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MySQL 5.7 および PostgreSQL 1.1 データベースが Amazon RDS 延長サポートに自動登録されます
12月21日、Amazon Aurora および Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) で実行されている MySQL 5.7 と PostgreSQL 11 のデータベースインスタンスが、2024 年 2 月 29 日から Amazon RDS 延長サポートに自動登録されることが発表されました。
このサポートは、新しいメジャーバージョンへの自動アップグレードによって発生する可能性のある予定外のダウンタイムや互換性問題の回避に役立ちます。また、データベースのメジャーバージョンにアップグレードするタイミングをよりよく制御できるようにもなります。
RDS 延長サポートの開始時には、この自動登録によって料金請求額が割高になる可能性があります。これは、RDS 延長サポートの開始前にデータベースを新しい DB バージョンにアップグレードすることで回避できます。
Amazon RDS 延長サポートとは?
2023 年 9 月、Amazon RDS 延長サポートが発表されました。このサポートでは、追加料金を支払うことによって、RDS 標準サポート終了日を過ぎてからも、メジャーエンジンバージョンを使用するデータベースを Amazon Aurora または Amazon RDS で引き続き実行することができます。
コミュニティサポート終了 (EOL) までは、MySQL と PostgreSQL のオープンソースコミュニティがそれぞれのエンジンの CVE (Common Vulnerabilities and Exposures: 共通脆弱性識別子)、パッチ生成、およびバグ修正を管理します。コミュニティは、データベースのメジャーバージョンがコミュニティサポート終了になるまで、これらのセキュリティパッチとバグ修正が含まれた新しいマイナーバージョンを四半期ごとにリリースします。コミュニティサポート終了日が過ぎると、CVE パッチやバグ修正が利用できなくなり、コミュニティはこれらのエンジンをサポート対象外と見なします。例えば、MySQL 5.7 と PostgreSQL 11 は、それぞれ 2023 年 10 月および 11 月の時点でコミュニティのサポート対象外になっています。コミュニティには、これらのメジャーバージョンの継続的なサポートと、最新メジャーバージョンへの移行に対する透過的なプロセスとタイムラインについて、大変感謝しています。
RDS 延長サポートでは、メジャーバージョンのコミュニティ EOL 以降の最大 3 年間、Amazon Aurora と RDS が重要な CVE パッチとバグ修正のエンジニアリングを引き受けます。この 3 年間は、Amazon Aurora と RDS がエンジン内の CVE とバグを特定し、パッチを生成して、可能な限り早急にリリースするように努めます。RDS 延長サポートでは、オープンソースコミュニティがエンジンのメジャーバージョンのサポートを終了しても、アプリケーションが重大なセキュリティ脆弱性や未解決のバグにさらされることがないように、AWS がサポートの提供を継続します。
AWS が RDS 延長サポートを RDS サービスの一環として提供するのではなく、料金を請求するのはなぜかと思うかもしれません。それは、コミュニティ EOL エンジンのセキュリティと機能を維持するためのエンジニアリング作業では、AWS が重要な CVE パッチとバグ修正に開発者リソースを投じる必要があるからです。このため、RDS 延長サポートは、コミュニティ EOL 日を過ぎたバージョンを利用し続ける追加の柔軟性が必要なお客様のみに料金を請求します。
特定のプラグインやカスタム機能との互換性など、特定の MySQL または PostgreSQL メジャーバージョンに対する依存関係があるときは、アプリケーションのビジネス要件を満たすうえで RDS 延長サポートが役に立つ場合があります。オンプレミスデータベースサーバー、またはセルフマネージド Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスを現在実行しているという場合は、コミュニティ EOL 日以降に Amazon Aurora MySQL-Compatible Edition、Amazon Aurora PostgreSQL-Compatible Edition、Amazon RDS for MySQL、Amazon RDS for PostgreSQL に移行して、マネージドサービスのメリットを活かしながら、RDS 延長サポートでこれらのバージョンを引き続き使用することができます。多数のデータベースを移行する必要がある場合でも、RDS 延長サポートを利用して移行を複数のフェーズに分割することで、IT リソースに負担をかけすぎないスムーズな移行を確保できます。
