Amazon Web Services ブログ

週刊生成AI with AWS – 2024/8/5週

みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの小林です。

7 月 22 日に発表した「AWSジャパン生成AI実用化推進プログラム」ですが、たくさんのお客様からお問い合わせを頂いています。AWSとしてはたくさんのお客様の生成AIに対するチャレンジを応援したいと考えていますので、これを機会にぜひご検討ください。申込みフォームまたはAWSのお客様担当者に直接お知らせ頂ければOKです。

それでは、8 月 5 日週の生成AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう。

さまざまなニュース

    • AWS生成AI国内事例ブログ: 株式会社オズビジョン様、BedrockとAuroraを活用しポイント対象広告の検索機能を実現
      株式会社オズビジョン様は、日本最大級のポイントモール「ハピタス」を運用しています。ハピタスでは、数あるポイント対象広告からサービスや商品を探す際の検索精度に課題があり、ユーザが求めていない検索結果が表示されることでコンバージョンレートの低下につながっていました。これを解決するために、Amazon BedrockとAmazon Auroraによるセマンティックサーチ機能を導入しました。検索対象をEmbeddingsモデルでベクトル化しAuroraに格納することで、検索キーワードに対してより類似度の高い結果を提示できるようになったとのことです。オズビジョン様のテックブログもぜひご覧ください。
    • AWS生成AI国内事例ブログ: 株式会社日本製鋼所様、樹脂機械向けの社内文書検索&要約システムを素早く開発
      株式会社日本製鋼所様は、樹脂機械の製造販売事業を展開しており、アフターサービスとして故障等が発生した部品のメンテナンスや交換サービスを行っています。2021年から消耗部品を在庫することで納期短縮を実現しましたが、それによってアフターサービス対応件数や問い合わせ業務負荷の増加という新たな課題が生まれました。これを受けて、業務負荷軽減のために製品情報検索の効率化と問い合わせ回答案の自動生成に取り組む事にしました。このシステムはAmazon BedrockとAmazon Kendraを主要コンポーネントととしており、マネージドサービスを活用することで3名の体制で2ヶ月の短期間で開発完了に至っています。今後は業務負荷軽減効果の測定を継続するとともに、検索対象とするドキュメントの拡大と他事業への展開を検討中とのことです。
    • ブログ記事「生成AI時代のメディカルコンテンツ作成」を公開
      ヘルスケア・ライフサイエンス業界は他業界とは異なる規制が適用されることがありますが、この分野でも生成AIの活用に注目が集まっています。このブログ記事では、大規模言語モデル(LLM)を活用した疾患啓発のためのマーケティングコンテンツの作成について解説しています。
    • ブログ記事「コンテキストウィンドウオーバーフローとその対策」を公開
      コンテキストウィンドウとは、生成AIモデルが与えられた時間当たりに処理できる情報量を決定する要素です。検索拡張生成(RAG)では大量の情報を処理する必要が生まれることがあり、モデルが許容できるコンテキストウィンドウに情報量が収まらず、これによって正確で一貫性のある応答を生成できなくなることがあります。この記事ではこういったリスクに対応し、生成AIアプリケーションの安全性を高める方法を説明しています。

サービスアップデート

    • 東京リージョンを含む複数のリージョンのAmazon BedrockでClaude 3.5 SonnetとClaude 3 Haikuが利用可能に
      東京リージョンのAmazon BedrockでAnthropic Claude 3.5 Sonnetと、Claude 3 Haikuをご利用頂けるようになりました。Claude 3.5 Sonnetはオレゴン・フランクフルト・シンガポールのリージョンでも、Claude 3 Haikuはシンガポールリージョンにも対応しています。
    • Amazon BedrockでAmazon Titan Image Generator v2が利用可能に
      Amazon Titan Image Generator v2がBedrockで利用できるようになりました。このモデルは画像調整や背景の除去などの機能を提供する新しい画像生成モデルです。画像調整機能を利用すると、写真のなかの人物はそのままに、背景だけを差し替えるといった作業を容易に実行できます。ブログ記事もぜひご覧ください。AWSのChief EvangelistのJeff BarrもXでモデルを使ってみた例をポストしています。現時点ではバージニアとオレゴンのリージョンでご利用頂けます。
    • Amazon Redshift MLでAmazon SageMaker JumpStartで起動した大規模言語モデルをシームレスに呼び出し可能に
      Amazon Redshift MLは、SQLを利用して機械学習モデルの作成やデプロイが可能な機能です。今回、Amazon SageMaker JumpStartで起動したトレーニング済みの大規模言語モデル(LLM)を簡単に呼び出せるようになりました。これによってRedshiftに格納されたデータに対する要約や、エンティティ抽出をSQLでシームレスに実行できるようになり、DWHに生成AIのテクノロジーを適用することが容易になりました。
    • Amazon CloudWatch Application SignalsがAmazon Bedrockをサポート
      あらかじめ設定したサービスレベル目標(SLO)に基づいてアプリケーションの自動計測や運用を容易にするサービスがAmazon CloudWatch Application Signalsです。今回のアップデートで、Amazon Bedrockがサポートされ、Bedrockで動作する基盤モデルを組み込んだ生成AIアプリケーションについても総合的なアプリケーションモニタリングが可能になりました。
    • Amazon Aurora PostgreSQLでpg vector 0.7.0をサポート
      PostgreSQL互換のAmazon Auroraでpgvector 0.7.0をご利用頂けるようになりました。pgvectorを利用すると、Aurora PostgreSQLを生成AIアプリケーションで頻繁に利用されるベクトル検索が可能になります。pgvector 0.7.0はPostgreSQL 16.3, 15.7, 14.12, 13.15, 12.19以上のバージョンでご利用頂けます。

著者について

Masato Kobayashi

小林 正人(Masato Kobayashi)

2013年からAWS Japanのソリューションアーキテクト(SA)として、お客様のクラウド活用を技術的な側面・ビジネス的な側面の双方から支援してきました。2024年からは特定のお客様を担当するチームを離れ、技術領域やサービスを担当するスペシャリストSAチームをリードする役割に変わりました。好きな温泉の泉質は、酸性-カルシウム-硫酸塩泉です。