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自治体xスタートアップ・ISV マッチング・交流会【開催報告】

アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWS)は 2024 年 1 月 24 日に、「自治体xスタートアップ・ISV マッチング・交流会」を AWS Startup Loft Tokyo にて開催しました。本イベントでは、スタートアップとの協業に関心を持つ自治体の方々と、実証実験先を探すスタートアップ・ISV の方々をお招きし、マッチングと交流会を行いました。今回はそのレポートをお届けします。

各自治体によるプレゼンテーション

イベント前半では、各自治体の関係者の方々がプレゼンテーションを行いました。

北海道札幌市(左)、栃木県宇都宮市(中央)、静岡県浜松市(右)

北海道札幌市
2023 年 9 月に、北海道と札幌市、北海道経済産業局がスタートアップの支援事業を一元化して、「STARTUP HOKKAIDO実行委員会」を設立したことを発表しました。北海道のスタートアップがグローバルで活躍することを目指しています。

栃木県宇都宮市
宇都宮市は、「HELLO,NEW CITY.」というスローガンのもと、次世代型路面電車「ライトライン」や宇都宮駅に直結するコンベンション施設「ライトキューブ」が開業するなど、まちが大きく変化する中で、スタートアップ・エコシステムの構築にも力を入れており、スタートアップ等とのオープンイベーションによる“共創”のまちづくりを進めています。

静岡県浜松市
スズキ、ホンダ、ヤマハ、河合楽器、浜松ホトニクスなどのグローバル企業が生まれている都市・浜松市。日本のシリコンバレーになることを目指し、「ものづくり企業✕スタートアップ」の融合によるイノベーション創出を推進しています。また、令和 2 年には愛知県・名古屋市および浜松市が連携して「スタートアップ・エコシステムグローバル拠点都市」に認定されました。

京都府京都市(左)、大阪府堺市(中央)、宮崎県宮崎市(右)

京都府京都市
観光都市のイメージが強い京都市ですが、スタートアップ支援のための取り組みも行っています。現在、京都市内には約500社ほどのスタートアップがありますが、スタートアップの創出・成長を加速させていき、これを大幅に増やすことを目指しています。その一環として、京都市の行政課題をオープンにし、それらを解決できる技術やノウハウを持った事業者を募っています。

大阪府堺市
堺市は西日本最大のニュータウンのある自治体。新しい技術やサービスを積極的に導入し、地域の課題を解決しながら、住民の暮らしの質を向上させる取り組みを推進してきました。また、社会的な課題や地球環境の問題への挑戦も積極的に進めています。中百舌鳥エリアをイノベーション創出拠点と位置づけています。

宮崎県宮崎市
民間と宮崎市がつながり、パートナーシップのもと、政策や価値を創造して成長を目指すための公民連携総合窓口「みやざき CITY PORT」を開設しています。また、宮崎市域の社会課題解消に向けた事業創出の場を提供するため、民間企業や起業家が中心となり「宮崎オープンシティ推進協議会」を立ち上げる予定です。

イベントには、他にも以下の自治体の方々が参加されました。

北海道釧路市、栃木県栃木市、静岡県静岡市、兵庫県神戸市、香川県高松市、大分県大分市

スタートアップ各社によるプレゼンテーション

イベント後半では、各スタートアップがプレゼンテーションを行いました。

polyfit株式会社(左上)、株式会社ナイルワークス(右上)、株式会社インサイトテクノロジー(左下)、WisHealth株式会社(右下)

polyfit株式会社
地域と学校をつなぐ領域で事業展開する GovTech スタートアップ。PTA 活動のデジタル化を目指すプロダクト「polyfit for PTA」や、教育委員会・行政機関と連携し学校業務を地域に移行するためのアルゴリズム学習型人材バンク「polyfit for CS」を展開しています。自治体向け事業は実証実績があり、今後さらに多くの分野で実施していく予定です。

株式会社ナイルワークス
農業分野のスタートアップです。作物の形状解析技術と生育シミュレーションを活かし、地域の気候・特性に合った栽培・管理方法の整備に取り組んでいます。作物の収穫予測による栽培・流通の効率化や、肥料・農薬の適正使用などに寄与。農業に関わる経済性と環境負荷の改善を支援し、持続可能な農業の実現を目指しています。

株式会社インサイトテクノロジー
データやデータベース関連のソリューションを展開しています。文書内に含まれる個人情報の検知と匿名化する機能で、自治体における「個人情報を含む文書のメール送信防止」や「情報公開時の文書の墨消し作業」「ガバメントクラウド移行用テストデータ作成」などをサポートしています。

WisHealth株式会社
患者の主体性の向上や医療現場の業務効率化、自治体における医療政策や医療サービスの改善という 3 つを両立するサービス「Patient Success」を展開しています。自治体住民のプライマリーケアを担うクリニックでの導入により、自治体健診の受診率向上やスムーズな医療体験の提供などの事例があります。貴重なデータを自治体の政策へ活かすことも始まっています。

FRAIM株式会社(左上)、株式会社Mikulak(右上)、CoinEZ株式会社(左下)、株式会社Alumnote(右下)

FRAIM株式会社
「文書作成を、再発明する。」を企業ビジョンとし、次なる文書体験の提供による新たな働き方の実現のために、企業や官公庁向けの文書作成支援ツールの開発・提供、および保有する技術要素(エディタ・AI 関連)の提供をしています。徳島県、兵庫県尼崎市など複数の自治体での導入実績があり、経済産業省・防衛省での実証事業も実施。公的機関における文書業務の改善・効率化に貢献しています。