RDS 延長サポートは、2024 年に RDS for MySQL メジャーバージョン 5.7 以降、RDS for PostgreSQL メジャーバージョン 11 以降、Aurora MySQL 互換バージョン 2 以上、および Aurora PostgreSQL 互換バージョン 11 以降で利用可能になります。将来サポートされるすべてのバージョンのリストについては、AWS ドキュメントで「Amazon RDS でサポートされている MySQL のメジャーバージョン」と「Amazon Aurora メジャーバージョン」を参照してください。
コミュニティメジャーバージョン | RDS/Aurora バージョン | コミュニティ EOL 日 | RDS 標準サポートの終了日 | RDS 延長サポート料金の開始日 | RDS 延長サポートの終了日 |
MySQL 5.7 | RDS for MySQL 5.7 | 2023 年 10 月 | 2024 年 2 月 29 日 | 2024 年 3 月 1 日 | 2027 年 2 月 28 日 |
Aurora MySQL 2 | 2024 年 10 月 31 日 | 2024 年 12 月 1 日 | |||
PostgreSQL 11 | RDS for PostgreSQL 11 | 2023 年 11 月 | 2024 年 3 月 31 日 | 2024 年 4 月 1 日 | 2027 年 3 月 31 日 |
Aurora PostgreSQL 11 | 2024 年 2 月 29 日 |
RDS 延長サポートの料金は、1 時間あたりの vCPU 単位で設定されています。RDS 延長サポートの料金の詳細とタイムラインについては、Amazon Aurora の料金、RDS for MySQL の料金、および RDS for PostgreSQL の料金を参照してください。詳細については、AWS データベースブログで MySQL および PostgreSQL データベースの Amazon RDS 延長サポートに関するブログ記事を参照してください。
すべてのデータベースが Amazon RDS 延長サポートに自動登録される理由
AWS は当初、RDS 延長サポートが 2023 年 12 月にオプトイン API とコンソール機能を提供すると発表していました。その発表では、データベースの RDS 延長サポートへの登録にオプトインしない場合は、2024 年 3 月 1 日から新しいエンジンバージョンに自動アップグレードされるとお伝えしました。例えば、Aurora MySQL 2 または RDS for MySQL 5.7 は Aurora MySQL 3 または RDS for MySQL 8.0 に、Aurora PostgreSQL 11 または RDS for PostgreSQL 11 は Aurora PostgreSQL 15 または RDS for PostgreSQL 15 にアップグレードされるという具合です。
しかし、このような自動アップグレードが、コミュニティ DB エンジンのメジャーバージョン間でアプリケーションに破壊的変更やその他予想外の動作を発生させる可能性があるという多数のフィードバックがお客様から寄せられました。例えば、アプリケーションが MySQL 8.0 または PostgreSQL 15 にまだ対応できない場合、予定外のメジャーバージョンアップグレードは互換性問題やダウンタイムを引き起こす可能性があります。
RDS 延長サポートへの自動登録により、データベースアップグレードの編成、計画、およびテストを行う時間が増え、それらを自分のタイムラインに合わせて細かく制御できるようになるので、引き続き AWS から重要なセキュリティとバグ修正を受け取りながら、新しいメジャーバージョンに移行するタイミングにおける柔軟性が得られます。
RDS 延長サポートへの自動登録によるコスト増加に関する懸念がある場合は、RDS 標準サポートが終了する前にアップグレードすることで、RDS 延長サポートと関連する料金を回避できます。
データベースをアップグレードして RDS 延長サポート料金を回避する方法
RDS 延長サポートは、自分のタイムラインに合わせてアップグレードをスケジュールするために役立ちますが、古いバージョンを無限に使い続けると、データベースワークロードに対して最高のコストパフォーマンスを実現する機会を逃すだけでなく、RDS 延長サポートで追加料金が発生することにもなります。
Aurora MySQL 3 としても知られる MySQL 8.0 on Aurora MySQL は、Global Database、Amazon RDS Proxy、Performance Insights、Parallel Query、および Serverless v2 デプロイなどの人気のある Aurora 機能のサポートを可能にします。RDS for MySQL 8.0 にアップグレードすることで、マルチ AZ クラスター配置、Optimized Reads、Optimized Writes、および AWS Graviton2 と Graviton3 ベースのインスタンスなどの機能が提供され、MySQL 5.7 と比べて最大 3 倍高いパフォーマンスが実現します。
