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Amazon Connect の生成 AI によるエージェント生産性向上
はじめに
コンタクトセンターのエージェントは、顧客対応時に様々な課題に直面します。技術的な問題のトラブルシューティング、請求に関する交渉の解決、または単に役立つ正確な情報を提供する場合など、幅広いトピックがあり、それらすべてに効果的に対応しなければなりません。これを実現するためには、顧客をサポートするために必要な様々な問題や技術に精通していく、数ヶ月、時には数年の経験が必要となります。
しかし、対応が終わった後も仕事は終わりません。エージェントは、顧客記録の更新、ケースメモの記録、未解決の問題のフォローアップなど、重要なアフターコールワークを完了する必要があります。この管理作業は時間がかかりますが、高い顧客満足度 (CSAT) スコアと運用効率を維持するために不可欠です。複数のチャネルを通じ、増え続ける顧客からの問い合わせに対応するため、エージェントは優れた顧客体験を提供しながら、大量の顧客対応を迅速に処理するプレッシャーにさらされています。この増大する作業量は、燃え尽き症候群、高い離職率、サービスレベルのばらつきにつながる可能性があります。
生成 AI は、顧客サービスのライフサイクル全体で人間のエージェントを補助し、生産性の大幅な向上の機会を提供します。日常的な対応後のタスクを自動化し、エージェントにリアルタイムの情報支援を提供することで、生成 AI はエージェントの力を増幅させる役割として機能し、エージェントがより速く賢く作業できるようにします。このブログ記事では、Amazon Connect の生成 AI 機能が、顧客対応中と対応後のエージェントの生産性をどのように向上させるかを探ります。
まず、Amazon Q in Connect がリアルタイムのエージェント支援の提供、関連するステップバイステップガイドの推奨により、対応中のエージェントをどのようにサポートできるかを見ていきましょう。その後、Amazon Connect Contact Lens がエージェントのアフターコンタクトワークを支援する方法を紹介します。
Amazon Q によるリアルタイムのエージェント支援
Amazon Q in Connect では、生成 AI を使用しエージェントに対して回答やアクションの提案を行い、顧客の質問に対する問題解決を迅速化し、顧客満足度を向上させます。会話分析と自然言語処理 (NLP) を使用することで、Amazon Q in Connect は顧客の問題を自動的に検出し、エージェントが追加情報を必要とする場合には対話型の検索にも対応できます。
Amazon Q in Connect では、現在、ナレッジ記事、Wiki、FAQ から派生したソリューションだけでなく、関連するステップバイステップガイドも推奨し、現在のタスクを完了するために必要な適切な手順を提供します。Amazon Connect のステップバイステップガイドは、コンタクトセンターのエージェントが顧客からの問い合わせを迅速かつ効率的に解決するのに役立ちます。これらのカスタマイズ可能なガイドは、業務に合わせたワークフローを提供し、エージェントが顧客の問題に対処するために必要な手順を説明します。コーディング不要、ドラッグアンドドロップでワークフローを構築でき、管理者は注文処理、支払い管理、返品処理などさまざまな顧客対応のためのガイドを設計できます。これらのガイドは、顧客のコンテキストに基づいて動的に適応し、問題に関する関連情報を表示し、エージェントに適切なアクションを案内します。ステップバイステップガイドは、すでに Amazon Connect のエージェントワークスペースで利用可能です。Amazon Q in Connect は、この案内支援を表示し、生成された回答やソリューションと共にガイドを提供します。これにより、新しいエージェントの研修時間を短縮したり、経験豊富なエージェントの生産性を向上させることができます。エージェントは常に次の最適なステップを知ることができ、より迅速で正確な解決につながります。
またステップバイステップガイドをナレッジ記事に関連付けることで、関連する情報を表示でき、エージェントはエージェントワークスペースから離れることなく、質問に答えて問題を迅速に解決するための次のステップを実行できます。コンテキストに応じた情報とベストプラクティスガイドを得られることで、エージェントは問題をより速く処理でき、より一貫性と正確性のある解決策を提供できます。これにより、平均処理時間、最初の問題解決率、顧客満足度スコアなどの重要なメトリクスが改善されます。
では Amazon Q in Connect がエージェントの生産性を向上させる例を見てみましょう。
例: Amazon Q in Connect による顧客との対話支援