株式会社Mikulak
小中学校向けの教育事業を提供するスタートアップ。世界でも類を見ない、AI を組み込んだ授業・校務支援アプリ「ClassCloud」で子どもたち一人ひとりの最適な学びや協働学習を支援します。また、AI による子どもの投稿の分析や交友関係の可視化、通知表の所見の自動生成機能などで授業・校務をサポート。教員の業務を削減して働き方改革を進めます。自治体との連携のほか、上場企業との提携や大学との共同研究も行っています。

CoinEZ株式会社
キャッシュレス社会へ移行するうえで、次なる段階はコインレス決済です。お釣りを電子マネーで受け取り可能にすることで、「小銭」という社会課題を発生源から根本的に解決します。従来ではあり得ない店舗での後払いを実現させ、将来的にユーザーは受け取った釣り銭を他社の提供する地域通貨や〇〇ペイへ自動移行可能になります。

株式会社Alumnote
「次世代の教育に資本をまわす」をミッションに大学・教育機関の資金調達手段のアップデートを目指している東京大学発スタートアップ。寄付金を元本とした大学基金の運用益を大学の新しい財源とするために、大学コミュニティの活性化と大学のファンドレイジング業務をサポートし、デジタルツールの提供と寄付獲得の実行支援を提供しています。

株式会社トルビズオン(左上)、Soteria8 co. ltd(右上)、株式会社ぐるり(左下)、BellaDati合同会社(右下)

株式会社トルビズオン
ドローン空路整備サービスである「S:ROAD」を開発・運用しています。「S:ROAD」は定期航路となるドローンの飛行空域を可視化し、ドローン産業の社会実装を推進。ドローン事業者は「S:ROAD」を利用し、地域代理店であるスカイディベロッパーが開拓した空路を利用することができます。「S:ROAD」には、空に「住所」を作り、空域に関する情報データベースとひも付ける特許技術「スカイドメイン®︎」が用いられています。

Soteria8 co. ltd
ロボットと AI を活用して老朽化したインフラのレジリエンスと安全状態を診断するスタートアップです。探査ロボットで老朽化インフラの外観イメージデータを収集し、コンピュータービジョンのディープラーニング技術を活用して国土交通省の安全診断基準に適合しないポイントを診断します。自治体の老朽化インフラのメンテナンス状況、地理的位置、災害・事故のタイプなどに応じて、迅速かつ正確に診断するためのカスタマイズされたロボティクスと AI モデルをクラウドで実装します。

株式会社ぐるり
オーバーツーリズムなどの「観光」の課題に対し、寺社仏閣や史跡といった「歴史資源」を活用した周遊・分散を目指しています。同社が提供するサービス「GURURI」ではイラストマップ上に歴史コンテンツを表示します。ユーザーはそこで美術館のような音声ガイドや投稿機能、訪れた史跡のログも取得できます。歴史上の人物のようなテーマ型のコンテンツをプラットフォームに集約することで、ユーザーはどこでもそのコンテンツを利用可能。また、訪れたユーザーの属性や位置情報などのデータ分析も行っています。

BellaDati合同会社
2022 年 4 月より日本法人を立ち上げました。国内大手自動車会社を筆頭に、日本市場における製造、物流、建設関係の企業へ、データドリブンな業務改革の支援や、新規ビジネス開発の共創を推進しています。グローバルでの約 20,000 件の導入実績に基づいた IoT プラットフォーム導入テンプレートにより、データ収集から蓄積・分析・可視化・サービス化までを実現。新規ビジネス開発を早期に立ち上げたい顧客に向けて、最適なフレームワークを超短納期で提供します。

株式会社Singular Perturbations(左)、株式会社Mamawell(中央)、株式会社ゼネックコミュニケーション(右)

株式会社Singular Perturbations
独自アルゴリズムによる犯罪予測結果を用いた防犯パトロール支援アプリ「Patrol Community」を提供しています。パトロール業務を効率化するほか、アプリによる市民通報の仕組みで地域の安全活動における DX を実現します。

株式会社Mamawell
妊娠・育児期の女性を対象に、専属助産師が健康支援を行います。専用アプリとウェアラブルデバイスで取得した健康データから妊婦の活動状況をモニタリングし、専属助産師が適切な活動量を達成するための生活改善支援をします。導入企業には、妊婦社員の健康状態をフィードバックし、過度な業務負担の予防や職場内のコミュニケーションギャップを解消。企業全体のエンゲージメントや生産性の向上を提供します。

株式会社ゼネックコミュニケーション
IoT プラットフォームサービス「IoT Station」の開発、およびサービス展開を行っている企業です。「IoT Station」は、通信回線やゲートウェイ、IoT センサーの種類を問わず、多種多様なデータを Web ブラウザ上で可視化するサービス。収集データをひとつの画面に集約し一元管理することで、業務の効率化や省人化など、さまざまな課題を解決へと導きます。

Networking

イベント終盤では、自治体の方々やスタートアップ・ISV で働く方々が参加しての Networking が実施されました。他のイベントやコミュニティなどではなかなか実現できないような、貴重な出会いが数多くあったようです。参加者同士の名刺交換や活発な議論が行われました。こうした交流が新たな協業やプロジェクトの始まりにつながる可能性もあるため、有益な Networking となったようでした。

AWS パブリックセクターは今後も、公共分野でのイノベーションを加速させるため、自治体やスタートアップの皆様をご支援してまいります。ご関心を持たれた方は、ぜひお気軽にこちらまでお問い合わせください。