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Nutanix Cloud Clusters (NC2) on AWS を利用した VMware から AWS への移行の加速

本稿は、AWS で North America ISV Partner Solutions Architect を務める Miles Scott および Cleavon Roberts が 2024 年 9 月 26 日に公開した「Accelerate VMware Migrations to AWS with Nutanix NC2」を翻訳したものです。

Nutanix
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Amazon Web Services (AWS) では、クラウドジャーニーの状況に合わせてお客様を支援することを最優先事項としています。既存の VMware ベースのワークロードを AWS 上にリホストしたい場合でも、フルマネージドの AWS サービスにリプラットフォームしたい場合でも、最新のクラウドサービスを使用してアプリケーションを完全に再設計したい場合でも、私たちがサポートいたします。

Nutanix Cloud Clusters (NC2) on AWS を使用すると、Nutanix Acropolis Hypervisor (AHV) 上の仮想化ワークロードを AWS インフラストラクチャ上で直接実行できます。このソリューションは、オンプレミスのデータセンターと AWS で同じ Nutanix テクノロジーとサービスを提供することで、ハイブリッドクラウドへのシームレスな移行パスを実現します。

本稿では、Nutanix Cloud Clusters (NC2) on AWS について詳しく説明し、シームレスなハイブリッドクラウド体験のために Nutanix スタックを AWS 上でネイティブに実行する方法を解説します。また、AWS サービスと Nutanix ツールを活用した NC2 アーキテクチャの概要を説明し、移行やディザスタリカバリなどのユースケース、迅速な展開、統合管理、コスト最適化などの NC2 の利点についても解説いたします。詳細には、サポートされる AWS のインスタンス、ライセンス、自動化された移行、ディザスタリカバリ機能、VMware ワークロードのための Migration Acceleration Program リソースが含まれます。

NC2 on AWS のユースケース

NC2 on AWS は、AWS へのワークロード移行を加速し、オンプレミスのアプリケーションをより迅速に AWS に移行するのに役立ちます。NC2 は、アプリケーションの大規模なリファクタリングやコード変更を必要とせずに、オンプレミスのワークロードを AWS に拡張することで、ハイブリッドクラウドの簡素化を実現します。NC2 on AWS は、以下のように主要ユースケースに最適です:

  • ハイブリッドクラウド: 単一の管理画面を利用して、オンプレミスのデータセンターと NC2 on AWS 環境の仮想マシン (VM) ワークロードを運用・管理できます。
  • AWS によるアプリケーションの移行とモダナイゼーション: アプリケーションのリファクタリングやリライトを行うことなく、仮想化されたワークロードを移行することで AWS への移行を加速できます。オンプレミスのワークロードを迅速に AWS の仮想化環境に移行し、AWS サービスとの直接統合によりアプリケーションをモダナイズできます。
  • AWS へのディザスタリカバリ: データレプリケーションのために NC2 on AWS を構成し、災害発生時にビジネスクリティカルなワークロードを迅速に復旧できます。AWS のグローバルプレゼンスと弾力性を活用して Elastic DR 構成を実現し、パイロットライトクラスターをオンデマンドで拡張することで DR コストを節約できます。
  • キャパシティバースト: インフラストラクチャの購入、ラックへの設置、ハードウェアを運用するまでに数週間から数か月待つ代わりに、必要な時に NC2 キャパシティを消費し、不要になったら返却することができます。

詳細については、NC2 のユースケースをご覧ください。

NC2 アーキテクチャ

AWS 上の NC2 のアーキテクチャ図

ネイティブ AWS サービスとのハイブリッドクラウド統合を示す Nutanix Cloud Clusters (NC2) アーキテクチャ図

NC2 は Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) ベアメタルインスタンス上で直接実行され、プライマリストレージとして EC2 インスタンスストアを活用し、必要に応じて追加のストレージ容量として Amazon Elastic Block Storage (Amazon EBS) を利用します。Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC) ベースのネットワーキングとの組み込み統合により、Nutanix からクラウドネイティブサービスを直接利用することができます。

NC2 は、Nutanix Flow Network Security などの高度な Nutanix テクノロジーを活用し、またお客様がデータベース管理に Nutanix Database Service を使用することも可能です。これにより、プライベートクラウドと AWS の両方で同じ Nutanix ツールを使用した一貫したオペレーションモデルが提供されます。

