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AWS Elemental LiveがDolby Atmos® エンコーディングをサポート
近年の技術革新と顧客体験の向上を求めて、HDR映像のDolby VisionとイマーシブオーディオのDolby Atmosの採用が広がっています。コンテンツの制作から配信、消費を担う、デジタルメディアサプライチェーンが成熟し拡大している中、顧客はDolby Visionによる、よりリッチな色彩、詳細なローライト、高いダイナミックレンジ、そしてDolby Atmosによる没入型オーディオ体験の恩恵を受けることができるようになってきています。
この記事ではDolby Atmosの主な利点に焦点を当て、AWS Elemental Liveエンコーダーを使用してDolby Atmos対応ストリームを構成する方法について詳しく説明します。
Dolby Atmosとは?
Dolby Atmosは、映画館向けに開発された革新的なオーディオ技術で、音が周囲を移動していくような没入感を味わうことができます。ステレオで録音された音は左右のチャンネルに制限されていますが、Dolby Atmosでミキシングされた音は固定チャンネルから解放され、サウンドミキサーが個々の音を配置して周囲を移動したり、声、葉のざわめき、足音の音量、サイズ、拡散レベルを決定し、音のニュアンスを明らかにすることが可能です。音に包まれ、物語の中心にいるようなユニークな体験ができます。
Dolby Atmosは、リスニングエリアの上にチャンネルを追加することで、従来のサラウンドサウンド構成を拡張し、音場を拡張して没入感を生み出します。Live Dolby Atmosライブラリは他のチャンネル構成(最大9.1.6)にも対応していますが、ここでは、現在使用されているほとんどのLive Atmosイベントやワークフローで主流となっている5.1.4に焦点を当てます。
一般的なサラウンドサウンドの設定は、フロントに左、右、センタースピーカー、左、右のサラウンドスピーカー、「.1」はLFE(低周波エフェクト)またはサブウーファーチャンネルの5.1となっています。Atmosの設定では、従来の設定にハイトスピーカーまたはオーバーヘッドスピーカーを追加し、5.1.2または5.1.4設定を可能にします。これらのオーバーヘッドスピーカーは、通常、天井に取り付けられた2つまたは4つのスピーカー、またはAtmos対応スピーカーから天井に向かって音を発射し、リスニングエリアまで反射させるスピーカーです。また、Atmos対応のサウンドバーを利用したシンプルなシステムもあり、天井に向けて音を発射し、天井に反射させることで、同様の没入感を得ることができます。
スピーカーのセットアップ方法については、Dolbyのスピーカーセットアップガイドを参照してください。
Dolby Atmos利用の理由?
Dolby Atmosは、コンテンツ制作会社、放送局、およびApple TV+、Amazon Prime Video、Netflix、SKY UK、BT Sports、Comcastなどの人気ストリーミングサービスに採用されています。Dolby Atmosは、電話、タブレット、テレビ、サウンドバー、そして現在では自動車など、何千もの互換性のあるコンシューマーデバイスモデルでサポートされています。Dolby Atmosは没入型オーディオ体験の標準です。映画館でも、自宅でも、外出先でも、消費者はこれまでに聞いたことのない体験を楽しむことができます。
Dolby Atmosを使用する利点の1つは、ほとんどのスピーカーセットアップで楽しむことができることです。Dolby Atmosは、特定のスピーカー向けにミキシングされたオーディオを持ち運ぶのではなく、アーティストやライブプロダクションが意図する完全な体験をあらゆるスピーカー構成に持ち運び、Atmosデコードデバイスが、利用できるスピーカーにオーディオを適切に再生する方法を決定します。
AWS Elemental Liveエンコーダーのソフトウェアアドオンライセンスにより、Dolby Atmosテクノロジーの導入は簡単で、Dolby Atmos処理のために高価なハードウェアを追加購入する必要はありません。
サポート内容
AWS Elemental Live は、ソフトウェアリリース 2.16.3 GA で Dolby Atmos オーディオのパススルーをサポートし、お客様が事前にミックスした Dolby Atmos ビットストリームがある場合に Dolby Atmos 体験を提供できるようにしました。ソフトウェアリリース2.22.4 GAから、AWS Elemental Liveは、オーディオソースをDolby Atmosにエンコードし、TS、Reliable TS、Apple HLS TS、Apple HLS fMP4、Dash ISO、TS Archiveで出力する機能をサポートしました。
