Amazon Web Services ブログ

新機能 – Amazon EBS Fast Snapshot Restore (FSR)

Amazon Elastic Block Store (EBS) はサービス開始から 10 年以上になりますが、今では AWS の土台をなすビルディングブロックとなりました。EBS では、最大 16 TiB までの保存と最大 64,000 IOPS (1 秒あたりの入出力オペレーション数) までの処理が可能な永続的ストレージボリュームを作成できます。4 種類のボリュームをデータ転送スループット、IOPS、料金の要件に合わせて選択できます。要件が変わっても、ボリュームはオンラインでアクティブなままでボリュームタイプの変更、ボリュームの拡張、パフォーマンスの変更ができます。EBS スナップショットでは、バックアップ、災害対策などの用途でボリュームの状態をキャプチャできます。作成したスナップショットは、EBS ボリュームの新規作成に使用できます。スナップショットは、耐久性の高い Amazon Simple Storage Service (S3) に保存されます。

AWS の常にクリエイティブなお客様は、EBS スナップショットをさまざまな興味深い用途に活用しています。バックアップや災害対策といったユースケース以外にも、スナップショットの用途として、本番環境から収集したデータを使用した分析用環境やテスト用環境のすばやい作成や、仮想デスクトップインターフェイス (VDI、Virtual Desktop Interface) 環境のサポートといったものがありました。ご存知と思いますが、EC2 インスタンスの起動に利用されている AMI (Amazon マシンイメージ) も、1 個または複数のスナップショットとして保存されます。

Fast Snapshot Restore
本日より、EBS の Fast Snapshot Restore (FSR) の提供を開始いたします。新規および既存のスナップショットで AZ (アベイラビリティーゾーン) ごとに有効化して、パフォーマンスを最大化する EBS ボリュームを新規作成することができます。初期化の必要はありません。

今回の性能強化で、ユーザーはこれまでよりはるかに高速かつ応答性能の高い AWS ベースのシステムをビルドできるようになります。起動に要する時間の短縮により、ユーザーの VDI 環境はスピードアップされ、Auto Scaling グループは大型サイズの AMI やカスタム AMI を使用している場合でもより迅速にオンライン状態になりトラフィック処理を開始することができます。皆さんがこの新たなレベルに到達した速度と予測性能を活用する新しいアプリケーションを創出されるものと確信しています。

Fast Snapshot Restore はスナップショットが作成中であっても、そのスナップショットに対し有効にできます。夜間にバックアップ用のスナップショットを作成する場合に FSR を有効にしておくと、ボリュームやスナップショットのサイズに関係なく、翌日に高速復元を実行できます。

Fast Snapshot Restore の有効化と使用の方法
開始するのにかかる時間は、わずか数分です。 EC2 コンソールを開いて、最初の復元として設定したい最初のスナップショットを探します。

スナップショットを選んだら、[アクション] メニューから [Manage Fast Snapshot Restore] を選択します。

次に、EBS ボリュームを作成したいアベイラビリティーゾーンを選択して、[Save] をクリックします。

設定が保存されたという確認メッセージが表示されます。

コンソールでは、スナップショットの Fast Snapshot Restore が有効化されたことが表示されます。

ステータスは進行するにつれて、[enabling]、[optimizing]、[enabled] となります。最適化プロセスでは、ユーザーが手を煩わせることなく、高速復元用の追加リソースが毎時 1 TiB の速度でプロビジョンされていきます。これに対して、最適化されていないボリュームでは、S3 に保存されたスナップショットから増分的にオンデマンドで直接データが取得されます。

最適化が終わったら、通常の手順でスナップショットからボリュームを作成します。わずか数秒で使用可能となるボリュームは、フルパフォーマンスを発揮できるよう事前初期化されます。 FSR が有効化された各スナップショットでは、アベイラビリティーゾーンあたり毎時最大 10 個までの初期化済みボリュームの作成がサポートされます。それを超えて作成されるボリュームは、非初期化ボリュームとなります。ニーズの変化に合わせて新たに別のアベイラビリティーゾーンで Fast Snapshot Restore を有効にしたり、一度有効にしていたアベイラビリティーゾーンで無効にしたりもできます。

ある特定のアベイラビリティーゾーンにあるスナップショットで Fast Snapshot Restore を有効にすると、バケットベースのクレジットシステムによりアクセラレーションプロセスが統制されます。ボリュームを 1 個作成するには 1 クレジットが必要です。クレジット数は時間の経過とともに補填されます。クレジット数の上限は FSR が有効化済みのスナップショットのサイズと相関します。そのガイドラインをいくつか挙げます。

  • FSR 有効化済みの 100 GiB のスナップショットでは、クレジット残高の上限は 10 で、補填レートは毎時 10 クレジットです。
  • FSR 有効化済みの 4 TiB のスナップショットでは、クレジット残高の上限は 1 で、補填レートは 4 時間毎に 1 クレジットです。

つまり、ある 1 つの AZ 内にある FSR 有効化済みの任意のスナップショット 1 個につき、毎時 1 TiB の復元が可能です。

理解しておくべきこと
以下が、Fast Snapshot Restore の理解しておくべきポイントです。

リージョンおよび AZ – Fast Snapshot Restore は、米国東部 (バージニア北部)米国西部 (オレゴン)米国西部 (北カリフォルニア)欧州 (アイルランド)欧州 (フランクフルト)アジアパシフィック (シドニー)アジアパシフィック (東京) リージョンのすべてのアベイラビリティーゾーンでご利用になれます。

料金 – ある特定のアベイラビリティーゾーン内のスナップショット 1 個に対して Fast Snapshot Restore を有効にすると毎時 0.75 USD かかります。これはご利用分の時間割計算によります。最低請求単位は 1 時間です。

モニタリング – 以下の分単位の CloudWatch メトリクスを使用して、FSR 有効化済みである各スナップショットのクレジットバケットの状態をトラッキングできます。

  • FastSnapshotRestoreCreditsBalance – 利用可能なボリューム作成クレジット数です。
  • FastSnapshotRestoreCreditsBucketSize – 貯められるボリューム作成クレジット数の上限です。

CLI とプログラムによるアクセスenable-fast-snapshot-restores コマンド、describe-fast-snapshot-restores コマンド、disable-fast-snapshot-restores コマンドを使用して、コマンドラインからアクセラレーテッドスナップショットを作成、管理できます。また、お使いのアプリケーションコードから、EnableFastSnapshotRestoresDescribeFastSnapshotRestoresDisableFastSnapshotRestores の API 機能も使用できます。

CloudWatch EventsEBS Fast Snapshot Restore State-change Notification イベントタイプを使用して、スナップショットと AZ の組み合わせの状態が変わったときに Lambda 関数などのターゲットを呼び出せます。イベントは、[enabling]、[optimizing]、[enabled]、[disabling]、[disabled] 状態への遷移の成功および失敗に際して生成されます。

Data Lifecycle Manager – DLM ライフサイクルポリシーによって作成されたスナップショットで FSR を有効にしたり、AZ を指定したり、FSR を有効化するスナップショット数を指定したりできます。お持ちの CloudFormation テンプレートを使用して、FSR をご自分の DLM ポリシー (詳細は「AWS::DLM::LifecyclePolicy」参照) に統合することもできます。

現在準備中
今回のローンチに含まれているのは、ユーザー自身が所有するスナップショットのサポートです。いずれは、ユーザーがアクセスを許可されたスナップショットで Fast Snapshot Restore を有効化できるようにカバー範囲を拡張していくつもりです。

今すぐ利用可能です
Fast Snapshot Restore は今すぐにでもご利用可能です。

Jeff