NC2 on AWS は、ハイブリッドクラウドへのシームレスなパスを提供します。完全な Nutanix スタックを AWS 上でネイティブに実行することで、ハイブリッドクラウドのためのワンクリックで操作できる簡便さ、統合管理、クラウドネイティブ統合を実現します。

NC2 on AWS の利点

NC2 on AWS は、企業にオンプレミスの Nutanix 環境と AWS の拡張性およびサービスを橋渡しする、シームレスなハイブリッドクラウド体験を提供します。

NC2 ソリューションの主な利点は以下の通りです:

  • クラスター管理:
    • プライベートリソースと AWS リソースを管理する単一の管理コンソール
    • 一時的な需要増加に対応するための AWS へのバースト
    • 高可用性とディザスタリカバリのための AWS の利用
    • デプロイと管理が簡単
  • アプリケーションの移行容易性:
    • ツールの再構築やリファクタリングなしに迅速にアプリケーションのリフト&シフトが可能
    • オンプレミスと AWS で一貫したパフォーマンス
  • コスト管理:
    • 柔軟なサブスクリプションオプション
    • 実際の使用量に基づいた支払い
    • AWS Marketplace を通じた Nutanix ライセンスの購入
    • 既存のプライベートプライシング契約とエンタープライズディスカウントの活用
    • NC2 に既存の Nutanix ライセンスを流用可能

NC2 on AWS の追加の利点

  • NC2 は、VMware Cloud on AWS と NC2 on AWS 間でレイヤー 2 ネットワーク拡張をサポートしています。NC2 と Nutanix Move を使用すると、IP アドレスやアプリケーション構成を変更する必要なく、ワークロードを NC2 に移行できます。
  • Nutanix Move を使用して、NC2 と EC2 インスタンス間で(双方向に)VM を迅速に移動できます。
  • NC2 は Nutanix スタックを AWS 上でネイティブに実行するため、オンプレミスとクラウドの両方で同じ慣れ親しんだツール、スキルセット、プロセスを使用できます。
  • NC2 は AWS を DR ターゲットとしてすぐに利用可能にし、Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) をコスト最適化されたストレージとして活用することで、ディザスタリカバリおよびバックアップ機能を向上しています。

サポートされる AWS インスタンス

NC2 on AWS は、様々な AWS リージョンで 7 種類の Amazon EC2 ベアメタルインスタンスをサポートしています。このインスタンスオプションの選択肢により、コストとパフォーマンスのバランスを取りながらクラスターのサイズを適切に調整する柔軟性が得られます。GPU 対応インスタンスや異種混合クラスターをサポートしているため、お客様はパフォーマンス要件を満たすために適切なインスタンスを組み合わせることができます。

以下の表は、Nutanix がサポートする Amazon EC2 ベアメタルインスタンスタイプを示しています。

Amazon EC2 ベアメタルインスタンスの詳細

EC2 インスタンスタイプのサポート状況を示す表

NC2 on AWS がサポートする Amazon EC2 インスタンス

また、NC2 は以下の AWS テナンシーモデルをサポートしています:

  • Default: これはデフォルトの EC2 テナンシーオプションで、Amazon EC2 ベアメタルインスタンスは、インスタンスの電源停止/起動操作中に異なるホストに移動する可能性があります。
  • Dedicated Host: 専用の物理ホスト上で実行される Amazon EC2 ベアメタルインスタンスは、インスタンスの電源停止/起動を行っても、別の物理ホストに移動しません。

デフォルトのテナンシーオプションを使用する場合、オプションで Microsoft Windows Server ライセンス込み (LI) インスタンスを AWS から直接デプロイおよび管理できます。Amazon EC2 Dedicated Hosts を使用すると、既存のソケットごと、コアごと、または VM ごとのソフトウェアライセンスを活用することで、既存の投資を生かし、サードパーティ製品のライセンス費用を節約できます。

NC2 on AWS への移行パス

企業が AWS の NC2 に移行する際には、いくつかの異なるパスがあります:

