Amazon Web Services ブログ
新しい AWS B2B Data Interchange を利用して EDI を大規模に管理
11月27日、AWS B2B Data Interchange をリリースしました。これは、組織が EDI ベースのビジネスクリティカルなトランザクションの変革をクラウドの規模で自動化およびモニタリングできるようにするフルマネージドサービスです。このリリースにより、AWS は B2B ドキュメント交換の世界にオートメーション、モニタリング、伸縮性、従量制料金をもたらします。
電子データ交換 (EDI) とは、ビジネスパートナー間において、標準の電子フォーマットでビジネスドキュメントを電子的に交換することをいいます。E メールも電子的なアプローチではありますが、E メールで交換されるドキュメントは今でも、コンピュータシステムではなく、人間によって処理される必要があります。人間が関与するとドキュメントの処理が遅くなり、エラーも発生します。他方、EDI ドキュメントは受信者のシステム上の適切なアプリケーションに直接送信され、直ちに処理が開始されます。コンピュータシステム間で交換される電子ドキュメントは、企業のコスト削減、トランザクションワークフローの高速化、エラーの削減、ビジネスパートナーとの関係の改善に役立ちます。
EDI への取り組みは 1970 年代に始まりました。私は 1994 年に、ビジネスドキュメントの構造を定義する一連の標準である EDIFACT に関する論文を読んだことを覚えています。しかし、出現から 50 年を超える期間が経過しているテクノロジーであるにもかかわらず、ビジネスアプリケーションのデータを解析、検証、マッピングし、EDI データ形式に変換するためにデプロイされた従来のセルフマネージド EDI ソリューションは、ビジネスの量の変化に応じてスケールすることが困難です。通常、通信およびコンテンツのエラーに対する運用上の可視性は高くありません。これらの課題により、企業は多くの場合、エラーが発生しやすい E メールによるドキュメント交換に依拠せざるを得なくなり、人間による作業が増え、コンプライアンスの管理がより困難になり、最終的には成長と俊敏性が制約されます。
AWS B2B Data Interchange は、データ変換と統合を加速するための、使いやすく、コスト効率の高いフルマネージドサービスです。ビジネスパートナーとの接続を確立し、ドキュメントをシステムのデータ形式にマッピングするという手間のかかる作業が不要になり、処理できないドキュメントを可視化できます。
ビジネスパートナーのオンボーディングと EDI データ変換のためのローコードインターフェイスを提供し、処理されたデータをビジネスアプリケーションや分析ソリューションに簡単にインポートできるようにします。B2B Data Interchange を利用すると、モニタリングデータに簡単にアクセスできるため、交換されるドキュメントの量と各ドキュメント変換のステータスをモニタリングするためのダッシュボードを構築できます。例えば、形式が誤っているドキュメントを変換したり、ビジネスアプリケーションにインポートしたりできない場合に備えて、アラームを簡単に作成できます。
大企業では、数千のビジネスパートナーを抱え、各パートナーとの間で数百種類のドキュメントが交換されることが一般的であるため、管理する必要がある組み合わせは数百万にのぼります。AWS B2B Data Interchange は、AWS マネジメントコンソール を通じて利用できるだけでなく、AWS コマンドラインインターフェイス (AWS CLI) および AWS SDK を使用してアクセスすることもできます。これにより、新しいビジネスパートナーとその特定のデータ変換をオンボーディングするアプリケーションやスクリプトを作成したり、新規または既存のダッシュボードにアラームやモニタリングロジックをプログラムで追加したりできます。
B2B Data Interchange は、X12 EDI データ形式をサポートします。これにより、EDI ドキュメントを検証し、JSON や XML などのビジネスアプリケーションで想定される形式に変換することが容易になります。未処理のドキュメントと変換された JSON または XML ファイルは、Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) に保存されます。これにより、リアルタイムのビジネスデータ処理のためにイベント駆動型アプリケーションを構築したり、ビジネスドキュメントを既存の分析または AI/ML ソリューションと統合したりできます。
例えば、新しい EDI ビジネスドキュメントを受信した場合、AWS Step Functions または Amazon EventBridge を利用して、追加のルーティング、処理、変換ロジックをトリガーできます。着信ドキュメントでエラーが検出された場合、E メールまたは SMS によってアラームメッセージが送信されるように設定したり、AWS Lambda を利用して API 呼び出しや追加の処理ロジックをトリガーしたりできます。
仕組みを見てみましょう
いつものように、このブログで仕組みを見てみましょう。私が大手小売企業のサプライチェーンの責任者であり、船荷証券、税関書類、事前出荷通知、インボイス、受領証明書などのドキュメントを交換するビジネスパートナーが何百もあると想像してみましょう。
