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マンチェスター・エアポート・グループとライアンエアーがAWSと連携してより良い顧客体験を提供した方法
あなたは空港でゲートを探すのに苦労したことはありませんか?
あなたが良く利用する旅行アプリに表示されるゲート情報が、空港ターミナルに設置されているフライトインフォメーションディスプレイスクリーン(FIDS)に表示されるデータと異なっていることがあります。特にゲート情報が変更された場合、旅行当日に混乱が生じることは想像しやすいです。
マンチェスター空港、ロンドン・スタンステッド空港、イースト・ミッドランズ空港を所有・運営する英国最大の空港グループであるマンチェスター・エアポーツ・グループ(MAG)とAWSは、ヨーロッパ最大の航空会社グループであるライアンエアーと共同で、ニアリアルタイムのイベント・プラットフォームを開発しました。その目的は、ロンドン・スタンステッド空港を経由するライアンエアー388便と、MAGが毎日のピークタイムに取り扱うマンチェスター発のライアンエアー129便を同日に利用する旅行者の体験を改善することでした。
既存ツールとの連携
MAGはゲートアロケーションを管理する独自システムを持っています。MAGの空港のオペレーションチームとグランドハンドリングエージェントのメンバーは、いくつかのアプリケーションを使ってこのプラットフォームを利用しています。ゲートが変更されると、従業員が新しい情報をデータベースに入力し、旅行者が空港で見るFIDSが更新されます。
すでに持っているデータを公開
MAGは、日々のオペレーション中に発生するイベントに合わせて、社内の空港オペレーションデータベース(AODB)からオペレーションデータをフィードします。AWS Database Migration Service(DMS)は、データベースとアナリティクスのワークロードを迅速かつ安全にAWSに移行するためのマネージド移行・レプリケーションサービスです。DMSの変更データキャプチャ(CDC)を利用し、全て野データベースの変更をイベントとしてAmazon Managed Streaming for Apache Kafka(MSK)のクラスタへパブリッシュすることができます。これによりニアリアルタイムのゲート変更イベントを取得することができます。
データベースのテーブルレベルでゲート情報に変更が発生すると、Kafkaにパブリッシュされ、Amazon Elastic Container Service(ECS)(コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、管理、スケーリングを容易にするフルマネージドコンテナオーケストレーションサービス)で稼働する自社開発のマイクロサービスがイベントを検出します。マイクロサービスは、CDCデータから変換を実行し、合意されたスキーマにマッピングし、データは標準化されたJSONオブジェクトとして公開します。
{
"Airport": "STN",
"FlightDate": "2022-12-21T10:20:00Z",
"FlightNumber": "FR8753",
"GateAllocationDate": "2022-12-21T09:20:08Z",
"GateNumber": "36",
"GateStatus": "End Boarding",
"GateStatusCode": "E",
"StandCode": "J45R",
"Terminal": "T1"
}
次にデータを利用したい航空会社がサブスクライブすることのできる公開されたトピックにデータが送られます。データを利用したい航空会社は証明書と利用するシステムのIPのレンジでセキュリティを担保し、トピックに接続しデータを利用します。
MAGのエンジニアリング責任者であるイアン・フローリーは、”「我々がKafkaを選んだ多くの理由のひとつは、どの航空会社やグラウンドハンドリングの会社でも利用しやすいオープンな技術であることです。つまり、私たちは関心を持つあらゆる関係者にほぼリアルタイムの最新情報を提供できるのです。AWS内でKafkaを実行することで、マネージドサービスの恩恵も受けることができます”と述べています。
ゲートの変更情報を活用する
ライアンエアーのような航空会社は、MAGが公開するKafkaトピックにサブスクライブすることで、ゲート変更イベントを取り込むインフラを構築し利用することができます。航空会社はイベントを取り込んだ後、ネイティブ・モバイル・アプリケーションのプッシュ通知などの関連チャネルを使用して、関連する顧客にデータを公開することができます。
これにより、旅行者が空港で目にするものと、航空会社のウェブやモバイル・アプリケーションで目にするものとの間に一貫性が生まれ、旅行当日のシームレスな移動が可能になります。
2022年12月現在、この機能はロンドン・スタンステッド空港とマンチェスター空港を利用するライアンエアーの顧客に提供されており、将来的には他の空港にも拡大する予定です。
MAGのエンジニアリング責任者であるイアン・フローリーは ”これは、AWS、MAG、ライアンエアーのアジャイルなコラボレーションであり、乗客に適切な情報を適切なタイミングで提供するという目的のために、最新で堅牢な技術を使用している。”と述べました。
MAGの最高技術責任者(CTO)であるジョン・ハドソンは、”AWSとライアンエアーの両社が協力してくれることで統一したユニークなデータの見え方や、独自の洞察を見つけ出すことが可能になり、旅行者に対しよりシームレスで継続的であり、かつパーソナライズしたサービスを提供することが可能になりました。”と述べました
ライアンエアーの最高技術責任者(CTO)であるジョン・ハーリー氏は、”AWSおよびMAGと協力し、ゲート情報を入手次第ライブで提供することで、空港での顧客体験を可能な限りシームレスにできることをうれしく思います。これは、旅客の旅程を可能な限りわかりやすくすることを目的とした当社のDay of Travel Initiativeに沿ったものです。”と述べました
結論
このブログでは、MAGがAWS上でイベントドリブンなゲート通知システムを迅速に構築し、Ryanairと協力して乗客の旅行体験を改善した方法を学びました。もしあなたも乗客のエクスペリエンスを改善する方法に興味があれば、aws.com/travelをご覧になるか、弊社までご連絡ください。
翻訳はソリューションアーキテクトの矢形が担当しました。原文はこちらです。