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中小企業がどこからでもリモートワークで働けるようにする方法

(この記事はHow Small and Medium Businesses Can Enable Their Teams to Work Remotely from Virtually Anywhereを翻訳したものです)

リモートワークの柔軟性は、職場のダイナミクスを劇的に変化させています。Upwork が1,500人の採用担当マネージャーに対して実施した調査では、COVID-19 により、61.9% の企業がリモートワークの拡大を計画していることがわかりました。また、そのレポートでは、2025年までに3,620万人(アメリカ人の約 22%)がリモートで働くようになり、パンデミック前から 87% 増加すると予測しています。この重要なパラダイムチェンジに伴い、企業経営者はどのように人材を採用、維持、管理し、エンゲージメントしていくか見直す必要があります。そのすべてにおいてカギとなるのは、リモートでの生産性です。

業務にコンピュータを必要とする従業員に、大きな懸念事項が何か尋ねると、勤務時間中に発生したコンピュータの問題についての診断、トラブルシューティング、そして問題の解決方法についてだと言及する人が多いでしょう。その複雑さにもよりますが、問題の解決に数分から数時間かかることもあり、生産性とエンゲージメントに大きな影響を与えます。中小企業の経営者の多くは、このような問題への対処のために毎日どれだけの時間や、エネルギー、そしてお金が従業員または IT 部門において費やされているかを認識していません。残念なことに、勤勉な IT リーダーは、常に何百、何千台ものデスクトップコンピューターやノート PC を管理するという、差別化できない重労働に常に対処しなければなりません。社内に IT 部門がない中小企業では、フォーラムや掲示板に時間を費やしたり、他の同僚を巻き込んで問題を解決したりするのは面倒なことです。しかし、もっと簡単な方法があります。

Desktop As A Service とは何か、中小企業はどのように利用できるのか?

まず、仮想デスクトップインフラストラクチャ (VDI) については、すでにご存じかもしれません。このテクノロジーでは、個々のデスクトップやノート PC のオペレーティングシステムとソフトウェアを管理する代わりに、IT 部門はサーバールームで動作するそれらを管理します。ただし、VDI では、仮想デスクトップをユーザーに展開するのに平均4.8日、つまりほぼ1週間かかります。それはなぜでしょう?ハードウェアの調達と保守を含め、これらのサーバーのインフラストラクチャとソフトウェアについては、これまでと同様に IT 部門(または技術パートナー)が責任を負っているためです。このような遅れは、職場の生産性に影響を与える可能性があります。

Desktop As A Service (DaaS) は、この概念を大きく前進させたものです。DaaS ソリューションは基本的に、デスクトップオペレーティングシステムやインストールされているアプリケーションやドキュメントを含め、すべて AWS クラウドに保存および共有されます。IT 部門や技術パートナーは、1台から数百台のデスクトップを安全に、しかもほとんど手間をかけずにすばやく立ち上げることができます。リモートでの季節的な雇用や長期的な成長に合わせて会社規模を拡大する必要がある場合は、プロセスをより効率的にすることができます。つまりこれは、クラウド内の VDI なのです。たとえば、Amazon WorkSpacesAmazon AppStream 2.0 では、AWS のクラウドのパワーを活用して、リモートワーカーのデスクトップのデプロイや管理を簡単かつ低コストで行うことができます。さらに、このソリューションはセキュリティの向上にも役立ちます。

ある SMB のお客様は、COVID-19 の期間中、DaaS への移行で事業を拡張することに成功しました。MRS BPO は米国に拠点を置く金融サービス会社です。MRS は、わずか5日で Amazon WorkSpaces を9社のシステムに接続しました。ある大規模で複雑なクライアントでは、オンプレミスではVDIへの移行に2 か月かかっていたのに対し、AWSのDaaSの場合には1日半で導入が完了しました。そして、MRS は13日間で、コールセンターとファーストパーティビジネス全体で650人の従業員を AWS の DaaS に移行しました。さらに7~8日で、90% のスタッフ(物理的なコールセンターの従業員を含む)が AWS の DaaS を利用した在宅勤務をするようになりました。

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リモートワーカーがデスクトップをクラウドに移行するメリット

