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教育現場での課題を解決するオンライン授業用番組ライブラリーにおけるAWS活用
オンライン授業用番組ライブラリーを開発した背景
2020年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより教育現場のオンライン化が進み、従来であれば対面で授業を行っていた大学でもオンライン授業が行われるようになりました。教育機関では対面での授業であれば、動画コンテンツのような著作物を条件を満たしている場合に限り著作権者の許諾なくかつ無償で利用することが可能です。しかし、オンライン授業で著作物を利用する場合は有償利用となり、著作物の利用に際して手続きする必要があるという課題があります。
このような状況下で大学から相談を受けた株式会社NHKエンタープライズは、オンライン授業で利用する著作物の権利処理の手間をなくすため、日本放送協会(NHK)で放送した権利処理済の動画コンテンツを大学でのオンライン授業はもちろん、自習や予習にも利用できるソリューション「オンライン授業用番組ライブラリー」(以降 番組ライブラリー)を構築・提供しています。
AWS採用に至った経緯
NHKエンタープライズでは番組ライブラリーを構築するインフラ基盤として、オンプレミスやいくつかのパブリッククラウドを検討していましたが最終的にAWSを利用することになりました。AWSの採用にあたり重要視した点を、NHKエンタープライズ イノーベーション戦略室 執行役員 山元氏と、デジタルソリューションセンター センター長 小谷野氏に解説をして頂きました。「AWSを採用した理由として可用性・俊敏性という点が挙げられます。インフラ基盤の障害が原因でサービスが利用できない状況に陥ってしまうとオンライン授業の進行がストップしたり、自習や予習を行えず日々の勉学に影響が出てしまうので、1つ目の可用性という観点は非常に重要でした。また、番組ライブラリーの構想が固まり開発に着手したのが2020年12月でしたが、2021年4月からいくつかの大学で利用することが決まっており、システムを利用できる状態にしておく必要がありました。短期間でインフラ基盤を構築することができる2つ目の俊敏性という観点も非常に重要でした。」
番組ライブラリーのクラウド・アーキテクチャ
番組ライブラリーでは冗長性を向上させるために複数のアベイラビリティゾーンを利用する、Multi-AZ構成になっています。アベイラビリティゾーンとは、1 つの AWS リージョン内でそれぞれ切り離され、冗長的な電力源、ネットワーク、そして接続機能を備えている 1 つ以上のデータセンターのことです。webアプリケーションはAWS WAFをデプロイしたApplication Load Balancerの背後に設置されているAmazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)に構築されています。データベースにはMulti-AZ構成のAmazon Relational Database Service (Amazon RDS)とAmazon ElastiCacheが利用されており、1つのアベイラビリティゾーンが障害などで利用できなくなった場合でも、もう1つのアベイラビリティゾーンでサービス継続できるようになっています。
番組ライブラリーを構成するアーキテクチャの概要は以下の通りです。
番組ライブラリーの今後
番組ライブラリーでは2021年8月時点で4大学11万人の大学生・教員にご利用頂いております。
日々の勉学に番組ライブラリーを利用している学生からは「今まで自分が苦手な分野であったが、動画であれば没頭して学習することができた。」「授業中の1度だけでなく、授業外で何度も視聴できるのは非常によいと思った。」などポジティブな感想を得ることができました。
今後の展開について「授業のオンライン化における教育現場での様々な課題を解決するために、授業に活用できる動画コンテンツを大学や学生のニーズに沿ってさらに充実させるとともに、提携する大学を増やし、教育現場での映像資料の活用を促進していきたい。」とイノベーション戦略室 エグゼクティブ・プロデューサー 加藤氏は述べています。
まとめ
パンデミックにおける教育現場での課題を解決するため、様々なソリューションが開発されています。AWS上に学生や教員のみが権利処理済の動画を閲覧できる番組ライブラリーを構築したことにより、オンライン授業での著作物利用をスムーズに行うという課題を解決することができました。サービス利用者の課題を汲み取り、AWSのクラウドプラットフォームをご活用頂きスピード感を持ってアイデアを形にした事例となっております。本記事が、教育現場向けサービスの立ち上げなどを検討されているお客様へのヒントとなれば幸いです。
参考リンク
オンライン授業用番組ライブラリー(株式会社NHKエンタープライズ)
その他メディアワークロードについて以下サイトで紹介しております。ぜひご確認ください。
AWS Media & Entertainment Blog (日本語)
AWS Media & Entertainment Blog (英語)
AWSのメディアチームの問い合わせ先: awsmedia@amazon.co.jp
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本ブログは、SA鈴木、AM飯島が担当しました。