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富士通と AWS によるメインフレームのモダナイゼーションへの取り組み

本記事は、富士通株式会社 (以下、富士通) シニアディレクター 佐々木 祐介氏とアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 パートナーソリューションアーキテクト 茎沢 信による共著です。

Fujitsu Limited
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Premier Tier Services Path Partner

メインフレームは企業の基幹システムとして長年活用されてきましたが、近年では老朽化や運用コストの増大、熟練技術者の減少などの課題が顕在化しています。一方でクラウドの普及に伴い、システムのモダナイゼーションへの関心が高まっており、メインフレームシステムのモダナイゼーションは、レガシーシステムの課題を解決し、クラウドの利点を活かすための重要な取り組みとなっています。

この記事では、メインフレームのモダナイゼーションにおける課題に対して、AWS Mainframe Modernization およびパートナーソリューションでどのように解決できるのかを説明いたします。

AWS Mainframe Modernization について

AWS Mainframe Modernization は、お客様のメインフレームシステムを迅速かつ効率よくクラウド移行しモダナイゼーションを支援する AWS のサービスです。このサービスは、老朽化したメインフレームシステムのリファクタリングやリプラットフォームを容易にし、クラウド上での実行を可能にします。主な特徴として、COBOL アプリケーションの Java アプリケーションへのコード自動変換、メインフレームのアプリケーションが稼働するランタイム環境の提供、開発者ツールの提供などが挙げられます。これらの機能により、メインフレームシステムのモダナイゼーションをスムーズに進めることができます。

図 1. AWS Mainframe Modernization 概要

AWS Blu Age によるモダナイゼーション

AWS Mainframe Modernization の AWS Blu Age は、メインフレームアプリケーションのリファクタリングを支援するエンドツーエンドのソリューションを提供します。AWS Blu Age は、COBOL アプリケーションのコードを分析し Java アプリケーションに自動変換することで、クラウド上での実行を可能にします。変換された Java アプリケーションは、AWS 上で実行されるため、メインフレーム環境に依存することなく、スケーラビリティ、可用性、セキュリティなどのクラウドの利点を享受することできます。また、 AWS Blu Age は既存のビジネスロジックを維持しながらモダナイゼーションを進めることができるため、リスクを最小限に抑えることが可能です。

図 2. AWS Blu Age によるリファクタリング

メインフレームモダナイゼーションの進め方とパートナーの役割

将来の予測の不確実性が高まる中、企業が競争力の向上や持続可能な経営を実現するために、基幹システムをクラウド化し、俊敏性 (アジリティ) や強靱性 (レジリエンシー) を備えた経営環境に移行するモダナイゼーションの重要性やニーズがグローバルに高まっています。しかし、レガシーシステムのモダナイゼーションは、大規模で複雑な既存システムの理解と解析、データフォーマットの変更と整合性を確保しながら、既存の業務プロセスへの支障や新システムへの移行に伴うリスクを最小限に抑える必要があり、メインフレームとクラウドの両方の豊富な知見と経験を持つ専門チームによるサポートが不可欠です。

富士通は、メインフレームの長年の実績と経験に加え、AWS のクラウドサービスにも精通し、移行コンピテンシーを保有する AWS プレミアティアサービスパートナーです。富士通は、お客様のメインフレームモダナイゼーションの取り組みを支援する専門的なサービスを提供しています。

富士通のメインフレームモダナイゼーションの取り組み

富士通と AWS の取り組みである「Modernization Acceleration Joint Initiative」(モダナイゼーション・アクセラレーション・ジョイント・イニシアティブ) では、富士通の様々な業種における、生産管理、販売物流などのミッションクリティカルシステム構築で培ってきたシステムインテグレーションの技術や知見と、お客様によるクラウドテクノロジーのビジネス活用を支援する AWS プロフェッショナルサービスの経験を融合し、「AWS Mainframe Modernization」などの AWS クラウドサービスを活用しながら、お客様のイノベーションをより迅速かつ安全に支援します。

富士通は、モダナイゼーション後も、お客様がビジネスに注力できるように「Fujitsu Uvance」の「Hybrid IT」における、クラウドの運用最適化を支援する「Fujitsu Cloud Managed Service」によりサポートを行います。

富士通と AWS は、まず富士通製メインフレーム「GS21シリーズ」を利用されているお客様を対象とし、順次「GS21シリーズ」以外の他社製メインフレームや富士通製 UNIX サーバを利用されているお客様へ対象を広げ、お客様のモダナイゼーションを支援します。さらに将来的には AI などを活用し、標準化を推進してコストダウンや俊敏性、強靭性、イノベーションの実現を図り、次なる DX (デジタルトランスフォーメーション) に向けた足がかりを作っていきます。

まとめ

AWS パートナーである富士通は、長年のメインフレーム実績と AWS の知見を活かし、お客様のモダナイゼーションジャーニーを総合的に支援します。モダナイゼーション戦略の策定から実装、運用・保守まで一貫したサービスを提供することで、お客様のビジネス変革の推進を着実に後押しします。

メインフレームモダナイゼーションに取り組まれる場合は、本記事で紹介した AWS Mainframe Modernization とお客様のモダナイゼーションを支える AWS パートナーソリューションの活用をご検討ください。


富士通 – AWS パートナースポットライト

富士通株式会社は、グローバルで幅広い領域のプロダクト、サービス、ソリューションを提供する AWS プレミアティア サービスパートナーです。AWS 移行コンピテンシーおよび AWS マネージドサービスプロバイダー (MSP)、AWS Well-Architected パートナープログラムなどの AWS パートナープログラム認定を保有しています。

富士通の問い合わせ先 | パートナー概要

Tetsuya Kawahara

Tetsuya Kawahara

Senior Manager, Technology Partner Solutions Architecture, Japan Partner Management, Amazon Web Services Japan G.K.