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【開催報告】InterBEE 2019 出展と特別講演の開催

11/13-15 に開催された InterBEE 2019 にて AWS は 17 社のパートナー様と共にブースを出展、特別講演を 2 セッション開催致しました。

■AWSブース

今年の AWS ブースではコンテンツ制作・管理・配信についてデモや事例のご紹介を行いました。ブースには多くのお客様にご来場いただきました。デモブースでは AWS Media Services によるインジェストから送出・配信・分析を取り扱い、超低遅延配信や QVBR、AI を使った分析など最先端のデモをご紹介しました。また、Studio in the cloud ブースでは、AWS Thinkbox を活用した VFX/CG レンダリングパイプラインについてご紹介しました。

■InterBEE 特別講演 メディア業界におけるクラウド活用最新事例 2019

6 つのサブセッションのうち 3 つのセッションにはお客様にご登壇いただき、最新の事例をご紹介頂くことができました。
全セッションを通して 300 人収容の会場は満席となり、注目度の高さが伺えました。

□クラウドが可能にするメディア業界のイノベーション:講演資料
イシット・ヴァシュラジャーニ 氏
アマゾンウェブサービス
エンタープライズストラテジスト


AWS のイシットからは、消費者行動の変化からメディア企業がコンスタントにイノベーションを起こす必要に迫られていること、また それを実現する為 AWS がメディア企業をどのようにサポートしているのかを説明しました。AWS にはメディア企業が収益化のための施策を考える際に「最も大切なことにフォーカスする」「アイディアを素早くスケールさせる」「誰もが先進的な機能を利用する」為の幅広く奥深いサービスを提供しており、様々なユースケースに対応可能です。また Amazon のカルチャーを例に「発明をするには、たくさん実験ができること、実験が失敗しても影響が少ないことが重要」という AWS CEO Andy Jassy のメッセージを紹介しました。講演資料

□フジテレビの Cloud Strategy ~ Now & Future ~:講演資料
金森 健彦 氏
株式会社フジテレビジョン
技術局 計画部 デスク担当部長


金森様より、フジテレビが何故 2014年から実証実験を継続して実施し、クラウド利用を進めているのかについてご説明いただきました。コスト削減や柔軟なリソースの調達といったメリットを受けられる領域において、クラウドファーストになるのは特別なことではなく、いずれは放送設備も IP 、ソフトウェアへ置き換わっていくだろうという見通しを語っておられました。また、政府のクラウドやデジタルトランスフォーメーションについての戦略も民間企業に大きな影響を与えているという社会的観点についても指摘されていました。
AWS の利用が多い理由については、特にメディア向けのサービスが充実していることと、毎年多くのサービスリリースがあることで、時流に合わせた幅広いサービスを利用できることを挙げておられました。人材育成にも力を入れており、今後も放送人の矜持をもつクラウドエンジニアを育成し、放送設備メーカーやクラウド事業者とともに放送業界の未来を共創していけたらと語っておられました。

□サーバレスアーキテクチャによる有料ライブ配信サービスの構築:講演資料
三浦 一樹 氏
北海道テレビ放送株式会社( HTB )
コンテンツビジネス局 ネットデジタル事業部


三浦様より北海道テレビの「水曜どうでしょう祭」において、サーバレスアーキテクチャでのライブ配信を行った事例を発表いただきました。新たなビジネスモデルの構築が急務とされているなか、その解決策として視聴データの分析・活用やコンテンツ配信サービスの開発などに取り組まれているそうです。今回のイベントでは、システムの大半を自社メンバーで AWS の動画配信サービス AWS Media Services 、CDN サービス Amazon CloudFront 等のマネージドサービスや Amazon API Gateway, AWS Lambda 等のサーバレスサービスを活用し構築しました。更に課金 や DRM といった機能においては SaaS を連携させるなどコストや工数を抑えて、短期間にライブ配信サービスを実現されました。迅速にビジネスのゴールを実現するための手段としてのクラウド利用の成功事例であり、非常に有意義なプロジェクトだったのではないかと思いました。
三浦様のコメントの中で「新しい技術を学習するコストはどんどん下がっていて 本、ブログ、AWSの公式ドキュメント等 を読んでアーキテクチャを完成させることができた」と語っておられたのがとても印象的でした。AWSのメディア業界向けのユーザーグループである Media-JAWS コミュニティへの参加を呼びかけていました。若手エンジニアが放送業界で働いてもらえるようにしたいとも語っておられました。

□U-NEXT のマルチ CDN 戦略における CloudFront の活用事例と、自社開発ファイル転送システム「Snowpump」のご紹介:講演資料
柿元 崇利 氏
株式会社 U-NEXT
事業企画 担当部長


