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SAP Lens for AWS Well-Architectedフレームワークの紹介

はじめに

SAPアプリケーションは、世界中のほとんどの企業の財務記録システムとビジネスプロセスのバックボーンとなっています。SAPのワークロードはミッションクリティカルであり、多くの場合リソースを多く使われるため、アーキテクチャの決定は大きな影響を与えます。当然ながら、お客様は自社のアーキテクチャが企業独自のビジネスと技術の要件を対応していることを確かめたいと考えています。

AWSは、2008年にSAP社が自社のイノベーションジャーニーをサポートするためにAWSの利用を開始して以来、SAPのワークロードをサポートしてきました。AWSはSAPワークロードを2008年からサポートを開始し、最初はSAP社が自社のイノベーションジャーニーを推進するためにAWSを使っていました。2011年からSAPのお客様がAWS上にSAP環境の本番稼働を実行しています。この13年以上の歩みの中で、私たちはSAPアプリケーション向けのAWSのメリットを最大限に実現する方法を多く学んできました。お客様からは、これらの学びをご自身のSAP移行に適用できるよう、ガイダンスを提供してほしいという要望が増えてきました。先日、まさにそれを実現するSAP Lens for the AWS Well-Architected Frameworkを発表できることを嬉しく思います。

2015年以来、AWSのお客様はAWS Well-Architectedフレームワークを参考にして、自社のアプリケーションやワークロードのために、安全で、高パフォーマンスで、回復力があり、効率的なインフラを構築しています。AWS Well-Architectedは、運用上の優秀性 、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス効率、コスト最適化という5つの柱に基づき、お客様やパートナー様がアーキテクチャを評価し、長期的に拡張可能な設計を実装するための一貫したアプローチを提供します。

Well ArchitectedフレームワークのガイダンスはすべてのAWSのお客様に関連していますが、アナリティクス、機械学習、金融サービスなど、他の業界や技術領域で行ってきたように、SAPのお客様の特定のニーズに合わせて推奨事項を拡張する機会があると考えました。

SAP Lensとは?

SAP Lensは、AWS上でSAPを稼働するためにクラウドネイティブなアプローチを採用するのに役立つ、お客様に実証された設計原則とベストプラクティスを集めたものです。これらの推奨事項は、AWSがお客様、AWSパートナー様、そしてAWSのSAPテクニカルスペシャリストコミュニティから収集した洞察に基づいています。

このSAP Lensは、評価と改善のための最も一般的な領域を強調しています。AWS Well-Architected Frameworkの5つの柱に沿って設計されており、洞察を提供しています。

  • 運用上の優秀性は、得られるビジネス価値及びビジネスプロセスと段取りを継続的に改善するためのシステムの運用と監視に焦点を当てています。SAPのトピックには、監視と自動化のアプローチが含まれます。
  • セキュリティは、情報とシステムの保護に焦点を当てています。SAP のトピックには、データ保護とシステムアクセスの観点が含まれます。
  • 信頼性とは、ワークロードが想定された機能を、期待された通りに正しくかつ一貫して実行することを保証することです。SAP のトピックには、クラウドの可用性のメリットの最大化や、さまざまな障害シナリオに対する保護・復旧アプローチの見直し等があります。
  • パフォーマンスの効率性とは、IT およびコンピューティングリソースを効率的に使用することです。SAP のトピックには、サイジング、および SAP サポートのパフォーマンスベンチマークが満たされていることの確認が含まれます。
  • コスト最適化は、必要でないコストの回避に焦点を当てます。SAP のトピックには、ワークロードの要件に合わせたスケーリングと予約戦略が含まれます。

また、すべての柱において、SAPと、技術スタックを構成するデータベースおよびオペレーティングシステムのベンダーとのサポート要件および互換性要件を明らかにすることにも重点を置いています。

Diagram showing the key pillars of the AWS Well-Architected Framework: Operational Excellence, Security, Reliability, Performance Efficiency, and Cost Optimization

誰がSAP Lensを使うべきか?

何年もAWSでSAPワークロードを運用しているお客様も、今まさにAWSに移行したばかりのお客様も、特定の状況に合わせた明確な推奨が得られます。

SAPテクノロジーアーキテクト、クラウドアーキテクト、AWS上でSAPシステムを構築・運用・保守するチームメンバーは、SAP Lensの内容と推奨事項を目を通すことをお勧めします。このガイダンスにより、SAP Lensは、お客様のビジネス要件に沿った適切な設計上の意思決定を支援します。

このSAP Lensをお客様のアーキテクチャに適用することで、設計の耐障害性や効率性を検証したり、特定されたギャップに対処するための推奨事項を得ることができます。AWSはお客様がAWS Well-Architected Frameworkを補完するものとしてこのSAP Lensをご利用いただくことを期待しています。

次のステップ

SAP Lensは現在、AWSのドキュメントPDFで提供されており、お客様はセルフサービスで利用することができます。さらなる専門家の指導が必要な場合は、AWSアカウントチームに連絡して、SAPスペシャリストのソリューションアーキテクト、またはAWSプロフェッショナルサービスのSAP Specialty Practiceにご依頼ください。

AWSは、SAP Lensを生きたツールとして位置づけています。SAPの製品が進化し、新しいAWSサービスもどんどん利用可能になりますので、それに応じてSAP Lensも更新します。私たちの使命は、お客様がビジネス目標の達成に集中できるように、アプリケーションのより良い設計や導入を支援することです。

サポートされているSAPソリューション、お客様事例、その他の参考リソースについては、SAP on AWSのページをご覧ください。

翻訳はSpecialist SA トゥアンが担当しました。原文はこちらです。