Amazon Web Services ブログ
クラウドジャーニーの歩み方 – Mobilize (移行準備) フェーズ – #4
こんにちは、カスタマーソリューションマネージャーの桑原です。 カスタマーソリューションマネージャーは、クラウド導入を進めようとしているお客様のクラウドジャーニー全般を支援する活動をしています。
この記事ではエンジニアの方やプロジェクト/プロダクトマネージャー向けにクラウド移行を加速するためのスキルが足りず、なかなかクラウドに移行することができない、クラウドスキルの向上をするためにはどうすればよいかというお悩みに対して、クラウド移行を加速するためのスキルを向上させるためのアプローチについてご紹介していきます。なお、AWS のクラウド移行およびクラウド活用の全体の道のりについては、「クラウドジャーニーの歩み方 (前編) 」でも紹介していますので、全体感を把握されたい方はご参照ください。まずはクラウド移行を阻害する 10 のハードルに関して振り返ってみましょう。
クラウド移行を阻害する 10 のハードル
クラウド移行には、4 つのフェーズがあります。Assess (評価) から始まり、移行に向けた課題に取り組む Mobilize (移行準備) 、そして実際の Migration (移行) へと進みます。さらに、クラウド利用によるビジネス価値をより高める取り組みを Modernization (最適化) で実行する流れとなります。それら各フェーズで AWS がご支援する中で、多くのお客様で共通するハードルがあることがわかっています。詳細は下図「クラウドジャーニーにおける10 のハードル」 をご参照下さい。本記事では、 Mobilize (移行準備) フェーズにおいて、クラウド移行を加速・推進するためのスキルが足りないというよくある課題に対しての解決策についてご紹介いたします。
「 4.移行を加速・推進するためのスキルが足りない」
移行を加速・推進するためには、根本的なクラウドスキル自体が無いとクラウド移行を進めることができません。そのため計画的なクラウドスキルの獲得が大切ですが、どのようなステップでクラウドスキルを獲得すればよいのかという悩みが生まれます。
そのため、移行を加速・推進するためのスキルが足りないという課題に対して、クラウドスキル向上のための4つのステップをご紹介します。
1. 机上でクラウドを学習する
まずは机上でクラウドに関する知識を学習します。クラウドを初めて利用される方やクラウド初心者であればクラウドの体系的な知識を理解することによって、効率的な学習をすることが望ましいです。具体的には AWS Skill Builder によるオンラインでの自学習やクラスルームトレーニング による AWS 認定講師からの講義を受けて理解を深める方法があります。どのコンテンツを受講したらよいかを迷われる場合は、 AWS Ramp-Up Guides にて ロール別/ ソリューション別/ 業種別の学習コンテンツをご紹介しておりますので、ご確認ください。また、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社が主催する AWS Black Belt Online Seminar では、製品・サービス別、ソリューション別、業種別のそれぞれのテーマに対して解説している動画もございますので、個別テーマの理解を深めたい場合はぜひご活用ください。(過去アーカイブ | YouTube Playlist ) なお、AWS Black Belt Online Seminarにおけるマイグレーションやモダナイゼーションに関するテーマについては、こちらのブログに纏められておりますのでご確認ください。一方で、普段 AWS サービスのアップデート情報を把握するためにはどうすればいいかというご質問をいただくことがあります。方法としては、AWS の最新情報または AWS が週次で発刊する 週刊 AWS による主要機能のアップデートを確認することでキャッチアップすることができます。また AWS パートナー様が発刊する技術メディア、Qiita や Zenn を代表される技術コミュニティメディアを参考に最新のアップデートサービス/機能を実際に活用された有識者の情報を確認してキャッチアップすることも非常に有効です。なお、これらは自分で情報を取りに行くのは大変なので、Slack 等のチャットツールに RSS フィードを追加することで最新情報を通知させると比較的楽に情報のキャッチアップが可能です。
2. 実際に構築してサービスを知る
