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技術経営者の交流を通じて、コミュニティ全体の活性化を【CTO Night & Day 2023 Fukuoka – Day2 ダイジェスト】

CTO Night & Day は、スタートアップを中心とした企業における、CTO や VPoE などの技術経営者のための招待制カンファレンスです。参加者同士によるディスカッションや経験・事例の共有などを通じて、技術経営者としての経験年数や企業規模を超えた幅広い知識と人脈の交流の場を提供します。技術経営者のコミュニティが醸成・活性化され、業界全体が発展していくことを目的としています。

2014 年より、宮崎や京都、金沢、長崎、オンラインなど場所や形を変えながら年 1 〜 2 回実施してきました。第 12 回を迎える 2023 年はスタートアップシティ福岡市にて、オフサイトならではの学びとネットワーキングの場を提供いたしました。参加された CTO・VPoE の人数は合計 203 名と過去最大規模。今回は福岡県福岡市中央区の「ヒルトン福岡シーホーク」ホテルをメイン会場として 2023 年 9 月 13 日に行った Day2 の模様を、ダイジェスト形式でお届けします。

Optional Tour / Workshop

Day2 は 7 種類の会場に分かれての Optional Tour / Workshop から幕を開けました。各 Activity のなかから、ピックアップして 2 つをご紹介します。

<Activity1:九州スタートアップピッチ@FGN>

2012 年にスタートアップ都市を宣言して以来、数多くのスタートアップを輩出してきた福岡市。そんな福岡市で生まれ、世界を目指すスタートアップのピッチイベントです。事業・プロダクト紹介だけではなく、地方スタートアップならではの課題や組織運営・プロダクト開発のノウハウなど多彩なテーマを登壇者が発表。ランチタイムでは参加者と登壇者との交流も行いました。会場は博多のスタートアップ拠点の中心 FGN(Fukuoka Growth Next)です。

Activity1:九州スタートアップピッチ@FGNの様子

Activity1:九州スタートアップピッチ@FGNの様子

<Activity2:顧客視点の憑依体験 Amazon Working Backwards Workshop N&D ver.>

Amazon が新規事業を立案する際のフレームワークを用いて「顧客視点で考え・企画すること」を体験します。考えるだけではなく、アイデアを形にする手法を実践し、参加者同士で企画をレビューすることで新規事業の案を磨いていきます。講師を務めたのはアマゾンウェブサービスジャパン スタートアップ事業本部 シニア事業開発マネジャー 野澤 紅美です。

Activity2:顧客視点の憑依体験 Amazon Working Backwards Workshop N&D ver.の様子

Activity2:顧客視点の憑依体験 Amazon Working Backwards Workshop N&D ver.の様子

Activity2:顧客視点の憑依体験 Amazon Working Backwards Workshop N&D ver.の様子

しくじり!CTO Dojo

午後からのメインセッションは「しくじり! CTO Dojo」からスタートしました。本セッションでは、CTO Night & Day 2023 Fukuoka に参加する複数の CTO が登壇し、これまでのキャリアのなかで経験したしくじりをオフレコ・非公開で語りました。

視聴者の方々は先人の過去の失敗を知ることで、「企業経営・組織運営を行うなかで、どのような課題が発生し得るのか」を学ぶことができます。これにより、自社で将来的に起こる同様の課題を解決するために、対策を講じることができるのです。また、登壇する技術経営者自身も、過去の意思決定や経験を振り返ることで、改善すべき点について内省・分析する機会になります。

話されたテーマはサービス運営や技術選定、技術的負債の解消、採用・育成、組織作り、企業の M&A など多種多様。技術経営者たちが、いかに幅広い内容の業務を扱っているかがわかるセッションでした。オフレコ・非公開のセッションだからこそ、なかなか外部では話せないような生々しい話がいくつも飛び出しました。

公開 CTO メンタリング

<トラック1 : メンター>

グリー株式会社/デジタル庁 CTO 藤本 真樹 氏(写真左)

ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社 CTO 菊池 貴則氏(写真右)

<トラック2 : メンター>

株式会社ディー・エヌ・エー 常務執行役員 小林 篤 氏(写真左)

株式会社LayerX 代表取締役 CTO 松本 勇気 氏(写真右)

<トラック3 : メンター>

株式会社メルカリ Japan Region CTO 木村 俊也 氏(写真左)

コインチェック株式会社 CTO 松岡 剛志 氏(写真右)

「自分の悩みはみんなの悩み。先輩 CTO に相談してみよう!」というコンセプトのもと、悩める CTO の質問に対して経験豊富な CTO が答え、参加者全員で知見を共有する対話型のセッションです。例年は 1 トラックだけで開催していたのですが、今回は本数を増やし、3 つのトラックでお届けしました。

相談者からは「詳細な評価制度をどのフェーズから作るべきか」「マルチプロダクトを展開する企業において、円滑に開発を進めるための方法」「どのような判断基準でプロジェクトを進める・進めないという意思決定をするか」「採用する人数や職種を決める基準」「CEO と CTO との責務の分離」などのテーマが寄せられます。経験豊富なメンターの CTO たちは、時おりユーモアを交えつつ、本質を突いた鋭いアドバイスをしていきました。

CTO実態調査!~CTOの生々しい実情をライブで共有~

<スピーカー>

キャディ株式会社 CTO 小橋 昭文 氏(写真左上)