エージェントが支払い方法の更新を必要とする顧客と対話しています。顧客が「支払い方法の更新」をリクエストした後、Amazon Q in Connect は、リアルタイムで応答と関連するステップバイステップガイドの推奨を提供し、エージェントをサポートします。このガイドはプロセスを合理化し、エージェントにワークスペース内で顧客の請求情報を更新する正確な手順を示すことで、エージェントは複数のタブやアプリケーションを行き来する必要がなくなります。
このガイドはエージェントの他のアプリケーションと並んで対話型のフローとして提供されるため、文脈を失ったり作業の流れを中断することなく、シームレスに作業を進めることができます。
Amazon Q in Connect では、会話のトピックが変わった際にもエージェントが問題を処理できるよう支援します。例えば、顧客から返品についての電話があった場合、Amazon Q in Connect は当初、一般的な「返品と交換」ガイドを推奨するかもしれません。しかし、エージェントが不具合製品の問題であると特定すると、Amazon Q は特定の「不具合製品の返品」ワークフローを表示します。異なる記事を探す無駄な時間はなくなり、エージェントは正確な手順を画面で確認できます。
顧客対応後、エージェントは返金リクエストを送信する必要があります。エージェントが Amazon Q in Connect にチャットで「返金処理が必要」と質問すると、関連するナレッジベースの情報と承認されたプロセスのフローが表示されます。Amazon Q は自然言語のリクエストを処理し、正確な情報とタスク完了のための手順を返します。
関連する知識を手元で参照できることで、Amazon Q in Connect はエージェントの操作やアプリケーションの切り替えを最小限にし、エージェントが迅速に情報を見つけ、手順に従い、タスクを完了できるようにします。これにより、コンタクトセンターにおける大きな生産性の低下要因の 1 つを解消します。Amazon Q in Connect は、パフォーマンスメトリクスの向上だけでなく、新しいエージェントの研修時間を短縮し、より直感的なデスクトップ体験を提供します。これにより、従業員の満足度が向上し、高コストである離職が減少します。Amazon Q in Connect のような生成 AI 機能を備えることで、コンタクトセンターはナレッジベースを最大限に活用し、エージェントに高速でスマートな顧客サービスを提供する力を与えることができます。
ステップバイステップガイドとナレッジコンテンツの連携
Amazon Q in Connect でステップバイステップガイドを推奨事項とともに表示するためには、まずコンテンツにガイドを関連付ける必要があります。1 つのコンテンツに関連付けられるガイドは 1 つですが、必要に応じて複数のコンテンツに 1 つのガイドを関連付けることができます。管理者は、 Amazon Q in Connect API で利用可能な CreateContentAssociation を使用して、ナレッジコンテンツに関連するガイドを関連付けることができます。この API を使用すると、顧客タスクを効果的に解決するために必要なガイドつきワークフロー、フォーム、および埋め込まれたサードパーティアプリケーションでナレッジコンテンツを拡張することができます。他の Amazon Q in Connect API (GetContentAssociation、ListContentAssociation、DeleteContentAssociation) と組み合わせることで、いつ、どこで、どのように Amazon Q in Connect によるエージェントへの手順の支援を展開するか、完全に制御できます。
Amazon Connect Contact Lens によるアフターコンタクトワークの自動化
生成 AI が支援できるのは、エージェントとの対話中だけではありません。Amazon Connect Contact Lens は、会話分析と品質管理機能を提供し、コンタクトセンターがコンタクトの品質とエージェントのパフォーマンスを監視、測定、継続的に改善することで、よりよい全体的な顧客体験を実現できるようにします。
