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新しい AWS SimSpace Weaver – クラウドで大規模な空間シミュレーションを実行

11 月 29 日、クラウドで大規模にリアルタイム空間シミュレーションを実行するための新しいコンピューティングサービスである AWS SimSpace Weaver を発表します。SimSpace Weaver を利用することで、シミュレーションデベロッパーは、ハードウェアのコンピューティングやメモリに制限されなくなります。

組織は、稀な状況、危険な状況、または現実世界でテストするにはコストがかかり過ぎる状況のシミュレーションを実行します。例えば、都市の管理者は、都市が自然災害に襲われるのを待って対応システムをテストすることはできません。イベントの計画担当者は、試合が交通量に及ぼす影響を理解するために、大規模なスポーツイベントが始まるまで待ちたくありません。このようなシナリオは、計画担当者がさまざまな状況をテストして各システムを調整できる安全な環境でシミュレートする必要があります。

今日まで、空間シミュレーションの実行は、一般的に単一のハードウェア上で実行されるという制限下にありました。独立した動的なエンティティが多数存在する、より大規模で複雑な世界をデベロッパーがシミュレートしたい場合、より大きなコンピュータをプロビジョニングする必要がありました。シミュレーションデベロッパーは、規模と忠実度のトレードオフ、つまり、世界の規模と、そこに存在する独立したエンティティの数を決定することを余儀なくされていました。

私たちが住んでいる世界は複雑で、大規模なコンサートやスポーツイベントによって交通がどのように影響を受けるかなど、デベロッパーがシミュレートしたいシナリオも非常に複雑です。これらのイベントをシミュレートするには、人々や車両を表す数十万の独立した動的エンティティをモデル化する必要があります。各エンティティには、世界中を移動したり、他のエンティティとインタラクションしたりする際の独自の動作セットがあり、これらはモデル化される必要があります。これを現実世界の規模でシミュレートするには、1 つのインスタンスに備えることができる量を超える CPU とメモリが必要です。

SimSpace Weaver を利用することで、複数の Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスにわたって大規模にシミュレーションを実行できます。100 万を超える独立した動的なエンティティのシミュレーションをサポートします。

SimSpace Weaver を使用すべき場合
シミュレーションの規模を拡大したり、複雑さを高めたりする必要がある場合は、SimSpace Weaver を使用してください。SimSpace Weaver は、群集のシミュレーションに秀でています。これは、例えば、大規模なイベントを計画している場合や、新しいスタジアムのようなインフラストラクチャを構築することを計画している場合に非常に役立ちます。また、車両、住民、その他のオブジェクトを含むスマートシティのシミュレーションにも理想的です。

AWS SimSpace Weaver では、外部クライアントをシミュレーションに接続して、複数のユーザーとリアルタイムでシミュレーションを操作したり、表示したりできます。

SimSpace Weaver の仕組み
SimSpace Weaver を利用することで、複数のインスタンスにわたって空間シミュレーションのワークロードを並列化できます。シミュレーションに必要なコンピューティングキャパシティと、シミュレーションをパーティションに分割する方法を指定することによって、シミュレーションを最大 10 個の EC2 インスタンスにスケールします。SimSpace Weaver は EC2 インスタンスのプロビジョニングを処理し、シミュレーションアプリケーションを起動し、シミュレーションの終了後に環境をクリーンアップします。

次の画像は、空間領域 (この場合は都市) がさまざまなインスタンスにわたってどのように空間的にパーティショニングされているかを表しています。各行はインスタンスを表します。この画像のサンプルシミュレーションには 10 個のインスタンスが含まれており、各インスタンスは 16 個のパーティションを処理します。

マップは異なるインスタンスにパーティショニングされています

マップの提供元: Amazon Location Service

複数のパーティションで作業する場合、パーティション間でのエンティティの転送の複雑さを心配する必要はありません。SimSpace Weaver のデータレプリケーションシステムは、パーティションが同じ EC2 インスタンスにあるか、または異なる EC2 インスタンスにあるかにかかわらず、転送を実行するためのネットワークとメモリの管理を処理します。

SimSpace Weaver が提供するもう 1 つの重要な機能はスケジューラーです。SimSpace Weaver スケジューラーは、設定されたシミュレーションチックレート (10 Hz、15 Hz、または 30 Hz) ですべての分散パーティションが同期されている状態を維持するため、シミュレーションは 1 台のマシンで実行されたかのように動作します。

SimSpace Weaver は、複数のインスタンスにわたるシミュレーションをまとめるためのインフラストラクチャを提供しますが、シミュレーターではありません。AWS SimSpace Weaver C++ SDK をコードと統合してシミュレーションを構築します。SDK との統合により、アプリケーションはインスタンスで実行されている SimSpace Weaver ソフトウェアと連携できるようになります。これにより、SimSpace Weaver はシミュレートされたすべてのエンティティのグローバルな状態を追跡し、シミュレーションアプリケーション間でのエンティティの転送を円滑にすることができます。Unreal Engine 5 または Unity を使用して構築するデベロッパーは、SimSpace Weaver のすぐに使用できるプラグインを活用して、プロジェクトを直ちに開始できます。

開始方法
AWS マネジメントコンソールまたは AWS コマンドラインインターフェイス (AWS CLI) から SimSpace Weaver の使用を開始できます。

開始方法

コンソールから、ワンクリックサンプルを使用して、最初のシミュレーションを迅速に開始できます。これは、4 つの異なるパーティションに分割したシミュレーションの簡単な例です。このシミュレーションでは、球状のエンティティが、他の球状のエンティティや静的なオブジェクトを避けながら、世界中を自由に動き回ります。

ワンクリックシミュレーション

ウィザードは、デモシミュレーションを実行するための主なステップのガイドを表示します。

  1. クライアントデモアプリケーションをダウンロードします。これは事前構築済みのアプリケーションで、後ほど、クラウドで実行されているシミュレーションを表示するときに使用します。このデモアプリケーションは、Windows オペレーティングシステムを搭載したコンピュータでのみ実行できます。
  2. シミュレーションインフラストラクチャをクラウドで起動します。SimSpace Weaver は、このシミュレーションを実行するために必要なすべてのインフラストラクチャをデプロイします。
  3. 最初のステップでダウンロードしたデモアプリケーションを使用してシミュレーションを表示します。次の画像は、このシミュレーションを実行した結果を示しています。各色は異なるパーティションを表します。

シミュレーションの結果

今すぐご利用いただけます
SimSpace Weaver を使用するデベロッパーは、シミュレーション期間中に使用するインスタンス数についての料金を支払います。前払い料金やライセンスはありません。

SimSpace Weaver は、米国東部 (オハイオ)、米国東部 (バージニア北部)、米国西部 (オレゴン)、アジアパシフィック (シンガポール)、アジアパシフィック (シドニー)、欧州 (アイルランド)、欧州 (フランクフルト)、および欧州 (ストックホルム) の AWS リージョンでご利用いただけます。

コンソールや AWS CLI から SimSpace Weaver の使用を今すぐ開始できます。SimSpace Weaver の詳細については、サービスページをご覧ください。

– Marcia

原文はこちらです。