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ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社様の AWS 生成 AI 事例「 社内研修の説明付きレコメンド機能の構築」のご紹介

本ブログはケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社様と Amazon Web Services Japan が共同で執筆いたしました。

みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの山澤です。

最近、 AI 技術がどんどん賢くなってきて、私たちの仕事や生活が今後どのように変わっていくのかを同僚と話す機会が増えた気がします。このように急激に変化している時代において、「これからどのようなスキルを磨くべきか悩む」という方も多いのではないでしょうか。特に、たくさんの研修プログラムを用意している会社では、社員が自分に合った研修を選ぶのに迷うことがあるかもしれません。

本記事では、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社様が、このような課題に対して Amazon Bedrock を活用し、生成 AI による社内研修の説明付きレコメンド機能を構築されましたので、その事例をご紹介します。

お客様の状況と検証に至る経緯

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社様は、コンサルティングファームとして質の高い業務改革を推進するため、人材育成を重要視しています。この人材育成を効果的に進めるために、LECO( Learning ECO system )という社内サービスを通じて、社内研修の「講師」と「受講者」を効果的にマッチングし、学習意欲のある社員に適切な研修機会を提供されています。

しかし、このような積極的な取り組みを行っているものの、人材育成の最適化には依然として以下のような課題を感じられていました。

  • コンサルタントの育成のために、年間 250 を超える社内研修を提供しているが、各研修で受講に適している社員に受講してもらえていない。
  • 研修数が多いため、社員は各研修の内容を把握できておらず、自分に必要な研修を選択することが困難になっている。

そこで、基盤モデルの変更が容易な Amazon Bedrock を利用し、適切な社内研修を、受講すべき社員にレコメンドする仕組みを開発しました。

お客様が開発された生成 AI を活用した社内研修の説明付きレコメンド機能

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社様が開発された社内研修の説明付きレコメンド機能は、「アンケートコメント」、「社員一覧」、「職能別の期待値や評価基準」、「直近の研修受講履歴」など、多様な非定型データを活用しています。これらを Claude 3 Opus の入力データとして使用し、その出力結果を Slack に通知する仕組みを構築されました。

そして、実際に研修が実施された際に、研修の内容やレコメンドする社員を Slack にレポートとして通知しています。

こちらが Slack に通知されるレポートの例です。このレポートにより、研修を受講してほしい社員に対して、録画された研修の動画を視聴するように促しています。

また、Claude での処理は、図に示しているように、 2 回に分けて行われています。2 回に分けることで、ステップ 1 の出力結果をステップ 2 の入力として使用する工夫をされています。

  • ステップ 1 :「研修情報」、「アンケート結果」の情報をもとに、「概要」、「参加者の感想」の要約を生成
  • ステップ 2:「ステップ 1 の要約結果」、「社員一覧」、「職能別の期待値や評価基準」、「直近の研修受講履歴」の情報をもとに、「研修受講をレコメンドする社員」「レコメンド理由」を生成

導入効果

社内研修の説明付きレコメンド機能を導入した結果、以下の効果が得られました。

  • 従来よりも研修後の録画視聴数が約 20 %向上しました。
  • 研修を受講してほしい社員に受講してもらえることで、本来狙っていたコンサルタントの育成の精度を上げることができました。

従来の AI によるレコメンドでは、予想結果は表示されるものの、その理由までは表示されないことが多かったが、今回のアプローチでは、生成 AI を用いて、レコメンド理由もあわせて表示されている点が特徴的です。この工夫によって、研修を受講するのに適している可能性のある社員の興味を惹くことができたと考えられています。

まとめ

今回は、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社様が開発された社内研修の説明付きレコメンド機能をご紹介いたしました。本検証を通じて、お客様から以下のコメントを頂いております。

「今回の取り組みを通じて、今まで活用しにくかった自然言語データが業務に利用可能になりました。その結果、様々な箇所でイノベーションの種があることが分かりました。」

最近、多くの企業が社内に蓄積されたデータの有効活用に高い関心を寄せているという話を耳にすることがあります。このような取り組みは、社内データを活用して、人材育成や組織の生産性向上を目指す企業にとって参考になるのではないでしょうか。

なお、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社様の人材育成に関する情報は、こちらで公開されております。社員の成長が生命線であるコンサルティングファームが、育成の仕組みをどのように構築し運用しているか、ご興味のある方は是非ご確認ください。

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社様 : アソシエイトディレクター テクニカル・アーキテクト 広沢 元様(右端)、コンサルタント 吉村 勘太郎様(右から 2 番目)
Amazon Web Services Japan : アカウントマネージャー 浜崎 佳子(左端)、ソリューションアーキテクト 山澤 良介(左から 2 番目)

ソリューションアーキテクト 山澤 良介 (X – @ymzw230 )