Contact Lens は、生成 AI によるコンタクト後の要約を提供します。これは、 長い顧客との対話を、簡潔で一貫性があり前後関係が理解できるコンタクトサマリーに要約するものです。これにより、コールセンターの管理者はエージェントの対応をレビューする際に迅速に洞察を得て、品質とコンプライアンスのレビューに費やす時間を節約、エージェントのパフォーマンス改善の機会をより迅速に特定できるため、顧客体験を改善できます。これらの要約は、エージェントがアフターコンタクトワーク (ACW) をより効果的に行うのに役立つものとなっています。コンタクト後の要約を使えば、エージェントは顧客対話ごとに手動でメモを取る必要がなくなります。これは、エラーが発生しやすく、時間もかかるプロセスでした。この機能は、生成 AI の力を活用して、対話が終了するとすぐに前後関係が理解できるコンタクト後の要約を自動的に生成します。数秒で、全体の対話が分析され、主要な議論のポイント、提起された問題、取られたアクション、およびコンタクトからの他の重要なコンテキストを捉えた詳細な要約が、エージェントと管理者に提示されます。生成 AI による要約は、顧客記録にシームレスに添付できる、コンタクトの完全な記録を提供します。これにより、エージェントのワークフローからこの面倒な作業が排除されます。これにより、アフターコンタクトワークが削減され、エージェントは優れた顧客サービスの提供に時間を集中できるようになります。
Amazon Connect Contact Lens では、API、Kinesis Steams、問い合わせコントロールパネル (CCP)、連絡先の詳細ページを介してチャットと音声の要約にアクセスできます。これにより、Amazon Connect Cases や Salesforce などの他のアプリケーションとのシームレスな統合が可能になり、エージェントは顧客の記録を迅速に更新し、プラットフォーム間でデータの一貫性を確保できます。これらの ACW 要約を活用する様々な方法について説明しましょう。
例: Amazon Connect Contact Lens の要約によるアフターコンタクトワークの効率化
エージェントが顧客との対話を完了した後、次の顧客との対話に移る前に ACW を行う必要があります。これを支援するため、Amazon Connect Contact Lens は CCP で対話の要約を提供しています。現在、音声対話がサポートされており、対話が切断されエージェントが ACW に移行された数秒後に、要約が CCP で利用可能になります。この画面では、完全な書き起こしと主要なハイライトが表示されますが、簡単な参照のために対話の要約が一番上に表示されます。エージェントはこの要約を参照して ACW 活動を完了したり、必要に応じて要約をラップアップのフィールドに直接コピーすることができます。
管理者にとって、コンタクトセンター全体で何が起こっているかを把握することは重要です。コンタクト詳細ページでは、エージェントがコンタクトを終了する前の ACW 中でも、ACW 要約はすぐに利用可能になります。音声とチャットの両チャネルでサポートされており、管理者、許可されたエージェント、または他の Amazon Connect ユーザーが、コンタクトの概要を素早く確認できます。
この要約は、コンタクトセンター内の他の用途でも役立つ可能性があります。Contact Lens の ListRealTimeContactAnalysisSegments (音声) および ListRealTimeContactAnalysisSegmentsV2 (チャット) API を使用すると、対話が終了した数秒後に 生成 AI が対応した会話の要約を返すことができます。これらの API は、例えば ACW 活動を完了する際に参照するために要約をステップバイステップガイドに含めるなど、エージェント のワークフローに統合することができます。また、この API は、エージェント が使用する他のアプリケーションで ACW タスクを実行するためにも使用できます。
前述の方法に加えて、これらの要約は、コンタクトセンター全体で使用されるその他のアプリケーションの生産性を向上させるためにも使用できます。音声とチャットの両方のチャネルをサポートしている Amazon Kinesis Data Streams に対話の要約の直接ストリーミングする機能により、コンタクトセンターは有効化されたすべての対話に対して、特に要約コンテンツに基づいて分析ツールやエージェント体験の強化を構築できます。Amazon Kinesis を AWS Lambda や Amazon Data Firehose などのサービスに直接統合すれば、お客様はこのデータを活用してビジネス上の課題に対処し、Salesforce の顧客関係管理 (CRM) などのアプリケーションやシステムとシームレスに統合できます。この統合により、顧客データが最新の状態で維持され、エージェントの手動操作を必要とせずに様々な接点でアクセス可能になるため、全体的な運用効率と顧客満足度が向上します。
デモ
Amazon Q in Connect と Contact Lens が、エージェントの対話をどのように支援するかご覧ください
結論
