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【動画公開 & 開催報告】コスト削減とCO2排出量削減をクラウドで実現する最新事例と勘所のご紹介!

はじめに

みなさん、こんにちは。アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 シニア事業開発マネージャーの小野です。
2022年8月18日に「コスト削減とCO2排出量削減をクラウドで実現する最新事例と勘所のご紹介!」を開催しました。

このブログでは、当日参加できなかった方や、参加したけれども内容を振り返りたい方に向けて、ご自身の取り組みの参考としていただくために当日のセッション内容のまとめを紹介します。

セッション内容の紹介

@cosmeのフルクラウド化に向けたAWSコスト最適化支援の活用
~1,000VM, 120サービスを移行した意思決定~

  • 株式会社アイスタイル VPoE 近藤 俊太郎 様 / CTO 松田 進也 様

本セッションでは、@cosmeを支えるシステムの全面移行に踏み切った経緯についてお話し頂きました。元々ECサイトのオフロードなどにAWSを活用頂いており、オンプレミスシステムの限界と将来的な市場やビジネスの変化を鑑みれば、フルクラウド化が望ましい状況でした。しかし反面、コストの増大が懸念されていました。そんな折にAWSからコスト評価のプログラム「クラウドエコノミクス」と「CFM」の紹介があり、両コスト最適化支援プログラムを実施されました。両プログラムにて、既存環境のコスト最適化と移行後のコスト削減・生産性向上の観点で高い効果が得られることを確認。結果的に全面移行に踏み切られました。

開発チームへの影響についても、生産性向上とも相まって各メンバーの守備範囲を広げられている、挑戦や改革に対するハードルが下がった、エンジニアも楽しくなる、といったように好影響であったと言及されています。

フルクラウド化に向けた意思決定、および開発チームへの好影響を背景に、2023年の全面移行完了に向けて移行プロジェクトが進行中のアイスタイル様。最後に、クラウド化を検討される企業にとって自社の事例が参考になれば嬉しいと締めくくって頂きました。

株式会社アイスタイル様セッション資料

持続的なAWSコスト最適化のための体制強化に向けて

  • 株式会社QUICK IT インフラ本部 プリンシパル 小出 淳二 様

本セッションでは、クラウド推進・コスト最適化のためには、どのような仕組みや組織化が必要なのか、現在進行中の取り組みを紹介頂きました。オンプレ環境の保守期限を機にクラウド移行されたQUICK様。移行後の課題としてクラウド利用の統制、人材育成、課題解決の牽引役不在を挙げられました。課題に対しクラウド推進・最適化のための取組みとして、CCoEの立ち上げ検討、CFMの実施、CFMチームが提供するFinHackワークショップの実施、クラウド研修の内製化、社内勉強会の開催、re:Inventへの参加についてご紹介頂きました。例えばCFMの実施については報告書も紹介頂きながらEC2のダウンサイジングなど具体的なコスト最適化手法の提案などについて触れて頂きました。FinHackワークショップではコスト可視化手法の紹介やハンズオンを通じて社員のコスト意識の定着が図れたことなどをお話頂きました。今後の取組みとして持続的最適化プロセスの確立、CCoEの立ち上げ、アーキテクチャのクラウドネイティブ化を挙げられました。締めくくりとして、CCoEの立ち上げを通してITインフラ部門の役割を変えていく、とQUICK様の目指す姿を語って頂きました。

株式会社QUICK様セッション資料

クラウドエコノミクスのトリセツ

  • 日本電気株式会社 マネージドサービス部門 サービスビジネス統括部 シニアプロフェッショナル 福島 由美子 様

本セッションでは、約50 社への「クラウドエコノミクス」の実施を通して見えてきた、お客様にとって最善のクラウド検討の進め方を、事例を交えお話し頂きました。DX実現のためクラウドサービスの利用を社内で上申するには経済性評価が必要との認識から、2019年から本格的にクラウドエコノミクスを利用したTCO分析を開始されたこと、3年間で製造業、流通業、金融業など幅広い業種のお客様約50社にクラウドエコノミクスを実施されてきた実績をまずはお話頂きました。続いて約600台規模のサーバを運用されていたお客様へのクラウドエコノミクス実施例と、その結果お客様のCIO承認が得られプロジェクトが前進した実例をご紹介頂きました。さらにNEC様自身もエンドユーザとして社内システムのAWS移行検討時にクラウドエコノミクスを活用頂いたこと、移行完了から1年経過し効果測定するとほぼ評価結果通りの効果が出ていることをお話頂きました。お客様への提供経験、また自社での活用経験から、クラウドエコノミクスのトリセツとして、準備に過度な時間をかけないこと、システム全体で利用すること、スタッフ生産性は人件費削減と考えず新しいことを実施する余力が出来たと考えること、報告書の数字をうのみにせず目標値として努力が必要であること、など、クラウドエコノミクスを活用した移行前のコスト評価に関するポイントを共有いただきました。また、今後は地球環境やCO2排出削減も意識する、といった新しい観点でのクラウド活用のメリットについても触れて頂きました。最後にはNECのクラウド導入支援メニューのご紹介を頂き、企画構想から計画策定・構築、運用など幅広いご支援をワンストップで対応されている点も訴求頂きました。