  • Nutanix Acropolis Hypervisor (AHV) から NC2 へ
    オンプレミスで Nutanix AHV ハイパーバイザーを実行しているお客様は、VM を直接 NC2 on AWS に移行できます。Nutanix のネイティブの レプリケーション機能により、オンプレミスの AHV から NC2 on AWS への VM のレプリケーションを簡単に行うことができます。
  • オンプレミスの ESXi から NC2 へ
    オンプレミスで ESXi ハイパーバイザーを実行しているお客様も、Nutanix Move アプリケーションモビリティツールを使用して NC2 に移行できます。Move は VM を直接 AHV 形式に変換し、NC2 on AWS にレプリケートできます。これにより、オンプレミスの ESXi 環境からの簡単な移行が可能になります。
  • VMware Cloud on AWS から NC2 へ
    現在 VMware Cloud on AWS (VMC-A) を使用しているお客様は、Nutanix Move を使用して VMC-A から NC2 on AWS に VM を移行できます。
  • Microsoft ネイティブテクノロジーから NC2 on AWS へ
    Nutanix Move は、Hyper-V と Microsoft Azure Cloud の両方を移行元としてサポートしています。これにより、複数の移行元から NC2 on AWS クラスターにワークロードを統合することができます。

Nutanix Move

多くのお客様にとって、VM の自動変換と移行の自動化は、AWS へのワークロード移行をはるかに簡単にする重要な機能です。

Nutanix Move は、追加コストなしで提供されるツールで、ESXi から AHV 形式への VM のシームレスな変換と、同時に NC2 on AWS へのインスタンスデータの移行を行います。これにより、手動の VM 変換を必要とせずに、既存の仮想化インフラストラクチャから AWS への「リフト&シフト」移行が可能になります。Move はエンドツーエンドの全ワークフローを調整し、移行の各側面を調整します。

Nutanix Move は、クラウド採用の大きな障壁を回避し、ハイブリッドクラウドへの道筋をシームレスにします。AWS Migration Acceleration Program (MAP) は、VMware ワークロードを NC2 on AWS に移行するための規範的なガイダンス、ツール、ファンドを提供いたします。

ディザスタリカバリ

NCNitro Complete Compute (NC2) の様々な DR オプションを示す図

NC2 on AWS のディザスタリカバリオプション

NC2 は非同期、NearSync、同期レプリケーションをサポートしています。また、新しくリリースされた Nutanix Multi Cloud Snapshot (MST) 機能により、スナップショットを Amazon S3 にオフロードできるようになりました。MST は、プライマリストレージにスナップショットを保存する必要がなくなるため、長期的なストレージコストを削減できるだけでなく、新しい災害復旧方法も実現できます。これには、アプリケーションの重要度に合わせて DR 計画を立てたいオンプレミスのワークロードも含まれます。

MST、保護ポリシー、リカバリプランを使用して複数の Nutanix クラスター間でアプリケーションを保護したい場合は、Prism Central で Nutanix Disaster Recovery をセットアップできます。Nutanix Disaster Recovery を使用すると、適切な順序でアプリケーションを復旧するために DR ワークフローをステージングできます。また、保護ポリシーを使用して、イベント終了後に本番環境に戻すこともできます。Nutanix Disaster Recovery の機能の詳細については、Nutanix Disaster Recovery ガイドを参照してください。

まとめ

NC2 on AWS は、AWS の拡張性とサービスを活用したい VMware ユーザーに、ハイブリッドクラウドへのシームレスな移行パスを提供します。NC2 アーキテクチャは、AWS インフラストラクチャ上で Nutanix Acropolis Hypervisor をネイティブに実行し、オンプレミスと AWS 間で一貫した Nutanix テクノロジーと運用を提供します。

主なメリットには、管理の簡素化、ネットワーキング/セキュリティの統合、データ保護の統合、そして総所有コスト (TCO) の削減が含まれます。Nutanix Move を使えば、ESXi、Hyper-V、その他のクラウドプロバイダーから NC2 on AWS への自動化された移行を可能にします。NC2 への移行は、リプラットフォームの必要性を軽減しつつ、ハイブリッドクラウドのモダナイゼーションが可能になります。

NC2 on AWS がどのようにハイブリッドクラウドへの移行を加速できるかについて詳しく知るには、現在お取り引きのあるシステムインテグレーションパートナーに連絡するか、お問い合わせフォームに入力して、AWS と Nutanix のアカウントチームに連絡してください。今日からクラウドジャーニーの次のステップを踏み出しましょう!

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翻訳はパートナーソリューションアーキテクト 豊田が担当しました。原文はこちらです。

Masayuki Toyoda

Masayuki Toyoda

Senior Partner Solutions Architect, Amazon Web Services Japan G.K.