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AWS Marketplace への SaaS 出品をテストする

この記事は、Tresor Lisungu, Stuart Davies による Successfully testing your SaaS listing in AWS Marketplace の翻訳です

AWS Marketplace は、お客様がソリューションの構築やビジネスの遂行に必要なサードパーティのソフトウェア、データ、サービスを簡単に検索、テスト、購入、デプロイできるようにするための厳選されたデジタルカタログです。

AWS Marketplace を利用する販売者は、AWS Marketplace Operations Catalog (MCO) チームによって掲載の承認を受ける前に、SaaS 製品をどのようにテストすべきか必ずしも分かっていないことがあります。

この記事では、AWS Marketplace で SaaS 製品をテストする方法について紹介します。対象は、SaaS 契約、従量課金付きの SaaS 契約、SaaS サブスクリプション製品です。API 統合に AWS Marketplace Serverless SaaS Integration on AWS を使用するか独自の API 統合設定を使用するかに関わらず、エンドツーエンドの体験は似ているはずなので、いずれにせよ以降のセクションで説明する要件を満たす必要があります。

前提条件

このチュートリアルを実施するには、AWS Marketplace の販売者登録を完了している必要があります。もしまだの場合は、AWS Marketplace のブログ『7 Tips to Successfully Submit Your Product Listing in AWS Marketplace』をご覧ください。また、『AWS Marketplace で SaaS 契約ソリューションの出品を成功させるためのベストプラクティスガイド』もご覧ください。

この記事では、AWS Marketplace の SaaS 製品に必要な AWS Marketplace との API 統合については扱いません。

SaaS の出品要件

掲載リクエストを送信する際は、製品が以下の製品セットアップ、アーキテクチャ、および製品使用ガイドラインに準拠していることを確認してください。

  • 少なくとも 1 つのディメンションの料金が 0 ドルを超えていること。
  • すべてのディメンションが実際のソフトウェアに関連するもので、関連しない他の製品またはサービスが含まれていないこと
  • AWS GovCloud (米国) リージョンでのみ提供される SaaS 製品は、製品タイトルに GovCloud を含めること。
  • アプリケーションの一部が、出品者が所有する AWS アカウントでホストされていること。
  • すべてのアプリケーションコンポーネントが、出品者が管理するインフラストラクチャでホストされていること。
  • 製品が遵守しなければならないその他のガイドラインは、SaaS 製品ガイドラインに含まれています。

SaaS API 統合が完了したら

SaaS listing SNS Topics をサブスクライブした後、提出したメールアドレスでサブスクリプションを確認する必要があります。AWS Marketplace Serverless SaaS Integration on AWS を使用した場合、そのプロセスで新しい Amazon Simple Notification Service (SNS) トピックが作成されます。

メールで通知を受け取るには、新しく作成された SNS トピックのサブスクリプションを確認する必要があります。

  1. 統合が完了すると、サブスクリプションを確認するための通知メールが確認リンクとともに送られてくるはずです。
  2. 確認リンクを開いてサブスクリプションを承認します。通知メールが見つからない場合は、以下の手順で新しいサブスクリプション確認メールをリクエストすることができます。
    1. API 統合を完了するために使用した販売者アカウントを使用して、Amazon SNS コンソールにサインインします。左側のナビゲーションから Subscriptions を選択します。サブスクリプションのページで、Create subscription を選択します。
    2. 販売者 AWS アカウントに存在するトピックの一覧を表示するには、サブスクリプションの作成ページで Topic ARN フィールドを選択します。SaaS 製品用に作成したトピックを選択します。
    3. Protocol で Email を選択します。
    4. Endpoint には、Amazon SNS からの通知を受け取ることができるメールアドレスを入力します。
    5. Create subscription を選択すると、コンソールで新しいサブスクリプションの詳細ページが開きます。メールボックスを確認し、AWS Notifications からのメール内にある Confirm subscription を選択します。送信者 ID は、通常 no-reply@sns.amazonaws.com です。
    6. Amazon SNS が Web ブラウザを開き、サブスクリプション ID を含むサブスクリプションの確認を表示します。

顧客オンボーディング

AWS Marketplace MCO チームは、製品が顧客にとって高い水準の体験を提供するように、製品に関するテストを実施しています。ただし、出品を公開する際には、顧客を特定し登録とオンボーディングを完了させるための API 統合などを含む、顧客のエンドツーエンドのサブスクリプションフロー統合を完了させる必要があります。AWS Marketplace MCO チームは、以下のエクスペリエンスを確認することで、顧客オンボーディングテストを完了させます。

  1. AWS Marketplace 経由での製品の購入。
  2. 顧客オンボーディングまたは顧客登録確認メールといった顧客登録フローの完了。
  3. サブスクリプションの確認や、顧客が SaaS ソフトウェアにアクセスするための認証情報のプロビジョニングなど、掲載されている製品のエクスペリエンスにアクセスするための任意のステップの実施。製品がテナントベースで提供され、プロビジョニングに追加の時間がかかる場合、顧客登録確認メールで顧客にこのことを直接伝えます。
  4. AWS Marketplace の SaaS ガイドラインによる製品のレビューと評価。
  5. GetEntitlements および/または BatchMeterUsage API 呼び出しの成功確認。