日本電気株式会社様セッション資料

CFMを活用したクラスメソッドのコスト最適化診断

  • クラスメソッド株式会社 AWS事業本部長 菊池 修治 様
    / 営業統括本部 ビジネスコンサルティンググループ 寺山 佳貴 様

本セッションでは、CFMプログラムを活用し、定期的なコスト最適化診断にて、さらにAWS活用を促進するお客様事例をご紹介頂きました。ご紹介頂いたのは2020年にマイグレーションが完了し1,000台以上のインスタンスを運用中の大手飲料メーカー様の事例です。お客様の利用費用が移行完了から1.5倍に増えており、その要因やコスト削減余地を把握したいという課題がありました。CFMを実施し、お客様環境の可視化、コスト構造の分析・削減評価を行ったところ、ストレージをより単価の安価なサービスに切り替えること、また不要なストレージやバックアップデータの保持期限を見直すことなどがコスト最適化のポイントであることを確認しました。これらの見直しにより毎月約$30Kのコスト最適化を実現されました。他にもインスタンスに関する最適化提案なども行い、結果的にお客様より利用範囲を拡大できたことや社内のコスト意識が高まったことなど、好意的な反応を頂けたとのこと。結びとしてCFMのみならずクラスメソッド様にて提供されているコスト最適化支援について触れ締めくくられました。

クラスメソッド株式会社様セッション資料

CO2とコストを一刀両断!クラウド移行の経済性評価プログラム・AWSクラウドエコノミクスのご紹介
~脱炭素社会に向けてITができること~

  • アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 事業開発統括本部
    クラウドエコノミクスチーム シニア事業開発マネージャー 小野 俊樹

本セッションでは、 クラウド移行を脱炭素化の観点から捉え直し、さらにコスト削減までの実現をご支援する、AWSクラウドエコノミクスという経済性評価プログラムを事例と共にご紹介致しました。初めに脱炭素化が経営課題となりうること、またクラウドの活用が課題解決に向けた一助となり得ることについてご説明致しました。さらに、クラウド移行の意思決定に際してはやはりコストも論点となります。クラウド化による脱炭素化の効果およびコスト削減効果の2点について移行検討時に評価を行えるプログラムである、クラウドエコノミクスについてご紹介いたしました。クラウドエコノミクスを活用頂いた事例として、あるエンターテインメント業界のお客様でコスト削減効果に加えて、CO2削減効果の試算も行った例をご紹介致しました。また、クラウドエコノミクスを活用しその後の意思決定頂いた日産自動車様(Migration Evaluatorを活用しデータ取得を実施)やPCA様(90%のコスト削減が可能との評価)の事例についてもご紹介致しました。

AWSセッション資料(クラウドエコノミクス)

Cloud Financial Management(CFM)によるAWS利用費用の最適化でビジネスの変化を促進!

  • アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 事業開発統括本部
    クラウドエコノミクスチーム シニア事業開発マネージャー 仁戸 潤一郎

本セッションでは、お客様のコストやビジネスの変化にCFMがどう貢献できるかについて、事例を交えながらご紹介致しました。まずCFMとは、利用状況の可視化、最適化、計画予測の3つの柱と、それらを効果的に運用するためのベストプラクティスであるFinOpsから構成されている旨を説明。続いて、過去のCFM実施結果から、29%のインスタンスで過剰なプロビジョニングとなっていることを紹介し、適切なインスタンスサイズを選定することでコスト最適化を図ることが出来る旨を説明しました。また、コスト最適化を実施しているものの効果が出ていないといった課題に対して、一例として利用部門にコスト意識を持ってもらうことを提案。そのためには利用部門に対するクラウド利用コストの配賦が有効であると紹介しています。最後に、CFMではAWSの知見を活かしたコスト最適化の余地に関する分析、最適化手法の提案を行うこと。また、それらを実施する上で有益なサービスやツールについてお客様自身でも実施できることを目指したハンズオントレーニングの実施や、CFM-CAと呼ばれる評価サービスについて触れ、これらの枠組みでお客様のコスト最適化支援を行っていくと締めくくりました。

AWSセッション資料(CFM)

おわりに

クラウド利用費用は移行前も移行後もお客様にとって重要なテーマの一つであると考えます。今回のウェビナーでは様々な事例と共にクラウド利用費用に伴う課題やその解決策を、お客様観点、お客様のコスト懸念解消をご支援するパートナー様観点さらにはAWSクラウドエコノミクスチーム観点からご紹介致しました。クラウド活用が脱炭素化にも貢献し得る点についてもご紹介致しました。今後クラウド利用費用についてお悩みの際には、今回のウェビナーの資料等を参考にして頂ければと思います。また、実際にクラウドエコノミクス、またCFMを自社で実施したい場合は、ぜひお取引のあるパートナー様、もしくは弊社営業担当者までご連絡をお願いいたします。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 事業開発統括本部
クラウドエコノミクスチーム シニア事業開発マネージャー 小野 俊樹