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InfosysEquinoxで小売業向けのマイクロサービスアーキテクチャを構築する方法
eコマースはより重要になってきている
2021年4月のこちらのForbesの記事によると、世界のeコマースの売上高は4.2兆ドルに達すると予想され、英国、日本、米国の消費者調査では、オンラインショッピングが食料品の買い物方法として、ますます多くの消費者から好まれつつあることが示されました。この記事では食料品の買い物に言及しているだけですが、消費者は他の製品にもおいてもeコマースを好むようになっていると考えて間違いありません。
主にCOVID-19の大流行による、消費者行動の劇的な変化により、多くの小売業者はデジタルコマースに重点を置くようになりました。 しかしながら、多くの小売業者は、単純にモノリシックなeコマースWebサイトを設置しているだけです。 さらに、消費者が小売業者と関わることが可能なデジタルタッチポイントは今日多くあります。加えて、買い物客の期待は音声、店舗、Web、ソーシャルメディア、その他チャネルに渡る一貫したオムニチャネルでのユーザー体験です。したがって、小売業者はモノリシックなWebサイトでは、eコマースビジネスを素早く拡大できません。
これを念頭に置いて、柔軟なマイクロサービスを利用するモダンなeコマースプラットフォームを作成するための重要な要素と、小売業者がモノリシックなウェブサイトからマイクロサービスアーキテクチャに移行するにあたり、AWS Retail Competency Partner である Infosys Equinox がどのようにサポートできるかについて説明します。
マイクロサービスアーキテクチャの重要性
上記でマイクロサービスと言及しました。テクノロジーに馴染みのない方のために説明すると、それは、広く利用可能なプロトコルを使用したネットワーク経由で呼び出すことができる自己完結型の個別ビジネスの機能であるクラウドネイティブアーキテクチャです。 さまざまな機能コンポーネントは、ユーザーインターフェイス(UI)から分離されているため、チャネル間で再利用できます。 eコマース機能をUIから分離することは、ヘッドレスコマースと呼ばれることが多く、マイクロサービスアーキテクチャの一種です。 マイクロサービスアーキテクチャは、柔軟でスケーラブルなeコマースプラットフォームの基本です。 ヘッドレスコマースアーキテクチャとマイクロサービスの詳細については、「小売企業におけるヘッドレスコマースの実現方法」と「クラウドで小売業を変革する方法:CIOのハンドブック」を参照してください。
柔軟なマイクロサービスアーキテクチャは、eコマースプラットフォームの理想的な最終形ですが、多くの小売業者は既存のモノリシックeコマースWebサイトを持っています。 大規模なビッグバンのようなリプラットフォームは、コストと時間がかかり、ビジネス全体にリスクをもたらす可能性があります。 移行を容易にするために、マイクロサービスを段階的に適用し、より慎重なアプローチを取ることができます。 戦略的なロードマップを作成し、それに沿って行くことで、既存のレガシーサービスを時間をかけて廃止し、クラウドネイティブのマイクロサービスに置き換えることができます。 API、フラットファイル、バッチフィード、およびイベント通知をサポートする統合レイヤーを使用すると、移行の進捗に合わせて、既存の社内およびサードパーティのオンプレミスシステムを接続できます。 全体として、この慎重なアプローチは、より管理しやすく、ビジネスへのリスクが少なくなります。
モダンeコマースプラットフォームの重要な要素
モダンなクラウドeコマースアーキテクチャの重要性について簡単に説明したところで、eコマースプラットフォームの選択について調べてみましょう。 ベースラインとして、小売業者は、前述のクラウドネイティブのマイクロサービスベースのヘッドレスコマースプラットフォームなど、将来性のあるアーキテクチャを必要としています。これは、新しいテクノロジーや進化するテクノロジーをサポートし、俊敏性、柔軟性、信頼性、スケーラビリティを提供します。 これらの機能を考慮して、eコマースプラットフォームを選択する際に考慮すべきその他の重要なポイントを次に示します。
- すぐに使える豊富な機能
- 新しい機能をすばやく展開する柔軟性
- 統一された買い物体験を提供するための、顧客関係管理(CRM)、エンタープライズリソースプランニング(ERP)、サプライチェーン、在庫管理、決済システムなどの既存の内部およびサードパーティアプリケーションとのシームレスな統合