机上での学習によって概要知識は把握できるものの、実際に各種サービスを使わないと深い理解には繋がりません。そのため、実際に構築してサービスを知ることが次のステップとなります。各種サービスを構築する際、闇雲に手を動かすよりはまず初めに基本的な構築手順に沿って構築してみて触ってみることで、サービスに関する知識獲得が可能です。AWS からは無償、有償を含めて実際に構築してみる様々なトレーニングコンテンツをご用意していますが、いつでも AWS が無料で提供している JP Contents hub を活用することで気軽に始めることができるのでお薦めしています。AWS に関する日本語のハンズオン・ワークショップ情報を一覧化して掲載されており、構築してみたいサービスのワークショップを選択すると、手順に沿って実際に構築することが可能となりますので、これらを参考に構築してみてください。
注)JP Contents Hub 自体は、料金の制限なくご覧いただけます。なお、実際のハンズオンでは、AWS リソースの作成を行うため料金が発生します。
3. PoC 、プロトタイピングで試す
実際に手順に沿って構築してみて各種サービスの機能を確認できたら、次にチャレンジすることは実際に小さく開発してみることです。皆さんが従事されているシステム開発において、新規事業のシステム開発や既存システムでの課題を解決するためにクラウドを活用して PoC やプロトタイピングを実施してみてください。実際にモノを作ってみることで、エンジニア視点では構築イメージが付きやすく理解が格段と深まりますし、ビジネス視点においては実際に構築したものをデモとして見せられるようにすることによって、実現イメージや効果、実際の構築コストが分かるようになるため、業務で活用するイメージが湧きます。すぐに始めてみて検証が終わったらすぐに止めることができることがクラウドの大きなメリットですので、色々検証してみてください。
4. 業務で本格的に実装する
PoC 、プロトタイピングで試した後は、最終的に業務で本格的に実装することです。「業務で本格的に実装するために何を参考にすればいいのか。」という問いにお答えすると、クラウド上での設計および実行するための主要な概念、設計原則、アーキテクチャのベストプラクティスのガイダンスである AWS Well-Architected Frameworkを参考にすることをお薦めします。検討するべき観点や考え方が養われるため、クラウド設計および運用に関する全般の知見獲得に繋がります。また実際に構築してみるとうまくいかないことばかりですが、「1. 机上でクラウドを学習する」でもご紹介させていただいた技術メディアを参考に調査しつつ、不明点があれば AWS サポートを活用して一つ一つクリアにしていくと、システムを構築できた暁にはクラウドスキルと経験値が格段に上がっています。やはり実際のシステム開発での経験を積むのが一番だと考えています。ただし、実際に開発する段階で自身で調査して試行錯誤をして開発するのは非常に大変です。そこで重要なのがチーム体制を強化することだと考えます。クラウドスキルが高い社内のチームメンバーとともに開発する体制を構築し、一緒に開発することが最も推奨する方法です。ただ、現実にはそのような体制を構築することが難しい場合が多いと思います。そこで活用すべきなのが AWS パートナーとの連携です。自社の開発チーム体制として、自社メンバーと AWS パートナーのクラウドスキルがあるメンバーが1つのチームで開発体制を構築することによってクラウドスキルやノウハウが共有され、より実践的なクラウドスキルを身に着けることができ、クラウドスキル向上を図ることができるでしょう。
まとめ
本記事 は、Mobilize (移行準備) フェーズにおいて、クラウド移行を加速するためのスキルを向上させるためのアプローチについてご紹介いたしました。#5 では、Mobilize (移行準備) フェーズの「移行の経験不足のため不安があり移行が進まない」という課題に対して深堀いたします。お楽しみに!
カスタマーソリューションマネージメント統括本部
カスタマーソリューションマネージャー (CSM) 桑原 直哉、服部 昌克
参考リンク
- クラウドジャーニーの歩み方 (前編)
- クラウドジャーニーの歩み方 – Assess (評価) フェーズ – #1
- クラウドジャーニーの歩み方 – Assess (評価) フェーズ – #2
- クラウドジャーニーの歩み方 – Mobilize (移行準備) フェーズ – #3
- AWS Skill Builder
- クラスルームトレーニング
- AWS Ramp-Up Guides
- AWS Black Belt Online Seminar (過去アーカイブ)
- AWS Black Belt Online Seminar (YouTube Playlist)
- AWS Black Belt マイグレーション & モダナイゼーション シリーズのあるきかた
- AWS の最新情報
- 週刊 AWS
- JP Contents hub
- AWS Well-Architected Framework
- AWS サポート
- AWS パートナーとの連携