数のベストプラクティスを追加しました。
AWS Well-Architected フレームワーク FSI Lens for FISC における FISC 安全対策基準 実務基準 リファレンス項目一覧表の最新化
「AWS Well-Architected フレームワーク FSI Lens for FISC」では、「FISC 安全対策基準・解説書」の各実務基準において、参照すべき AWS Well-Architected フレームワーク、AWS Well-Architected フレームワーク FSI Lens for FISC の一覧表を提供しています。今回、「FISC 安全対策基準・解説書(第12版)」で追加された内容への対応や、一部見直しを行い、一覧表の最新化を行いました。
おわりに
金融リファレンスアーキテクチャ日本版の全てのコンテンツとコードは、パブリックの GitHub リポジトリから参照でき、Git リポジトリとしてローカル環境にクローンすることもできます。フィードバックや質問については Issue として GitHub サイト上に登録いただけます。また、執筆者に直接ご連絡頂いても構いません。ご利用される皆様からのニーズや意見に基づいて今後の改善方針を決めていきたいと考えておりますので、ご質問やフィードバックをお待ちしております。
金融リファレンスアーキテクチャ日本版 v1.5 での変更点の詳細については Github リポジトリのv1.5リリースノートをご参照ください。
本ブログ記事は、AWS のソリューションアーキテクトである皆川元、谷口祐紀、佐藤航大が執筆いたしました。