柿元様からはマルチ CDN 戦略における CloudFront の活用と、自社開発ファイル転送システム「Snowpump」について発表いただきました。U-NEXT はユーザー体験を追求する為 、サーバーサイドからPC、iOS/Android などあらゆるプラットフォームのアプリケーションまで、全てインハウスで開発されております。またユーザー数増加と高画質優先で配信するアルゴリズムを適用している影響でトラフィックは日々増加しており、再生品質の継続的な改善が課題となっているとのことです。再生品質に与える影響が大きい CDN については自社コントロールが難しく複数の選択肢を持ちたいと考えていらっしゃったそうで、導入後、CloudFront が優れた品質を示す傾向があると確認できたとのことでした。
CloudFront & S3 での大規模配信を実現するために自社開発された「Snowpump」について。並列処理でデータを転送することで、ネットワーク帯域をほぼ100%活用して、ペタバイト級のファイル群をわずか1週間で S3 へ転送されたエピソードも大変興味深く、この素晴らしいシステムを共通の課題をお持ちの方の為にも公開いただけたらと思いました。

□AlexaによるTV視聴の未来
北迫 清訓 氏
アマゾンジャパン合同会社
アレクサビジネス統括本部 技術本部 本部長/プリンシパルソリューションアーキテクト


アマゾンジャパンの北迫から、スマートスピーカー echo の頭脳である、クラウドベースの音声サービス Alexa がテレビ視聴をどのように変えていくのかについて発表しました。Alexa が AWS クラウド上で新しい言語を覚えたり、色々なサービスを活用することによってスマートスピーカーは進化しており、ここ数年でマーケットが急激に拡大しているとのことです。既に Alexa は様々なデバイスメーカーとの連携が進んでいて、その中でも声でコントロールするデバイスの実に 58% はテレビという調査結果もあるとのことです。テレビを中心としたスマートホームのハブとして活用されるだけでなく、テレビのスクリーンを活用した新しい利活用の方法が次々に開発されているとのことです。
今後のもう一歩先の世界として、ユーザーから能動的に定型のアクションを実行するだけでなく、Alexa を介してパーソナライズされたおすすめをしたり、複数のサービスを連動することによって、適切なタイミングでユーザーのストレスなく、様々なアクションが起こせるようにできたらと語っていました。

□クラウドメディアワークロード最新事例:講演資料
金目 健二 氏
アマゾンウェブサービスジャパン株式会社
ソリューションアーキテクト


AWS の金目から、メディア業界におけるクラウド利用の最新事例を紹介しました。
クラウドでの動画ワークフローを初期投資なく簡単に開始できる AWS Media Services の事例では、地上波と同時に試合を別視点で見る「セカンドスクリーン」を配信した、フジテレビ様のワールドカップバレーボールにおける超低遅延ライブ配信。サーバーレス構成の配信管理ツールの採用で運用コストを抑えて、高画質・低遅延の視聴体験を提供している WinTicket (ウィンチケット)様における競輪のライブ配信を紹介しました。詳細はこちらでもご紹介しております。
フジテレビ様の総合コンテンツ管理システムについては、地上波、 BS、CS などそれぞれに分割されていたコンテンツ管理をクラウド上に統合し、Dalet 社の Media Asset Management をワークフローとして組み込むことで 初期設備投資、コストの可視化、保守費を抑制しつつ、コンテンツ二次利用の強化を実現されているとのことでした。最後にコンテンツ管理の手段として機械学習のサービスが注目されていますが、作業の自動化や効率化の実現というテーマで文字起こし、ロゴやテキスト、人物、特定オブジェクト(銃といった武器等)の自動検知/マスクをするソリューションやブースのデモを紹介させていただきました。

■INTER BEE FORUM 特別講演 CDN セッション2019

□動画配信との融合が進む CDN ― Amazon CloudFront:講演資料
中谷 喜久 氏
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
ソリューションアーキテクト


CDNセッションでは昨年に引き続きソリューションアーキテクトの中谷から、安定した動画の視聴環境を実現する為に Content Delivery Network (CDN) サービスである Amazon CloudFront が担う役割についてお話ししました。
CDN として CloudFront が提供すべきものは「性能」「拡張性」「可用性」「セキュリティ」であり、キャパシティを支えるためにエンドユーザーとの接続拠点である Point-of-Presence (PoP) を大幅に増強したり、動画のフィードに関わる CloudFront とオリジンサーバ間の通信を高速・安定化する AWS Global Network の強化を実施しています。こういった背景から多くのメディアのお客様に動画配信( Live / VOD )でご利用いただいている事例が増えていることをご紹介しました。

また AWS はセキュリティを最優先事項と考えており CloudFront においても、DDoS 攻撃対策 / WAF 機能との連携や多くのコンプライアンスへの対応で、高いセキュリティ機能を提供していることを説明しました。メディアのお客様でよくある、イベントで発生する万単位の同時接続数にも対応できる、Regional Edge Cache などオリジンインフラを保護するための仕組みがあることも説明しました。

■お知らせ

次回「メディア業界向けAWS セミナーシリーズ 第四弾」2019年12月18日(水)東京、大阪にて開催予定です

参加申し込みはこちらからお願い致します → 東京会場大阪会場

このブログは SA 門田、長谷川、金目、森が担当しました。