このデモでは、AWS マネジメントコンソールを使用して新しいビジネスパートナーをオンボーディングします。オンボーディングとは、ビジネスパートナーの連絡先の詳細、ビジネスパートナーと交換するドキュメントの種類、既存のビジネスアプリケーションによって想定される JSON 形式への技術データの変換、およびドキュメントの受信場所を定義することをいいます。
このリリースにより、EDI ドキュメントのトランスポートメカニズムの設定は B2B Data Interchange の外部で管理されます。通常は、転送ゲートウェイを設定し、ビジネスパートナーが SFTP または AS2 を使用してドキュメントを転送することを提案します。
サーバーを管理したり、アプリケーションパッケージをインストールして設定したりする必要はありません。わずか 4 つのステップで使用を開始できます。
最初に、ビジネスパートナーのプロファイルを作成します。
次に、トランスフォーマーを作成します。トランスフォーマーは、ソースドキュメント形式と、既存のビジネスアプリケーションのデータ形式 (JSON または XML) に対するマッピングを定義します。グラフィカルエディタを使用してサンプルドキュメントを検証し、変換の結果をコンソールから直接確認できます。標準の JSONATA クエリおよび変換言語を使用して、JSON ドキュメントへの変換ロジックを定義し、XML ドキュメントに変換する場合は標準の XSLT を定義します。
トランスフォーマーを作成したら、アクティブ化します。
3 番目に、取引機能を作成します。これにより、どの Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) バケットが特定のビジネスパートナーからドキュメントを受信するか、および変換されたデータが保存される場所が定義されます。
S3 バケットポリシーで適切な許可が定義されていることを確認するための 1 回限りの追加の設定があります。[ポリシーをコピー] を選択し、コンソールの [Amazon S3] ページに移動して、ポリシーを S3 バケットに適用します。1 つのポリシーでは B2B Data Interchange による着信バケットからの読み取りが許可され、もう 1 つのポリシーでは送信バケットへの書き込みが許可されます。
S3 バケットを設定する際には、S3 バケットで Amazon EventBridge をオンにすることも重要です。これは、新しいビジネスドキュメントの到達時にデータ変換をトリガーするために使用するメカニズムです。
最後に、B2B Data Interchange の設定に戻り、パートナーシップを作成します。パートナーシップは、お客様と個々の取引パートナーとの間の関係を確立する専用のリソースです。パートナーシップには、特定の取引パートナー、取引パートナーから受信する EDI ドキュメントの種類、およびそれらのドキュメントをカスタム JSON または XML 形式に変換する方法に関する詳細が含まれます。パートナーシップは、最初のステップで作成したビジネスプロファイルを、ステップ 2 で定義した 1 つまたは複数のドキュメントの種類および変換とリンクします。
ここでは、最後に受信した一連のドキュメントのステータスと、その変換のステータスをモニタリングすることもできます。詳細な履歴データを確認するには、コンソールに表示されるリンクを使用して Amazon CloudWatch に移動できます。
設定をテストするために、EDI 214 ドキュメントを着信バケットにアップロードすると、数秒後に、変換された JSON ドキュメントが宛先バケットに表示されます。
EventBridge からの Invocations
と TriggeredRules
CloudWatch メトリクスを使用して、ドキュメントの処理と変換のステータスを観察できます。そこから、CloudWatch Logs を利用して、通常どおりにダッシュボードを構築し、アラームを設定できます。また、AWS Lambda 関数または AWS Step Functions を使用したワークフローを作成することで、着信または変換されたビジネスドキュメントの追加のエンリッチメント、ルーティング、および処理を設定することもできます。
料金と利用可能なリージョン
AWS B2B Data Interchange は現在、米国東部 (オハイオ、バージニア北部) と米国西部 (オレゴン) の 3 つの AWS リージョンでご利用いただけます。
1 回限りの設定料金や繰り返し発生する月間サブスクリプション料金はありません。AWS は、実際の使用量に基づいてオンデマンドで料金を請求します。1 か月ごとにパートナーシップごとの料金が発生するほか、変換されたドキュメントごとの料金もかかります。詳細については、B2B Data Interchange の料金のページをご覧ください。
AWS B2B Data Interchange を利用すると、取引パートナーとの関係を簡単に管理できるため、クラウドの規模で EDI ワークフローを自動的に交換、変換、モニタリングできます。インフラストラクチャのインストールや管理は必要なく、既存のビジネスアプリケーションやシステムと簡単に統合できます。AWS B2B Data Interchange API または AWS SDK を使用して、パートナーのオンボーディングを自動化できます。スケーラブルなフルマネージドインフラストラクチャと組み合わせることで、AWS B2B Data Interchange は、ビジネスの俊敏性を高め、運用をスケールするのに役立ちます。
詳細はこちら:
さぁ、構築しましょう!
原文はこちらです。