セキュリティ

セキュリティは中小企業にとって非常に重要であり、実際、AWS はセキュリティを最優先事項と考えています。AWSがクラウドで提供されるすべてのサービスを実行するインフラを保護し、お客様はクラウドに保存される実際のデータに対して責任を持つという、私たちの責任共有モデルをお客様は理解する必要があります。実際に、DaaS はセキュリティニーズへの対応に役立ちます。DaaS では実際のデータは物理デバイスには存在しないため、ノート PC を紛失したり盗まれたりしてもデータは紛失したパソコン内に存在しないので、セキュリティ対策に役立ちます。さらに、この集中化された戦略的なデザインにより、セキュリティパッチやアップデートを必要に応じて処理することが容易になります。

俊敏性

これまで説明してきたように、Amazon WorkSpaces または Amazon AppStream 2.0 を使用すると、個々のデスクトップのデプロイをわずか数分に短縮することができます。さらに、管理されたエクスペリエンスを提供し、多数の AWS パートナーソリューション と緊密に統合することが可能となります。また、AWS クラウドの巨大なグローバルフットプリントを活用できるため、世界中のどこにでもデスクトップを瞬時にデプロイできます。これらのメリットを組み合わせることで、重要な局面でも迅速かつ果敢に行動し、競合他社に差つけることができるようになるでしょう。

コスト

従来のネットワークや VDI では、企業は物理サーバーを調達、購入、管理する必要がありました。AWS クラウドの DaaS 向け従量課金制モデルを使用している場合は、そのようなことはありません。実際に使用した分だけを支払うので、ピーク時の需要を満たすためにリソースを過剰にプロビジョニングする必要がないというメリットもあります。Amazon WorkSpaces では、時間単位の課金または固定月額料金のいずれかを選択できます。以下は、AWS の DaaS ソリューションがどのようにお客様の賢い投資を支援するかを示す価格の例です。この例はアジアパシフィック (東京) リージョンを使用しており、他のリージョンでは価格が異なる場合がありますのでご注意ください。Amazon WorkSpacesAmazon AppStream 2.0 のその他の価格情報については、リンクをご参照ください。IT 部門または技術パートナーとも情報を共有して、確認するようにしてください。

Amazon WorkSpaces の料金例(2022年12月の料金例です)

  • 固定月額料金:
    • 月額固定料金で 100 台の Linux Amazon WorkSpaces (Standard 2 vCPU、4 GBメモリ)、80 GB ルートボリューム、10 GB ユーザーボリューム (10 GB) の料金は、WorkSpaces あたり 41 米ドル、合計で 4,100 米ドルの費用がかかります。ユーザーは WorkSpaces を無制限に使用できます。
    • Windows Amazon WorkSpaces(Value 1 vCPU、2 GBメモリ)、80 GB のルートボリューム、10 GB のユーザーボリューム(月額固定価格の場合)は、WorkSpaces あたり 34 米ドル、合計で 3,400 米ドルの費用がかかります。ユーザーは WorkSpaces を無制限に使用できます。
  • 時間課金:
    • 100 台の Linux Amazon WorkSpaces (Standard 2 vCPU、4 GBメモリ)、80 GB のルートボリューム、10 GB のユーザーボリューム (1 週間あたりの平均使用時間が 10 時間) の場合、1 か月あたり合計 2,440 米ドルの費用がかかります。
    • Amazon AppStream 2.0 (3 ユーザー、Windows stream.standard.small インスタンス) を月平均 32.5 時間利用すると、1 か月あたり 17.12 米ドルの費用がかかります。

次のステップへ

これらの大手有名企業は、すでにアマゾンの DaaS ソリューションを信頼、利用しており、ビジネスの俊敏性、コスト削減、安全性の向上を可能にしています。企業規模を問わず、特に中小企業では、日々の業務に多くのメリットを実感することができるでしょう。すでに AWS のアカウントチームとコンタクトされている場合は、アカウントマネージャまたはソリューションアーキテクトにご連絡いただき、お客様のビジネスと特定のユースケースに最適な DaaS オプションについてご相談ください。まだ AWS アカウントをお持ちでない場合は、こちらからお問い合わせください。スマートなビジネス作りのお手伝いをさせていただけることを楽しみにしています。

翻訳はソリューションアーキテクトの山﨑 博昭が担当しました。原文はこちらです。