エンタイトルメントの確認

AWS Marketplace Entitlement Service は、任意の製品に対する顧客のエンタイトルメントを判定します。エンタイトルメントは、顧客が所有する製品のキャパシティを表しています。

エンタイトルメントは、SaaS 契約と従量課金付き SaaS 契約のみに適用されます。エンタイトルメントを確認するには、以下を実行してください。

  1. エンタイトルメント関連のテストに正常に合格するために、Checking entitlements を使用して AWS Marketplace Entitlement Service を呼び出して、顧客のエンタイトルメントを確認します。
  2. これを受けて、AWS Marketplace MCO チームは、出品された SaaS 製品の製品コードを使用して販売者アカウントから AWS Marketplace Entitlement Service API を正常に呼び出したかどうかを検証します。

メータリングレコードの確認

メータリングの設定

メータリングを設定するには、BatchMeterUsage API を使用して AWS Marketplace Metering Services と連携する必要があります。BatchMeterUsage の使用例については、AWS Marketplace 販売者ガイドBatchMeterUsage のコードサンプルを参照してください。

従量課金付き SaaS 契約の場合、顧客の契約エンタイトルメントを超える使用量のみを計測します。AWS Marketplace に送信する各顧客の使用量は、出品を作成したときに定義したディメンションと関連付ける必要があります。顧客に使用量のきめ細かい可視性を提供するために、1 時間ごとに計測したレコードを送信することをお勧めします。

SaaS サブスクリプション製品およびサブスクリプション付き SaaS 契約は、メータリングチェックを完了する必要があります。メータリングチェックのために、計測したレコードを AWS Marketplace に提出します。その後、AWS Marketplace は、 SaaS ソフトウェアの使用量に基づくスムーズな顧客に対する請求を保証するために、メータリングレコードがお客様の販売者アカウントから送信されたことを確認します。

メータリングチェックの設定: AWS Marketplace Serverless SaaS Integration on AWS を使用している場合

AWS SaaS Quick Start を使用している場合、メータリングレコードを審査に提出するには、『SaaS Quick Start を使用したサブスクリプションの使用量の測定方法』で説明されている手順に従います。

メータリングチェックの設定: 独自の API 設定を使用している場合

AWS Marketplace Serverless SaaS Integration on AWS を使用していない場合は、独自で AWS Marketplace Metering Services にメータリングレコードを送信する必要があります。これを行うには、AWS Marketplace 販売者ガイドの BatchMeterUsage コードサンプルで説明されている次の手順に従います。これは、SaaS サブスクリプションと従量課金付き SaaS 契約の料金モデルに関連しています。

テスト用に AWS Marketplace Metering Services に送信するメータリングレコードを作成する際は、コードサンプルで次の主要なパラメータを適切な値に置き換えます。

  1. create_timestamp: 受理されたタイムスタンプ。
  2. customerIdentifier: 製品をサブスクライブしている実際の顧客の有効な値である必要があります。購入者が登録に成功した後、サブスクライバーデータベースから取得できます。
  3. dimension: 製品作成時に定義したディメンションの API キー。
  4. value or quantity: 請求のために AWS Marketplace Metering Service に送信する使用量。任意の整数である必要があります。

SaaS ガイドラインのチェック

AWS MCO チームは、出品が SaaS ガイドラインと AWS Marketplace のポリシーに従っているかを確認するために審査を行います。迅速に掲載を進めるには、SaaS ガイドラインを確認し、出品内容がガイドラインに適合していることを確認してください。

SaaS ソリューションがテナントベースの場合、テストのための環境のプロビジョニングに時間がかかることを AWS Marketplace MCO チームに連絡してください。MCO チームは、以下のことを確認します。

  1. 顧客に他のチャネルでの製品の購入を促していないこと。
  2. AWS Marketplace 外部で無料トライアルを提供していないこと。SaaS の無料トライアルの詳細は、『AWS Marketplace で SaaS 契約製品の無料トライアルオファーを作成する方法』をご覧ください。
  3. クレジットカードや銀行口座の情報を含む、SaaS 製品の顧客の支払い情報をいかなる場合も収集していないこと。

まとめ

この記事では、AWS Marketplace の MCO チームが AWS Marketplace への掲載を確認しテストする手順について解説しました。また、SaaS Quick Start または独自の API 統合を使用して、エンタイトルメントチェックとメータリングレコードチェックを実施する方法を説明しました。また、検証される SaaS ガイドラインのチェックも紹介しました。この記事で説明したステップに従うと、SaaS 製品は AWS Marketplace に正常に掲載されるようになります。

翻訳はパートナー SA の櫻谷が行いました。