- 顧客の需要の増減に合わせて、拡大および縮小するオンデマンドのスケーラビリティ
InfosysのEquinox eコマースプラットフォーム
Infosysは、次世代デジタルサービスのグローバルリーダーであり、小売、消費財(CPG)、製造、電話会社など、複数の業界にサービスを提供しています。 Infosys Equinox eコマースソリューションは、ヘッドレスのAWSクラウドネイティブなマイクロサービスベースのソリューションであり、小売業者がオムニチャネル機能を迅速に構築、展開、および管理できるようにします。
プラットフォームのヘッドレスアーキテクチャは、複数のデジタルタッチポイントとシームレスに連携して、店舗、ソーシャルメディアプラットフォーム、IoTデバイス、カスタマーケア全体で統合されたオムニチャネル体験を提供することを意味します。 さらに、音声および会話型コマースや拡張現実および仮想現実(AR / VR)などの新しい機能とも統合されます。
次の画像は、Infosys EquinoxソリューションのAWSデプロイメントアーキテクチャを示しています。
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AWSのInfosys Equinoxソリューションは、次のeコマースマイクロサービス機能を提供します。
- カートと決済 — シームレスな購買を実現します。
- デジタルカタログ — リッチでトランザクション対応の複数の階層カタログを作成、管理します。
- プロモーション — ターゲットを絞ったオファーと価格設定のインセンティブを作成、提供します。
- マーチャンダイジング — ドラッグアンドドロップツールを使用してストアフロントでの製品プレゼンテーションを管理します。
- 価格設定 — 複数の価格表を作成、管理します。
- 在庫 — 複数のフルフィルメントソースをサポートし、さまざまな流通センターで在庫を管理し、リアルタイムの在庫を統合して実店舗の機能を実現します。
- 顧客 — business-to-business(B2B)およびbusiness-to-customer(B2C)の顧客情報を作成、管理します。
- 通知 — SMSテキストメッセージおよび電子メールを送信します。
- ペイメントゲートウェイ — 複数の決済プロバイダーと通貨をサポートします。
- レコメンデーション — 買い物客の好みに基づいたパーソナライズされた製品を提案し、トップセラーのカテゴリを作成します。
- リスト — 買い物客がウィッシュリスト、お気に入り、および後で見るリストを作成、管理できるようにします。
- 税務インターフェース — 主要なオンライン税務プロバイダーと統合します。
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Infosys Equinox on AWS でどこでも柔軟に展開
Equinoxは、B2B、B2C、B2B2C、オンラインマーケットプレイス、デジタルモール、ブランド化されたWebサイト、カタログシンジケート、非接触型ストア、エンドレスアイルなど、複数の実装タイプの一部になることができます。
B2B機能
このソリューションは、契約ベースの価格設定とカタログ、共有カート、サブスクリプションと定期注文、クロスセルとアップセル機能、支出制限、承認ワークフロー、ロールベースのアクセス制御、請求、レポート作成、分析機能付きのアカウント管理、CPQ統合、クレジット決済、ワンクリックの再注文、複数の請求先および出荷先のシナリオ、および事前定義されたショッピングリストなど、B2Bユースケースのさまざまな機能を提供します。
B2C機能
B2C分野のユースケースには、マルチレベルカタログ、オムニチャネルショッピングカート、価格設定、定期的な注文とサブスクリプション、クロスセルとアップセル機能、BOPIS(buy online, pickup in-store)、ROPIS(reserve online, pickup in-store.)、ロイヤルティエンジン、複数の決済オプション、ワンクリックの再注文、分割出荷だけでなく、幅広いショッピングリストがあります。
AWSクラウドネイティブな Equinox アーキテクチャ
EquinoxはDayOneからAWSで実行されており、多くのコアAWSサービスを活用して、アジャイルで柔軟性があり、スケーラブルなアーキテクチャを提供しています。 次のリストは、現世代のInfosys Equinoxソリューションで使用されているAWSサービスの概要を示しています。