コンタクトセンターのエージェントは多大な作業負荷と事務的な負担に直面することが多く、それが生産性の妨げとなりエージェントの燃え尽き症候群につながる可能性がありますが、生成 AI の機能はこの課題に対する強力なソリューションを提供します。Amazon Connect では、生成 AI を活用して単調な作業を自動化し、対話中にリアルタイムの支援を提供し、包括的な対話後の要約を生成することで、エージェントがより効率的に業務を行い、より迅速な解決を実現し、全体的な顧客満足度を向上させることができます。状況に応じた知識を手元で参照できるようにし、ワークフローを合理的にすることで、エージェントは最も重要な業務、パーソナライズされた高品質のサービスを提供することに集中できます。企業が顧客体験を重視し続ける中、Amazon Connect の Amazon Q や Amazon Connect Contact Lens などの生成 AI 技術への投資は、生産性の向上、運用コストの削減、そしてより熱心で効果的なスタッフの育成に不可欠となるでしょう。AI の力を活用することで、コンタクトセンターは新たなレベルの効率性を実現し、大規模に優れた顧客体験を提供することができます。
Amazon Q in Connect の開始に役立つリソース
- インスタンスで Amazon Q in Connect を有効化する方法を学びたいですか ? Amazon Connect 管理者ガイドでは、Connect in Q を有効にする方法と機能の包括的な概要が提供されています。詳細は「インスタンスで Amazon Q in Connect を有効にする」をご覧ください。
- Amazon Q in Connect を実際に体験したいですか ? この Amazon Q in Connect ワークショップに従って、Amazon Q を有効化し、ドメインを設定し、コンテンツを接続し、生成 AI による応答とソリューションをエージェントに配信する方法を学びましょう。
- ステップバイステップガイドを Amazon Q in Connect のコンテンツと統合したいですか ? Amazon Q in Connect では、コンテンツにビューを関連付けることができます。詳細は「 Amazon Q in Connect をステップバイステップガイドと統合する」をご覧ください。
Amazon Connect ステップバイステップガイドの開始に役立つリソース
- Amazon Connect の最初のステップバイステップガイドの構築を開始したいですか ? ステップバイステップガイドのワークショップに従って、パーソナライズされた、動的で、コンテキストに応じた体験を提供するために Amazon Connect 属性と連携するサンプルガイドの構築、デプロイ、テストの方法についてさらに学びます。
- ステップバイステップガイドを深く掘り下げたいですか ? Amazon Connect 管理者ガイドで、サードパーティのアプリケーションの連携の方法について詳しく学びます。
Amazon Connect Contact Lens の開始に役立つリソース
- Amazon Connect Contact Lens のハンズオン体験をしたいですか? Amazon Connect Contact Lens ワークショップに従って、Amazon Connect Contact Lens 内で利用可能な機能のセットアップと探索方法を学びます。
- 生成 AI が生成する通話後の要約を学びたいですか? Amazon Connect 管理者ガイドで、これらの要約を有効化し、表示し、コンタクトセンターで使用する方法について学びます。
- ステップバイステップガイドを深く掘り下げたいですか? Amazon Connect 管理者ガイドで、サードパーティのアプリケーションをオンボーディングする方法について学びます。
筆者紹介
Alex Schrameyer (代名詞 he/him) は、インディアナ州インディアナポリスに拠点を置く AWS のエージェントエクスペリエンス担当ワールドワイドソリューションアーキテクトリードです。卓越したエージェント体験こそが優れたカスタマーサービスの基礎であると考え、エージェントが優れた能力を発揮し、お客様に喜んでもらえる環境を作ることに重点を置いています。アレックスは世界中を旅するのが好きで、あなたの地元の野球場やテーマパークでも見かけるかもしれません。 | |
TP Kohli は、AI/ML アプリケーションの構築、管理、およびスケーリングに注力するシニアプロダクトマネージャーです。彼は現在、生成 AI を使用して、コンタクトセンター顧客に最高の対話分析機能と品質管理機能を Amazon Connect で提供する責任者です。TP は、顧客のユースケースを解決すること、顧客の信頼を得ること、コンタクトセンターの顧客が対応の品質とエージェントのパフォーマンスを監視、測定、継続的に改善し、より良い全体的なエンドカスタマーエクスペリエンスを提供できるよう、最高のユーザーエクスペリエンスを提供することを愛しています。 |
翻訳はテクニカルアカウントマネージャー高橋が担当しました。原文はこちらです。