クラスター株式会社 執行役員 CTO 田中 宏樹 氏(写真右上)

トレジャーデータ株式会社 CTO 兼 VP Engineering Hiroshi Nakamura 氏(写真右下)

<モデレーター>

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 スタートアップ事業開発部 プリンシパル事業開発リード 畑 浩史(写真左下)

過去に開催された CTO Night & Day では「CTO 実態調査」という人気コンテンツがありました。これは、イベントに参加する CTO にアンケートを行い、その集計結果を踏まえて登壇者が議論をするものです。今回は、数年ほど実施していなかったこのコンテンツを復活させ、ライブアンケートツールによってリアルタイムでデータの集計を行いました。

年収や持ち株割合といったお金のトピックや生成系 AI への注力度など技術のトピック、CTO の仕事との向き合い方など、クローズドなイベントだからこそ知ることのできる「ここだけの話」がいくつも飛び出します。集計結果が表示されるたびに会場ではどよめきの声や笑い声などが上がっており、“CTO のリアルな実態”のインパクトの大きさがうかがえました。

スピーカーであるキャディ 小橋 氏やトレジャーデータ 中村 氏、クラスター 田中 氏は、それぞれの集計結果に対する感想や、日本国内のスタートアップが置かれている状況についての考察などを述べていました。

Day2 Closing

本イベントの全体的な司会進行を務めたアマゾン ウェブ サービス ジャパン スタートアップソリューションアーキテクトの濱 真一

CTO Night & Day 2023 Fukuoka の全セッションが終わり、閉会の挨拶が行われました。会場で参加者を数名ほどピックアップし、イベントの感想をお聞きしました。

エムスリー株式会社 取締役 CTO 兼 VPoP 山崎 聡 氏

「CTO Night & Day 初参加だったのですが、非常に良い会だと思いました。技術経営者同士が交流することには、大きな意義があると感じます。特に、若い年代の方がこうした場に参加して横のつながりを構築すると、その後のキャリアにレバレッジが利くでしょうね。私自身も、もっと前から参加しておけば良かったと思いました」

シナジーマーケティング株式会社 取締役 兼 最高技術責任者 馬場 彩子 氏

「CEO は比較的、社外の方とのネットワークを構築する機会が多いです。でも、CTO はなかなか他社の CTO と会話をすることがないので、経験や知見を共有する機会が生まれません。だからこそ、CTO Night & Day のような場があることで、悩みや学びについて誰かと話し合えることが素晴らしいです。本当に良い機会をいただけたと思いますし、また来年も参加したいと思っています」

ファインディ株式会社 取締役 兼 CTO 佐藤 将高 氏

「今回が 4 回目の参加になります。いま、私の声が枯れているのがわかりますか。他の方々との議論が白熱して、話し過ぎてしまい声がガラガラになってしまいました(笑)。それくらい良いイベントだったので、今回も参加して正解でした。CTO Night & Day を開催することで、技術経営者同士が知見を共有し、各社の事業がうまくいき、そして AWS をさらに積極的に活用するという好循環が生まれることを期待しています」

Closing Party

閉会後はホテル内のイベントスペースにて Closing Party が催されました。「CTO実態調査!~CTOの生々しい実情をライブで共有~」に登壇したキャディ 小橋 氏とトレジャーデータ 中村 氏、クラスター 田中 氏による挨拶が行われます。

キャディ株式会社 CTO 小橋 昭文 氏

「今回は貴重な機会をいただきました。前夜祭を含めた 3 日間で、テクノロジーによって世の中が変わっていくことを実感できました。参加者のみなさん、運営に携わるみなさん、ご一緒させていただきありがとうございました」

トレジャーデータ株式会社 CTO 兼 VP Engineering Hiroshi Nakamura 氏

「私は今回が CTO Night & Day 初参加で、みなさんとさまざまなお話をさせていただきました。特に印象に残ったのは『CTO実態調査!~CTOの生々しい実情をライブで共有~』のセッションです。テクノロジーやビジネス、組織など幅広い領域が議題に上っており、みなさん同じような悩みを抱えているのだと実感しました。今後も CTO Night & Day が長く続いてほしいと思っております。今回はありがとうございました」

クラスター株式会社 執行役員 CTO 田中 宏樹 氏

「みなさんイベント参加おつかれさまでした。『CTO実態調査!~CTOの生々しい実情をライブで共有~』では、かなりリアルな数字が出ていましたね。このセッションで『CTO の仕事は楽しいですか』という質問がありました。それに対して『Yes と答える人の割合が 100% になるように頑張っていきたいですね』というコメントがあり、その通りだなと思いました。一緒にコミュニティを盛り上げましょう。ありがとうございました」

これらの挨拶の後、乾杯の音頭と共にパーティーが開始。イベント最終盤ではありますが、まだまだみなさん話し足りないようで、各テーブルで熱い議論を交わされていました。

こうして、2023 年 9 月 11 日の前夜祭から 9 月 13 日まで 3 日間にわたり開催された CTO Night & Day 2023 Fukuoka は幕を閉じました。改めて、参加者の方々やイベント運営にご協力いただいた方々に、心より感謝を申し上げます。ぜひ、次回の CTO Night & Day も、多くの方にご参加いただければ幸いです。