- Amazon Elastic Kubernetes Service(Amazon EKS)クラスター — スケーラブルなマイクロサービスを実行
- Amazon Aurora — サーバーレスアーキテクチャと複数のレプリケーションの利点を活用するデータストア
- MongoDB — オープンソースのNoSQLデータベースをEC2クラスターで実行
- Redis — データベースキャッシュレイヤー
- RabbitMQ — オートスケーリングEC2クラスターで実行されているメッセージングレイヤー
- Apache Solr — オートスケーリングEC2クラスターで実行されるオープンソース検索ツール
- Apache Zookeeper — EC2クラスターの構成管理
- Amazon API Gateway、AWS Shield、およびAWS Web Application Firewall(AWS WAF)— エンドポイントセキュリティ
- Amazon CloudFront — グローバルCDN
- AWS Identityand Access Management(AWS IAM)—きめ細かなアクセス制御
- AWS Secrets Manager — 暗号化キーの保管
- Amazon CloudWatch および AWS CloudTrail — 管理およびガバナンスレイヤー、ならびにモニタリングおよび監査
eコマースのモダナイゼーションを今日から始めましょう
Infosys Equinox は、eコマースビジネスを強化および成長させたい小売業者向けに構築された、機能豊富なすぐに使えるeコマースプラットフォームです。 さらに、AWS Professional Services を使用すると、経験豊富な小売業界の専門家が、従来のモノリシックeコマースウェブサイトからモダンで柔軟なマイクロサービスデジタルコマースプレゼンスに移行するための移行計画を作成および実装するのを支援できます。これらはすべて、ビジネスへのリスクを最小限に抑えます。
もしクラウドネイティブのeコマースソリューションを検討中で、Infosys Equinox on AWSについてもっと知りたい場合は、こちら(原文)の投稿にコメントを残してVijayまたはJigneshに連絡することができます。 デモをリクエストするには、ここをクリックしてください。 プロジェクトを開始する準備ができたら、今すぐAWSアカウントチームに連絡してください。
本稿の翻訳はソリューションアーキテクトの齋藤が担当しました。原文はこちらです。
著者について
Vijay Prasanna
Vijay PrasannaはAWSのグローバルパートナーソリューションアーキテクトであり、Infosysと連携してAWSでソリューションとプラットフォームを構築しています。 彼の責任には、ソリューションアーキテクチャ、技術ガイダンス、およびクラウドネイティブソリューションを構築するためのベストプラクティスが含まれます。 彼は2020年にAWSに入社し、20年以上の業界経験を持ち、アプリケーション構築、大規模なクラウドおよびデジタルトランスフォーメーションプロジェクトをサポートしました。 彼は多くの企業顧客と協力して、小売、CPG、FIS、製造、ヘルスケアの各業界で、ロードマップや採用サービスなどのクラウド戦略の策定、実行をしました。
Ashish Udas
Ashish Udasは、Infosys-Equinoxのクラウドサービスおよびアーキテクチャ担当VPです。 Infosys Equinoxは、最先端のクラウドとマイクロサービスに基づくデジタルコマースプラットフォームです。 Ashishは、さまざまなイニシアチブを通じて、クラウドアーキテクチャとインフラストラクチャの運用/セキュリティを定義し、実現することに取り組んでいます。 Ashishは、主要な製品の変革を推進し、Equinoxのセキュリティガバナンスと運用を管理し、世界中でシステムを利用できるようにしています。
Jignesh Desai
Jignesh Desaiは、AWSのグローバルマイグレーションパートナーソリューションアーキテクトであり、グローバルシステムインテグレーターと協力しています。 彼はAWSのパートナーや顧客と協力して、クラウドの採用と大規模な運用モデルを支援しています。 彼は、GSIパートナーのクラウド移行および導入イニシアチブを主導しています。 彼は、世界中でリレーションを拡大し、大規模企業がデジタルトランスフォーメーションとアプリケーションのモダナイゼーションを加速できるように、戦略、アーキテクチャ、およびソリューションを構築する責任があります。 彼は家族と過ごす時間、ハイキング、トレッキングを楽しんでいます。