AWS Elemental LiveでのDolby Atmosイベント設定
Inputからスタート:
- Live eventを作成または編集します
- イベントで、サポートしたオーディオを含むinputを選択します
Outputへ移動:
- Apple HLSを選択します。New Outputセクションから複数のアウトプットを追加可能です。
- Outputセクションで、Segment TypeからそれぞれのOutputストリームからfMP4を選択。この設定でオーディオ、ビデオをFragmented MP4フォーマットで配信を可能にします。最後のストリームでAudio onlyを指定します。
- Streamsセクションで、オーディオのみのストリームのVideoコンフィグレーションを削除します。[Audio]設定タブで、[Audio Codec]ドロップダウンメニューから[Dolby Digital Plus with Dolby Atmos]を選択し、[Coding Mode]ドロップダウンメニューから目的のコーディングモードを選択します。
各コーディングモードには、それぞれ関連するチャンネルの入力順序があります。正しい出力チャネルを生成するためには、この順序に忠実でなければなりません。ここでは、5.1.4、7.1.4 および 9.1.6 コーディングモードで使用されるデフォルトのチャネルオーダ情報を示します。
Input Channel | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
5.1.4 | L | R | C | LFE | Ls | Rs | Tfl | Tfr | Tbl | Tbr | x | x | x | x | x | x |
7.1.4 | L | R | C | LFE | Ls | Rs | Lb | Rb | Tfl | Tfr | Tbl | Tbr | x | x | x | x |
9.1.6 | L | R | C | LFE | Ls | Rs | Lb | Rb | Tfl | Tfr | Tsl | Tsr | Tbl | Tbr | Lw | Rw |
- 次に適切なビットレートを選択します
Outputを確認
この情報は出力がApple HLS出力グループである場合に適用されます。Elemental Live は Apple デバイスの HLS オーサリング仕様に準拠したマニフェストを作成します。 次の例では、マニフェスト出力の CODECS 属性に「ec-3」が含まれ、CHANNELS 属性の値は「12/JOC」であり、これはオーディオが Dolby Atmos であることを示す表示です。 数値はDolby Digital PlusオーディオトラックのEC3SpecificBox内のcomplex_index_type_aフィールドの値です。
#EXTM3U
#EXT-X-VERSION:4
#EXT-X-INDEPENDENT-SEGMENTS
#EXT-X-STREAM-INF:BANDWIDTH=2208800,AVERAGE-BANDWIDTH=2142800,CODECS="avc1.64001f,ec-3",RESOLUTION=1280x720,FRAME-RATE=30.000,AUDIO="program_audio_0"
index_video.m3u8
#EXT-X-MEDIA:TYPE=AUDIO,LANGUAGE="eng",NAME="Alternate Audio",AUTOSELECT=YES,DEFAULT=YES,CHANNELS="12/JOC",GROUP-ID="program_audio_0",URI="index_audio.m3u8"
まとめ
Dolby Atmosは、顧客に没入感のあるサウンド体験を提供するエキサイティングなオーディオ技術です。AWS Elemental Live エンコーダーのアドオンソフトウェアライセンスにより、Dolby Atmos 処理用のハードウェアを別途追加購入することなく、鮮明で高品質なビデオストリームに、色鮮やかでリアルなオーディオ体験を添えて配信することが可能です。
AWS Elemental Liveの詳細については、https://aws.amazon.com/elemental-live/ をご覧ください。
AWS Elemental Liveのドルビービジョンサポートの詳細については、こちらをご覧ください。
参考リンク
AWS Media Services
AWS Media & Entertainment Blog (日本語)
AWS Media & Entertainment Blog (英語)
AWSのメディアチームの問い合わせ先: awsmedia@amazon.co.jp
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翻訳は BD山口が担当しました。原文はこちらをご覧ください。