PostgreSQL 15 on Aurora PostgreSQL は、Aurora I/O 最適化設定、Aurora Serverless v2、Babelfish for Aurora PostgreSQL、pgvector 拡張機能、Trusted Language Extensions for PostgreSQL (TLE)、および AWS Graviton3 ベースのインスタンスに加えて、コミュニティ拡張機能もサポートします。RDS for PostgreSQL 15 にアップグレードすることで、マルチ AZ DB クラスター配置、RDS Optimized Reads、HypoPG 拡張機能、pgvector 拡張機能、TLEs for PostgreSQL、および AWS Graviton3 ベースのインスタンスが提供されます。
メジャーバージョンアップグレードでは、既存のアプリケーションとの下位互換性がないデータベース変更が行われる可能性があります。メジャーバージョンにアップグレードするには、データベースインスタンスを手動で変更する必要があります。メジャーバージョンアップグレードは、本番インスタンスに適用する前に非本番インスタンスで十分にテストを行って、アプリケーションとの互換性を確認することを強くお勧めします。MySQL 5.7 から 8.0 へのインプレースアップグレードの詳細については、これら 2 つのバージョン間における非互換性と、AWS ドキュメントの「メジャーバージョンの Aurora MySQL インプレースアップグレード」および「RDS for MySQL のアップグレード」を参照してください。PostgreSQL 11 から 15 へのインプレースアップグレードには、pg_upgrade メソッドを使用できます。
アップグレード中のダウンタイムを最小限に抑えるため、Amazon Aurora と Amazon RDS でのフルマネージド型ブルー/グリーンデプロイの使用をお勧めします。ほんの数ステップで、Amazon RDS のブルー/グリーンデプロイを使用して、本番環境を反映する、個別の同期化されたフルマネージドステージング環境を作成できます。これには、本番データベースの下位バージョンの上位バージョンレプリカで並列グリーン環境を起動することが含まれます。グリーン環境を検証したら、トラフィックをその環境にシフトすることができます。その後、ブルー環境を廃棄することができます。詳細については、AWS ドキュメントで Aurora MySQL と Aurora PostgreSQL のブルー/グリーンデプロイ、または RDS for MySQL と RDS for PostgreSQL のブルー/グリーンデプロイを参照してください。多くの場合、ブルー/グリーンデプロイはダウンタイムを短縮するための最適なオプションです (Amazon Aurora または Amazon RDS における限定的な状況を除く)。
各 DB エンジンでのメジャーバージョンアップグレードの実行に関する詳細については、AWS ドキュメントで以下のガイドを参照してください。
- Amazon RDS 用 MySQL DB エンジンのアップグレード
- Amazon RDS 用 PostgreSQL DB エンジンのアップグレード
- Amazon Aurora MySQL DB クラスターのアップグレード
- Amazon Aurora PostgreSQL DB クラスターのアップグレード
今すぐご利用いただけます
Amazon RDS 延長サポートは、2024 年の標準サポート終了日以降、AWS GovCloud (米国) リージョンを含めた AWS リージョンで、MySQL 5.7 および PostgreSQL 11 以降のメジャーバージョンを使用して Amazon Aurora および Amazon RDS インスタンスを実行しているすべてのお客様にご利用いただけます。RDS 延長サポートにオプトインする必要はなく、データベースをアップグレードする柔軟性を得るとともに、最大 3 年間の継続的なサポートを受けることができます。
RDS 延長サポートの詳細については、「Amazon Aurora ユーザーガイド」と「Amazon RDS ユーザーガイド」を参照してください。RDS 延長サポートの料金の詳細とタイムラインについては、「Amazon Aurora の料金」、「RDS for MySQL の料金」、および「RDS for PostgreSQL の料金」を参照してください。
フィードバックは、Amazon RDS と Amazon Aurora の AWS re:Post、または通常の AWS サポート連絡先を通じてお送りください。
– Channy
原文はこちらです。