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復興支援と DX 推進の両立を【CTO Night & Day 2024 Kanazawa – Day2 ダイジェスト】

CTO Night & Day は、スタートアップや日本を代表するテック企業における、CTO や VPoE など技術経営者のための招待制カンファレンスです。参加者同士によるディスカッション、経験や事例の共有などを通じて、経験年数や企業規模を超えた幅広い知識と人脈の交流の場を提供し、技術経営者のコミュニティが醸成、活性化され、業界全体が発展していくことを目的としています。

2014 年より、宮崎、京都、金沢、長崎、福岡、オンラインなど形を変えながら年1 〜 2 回実施し、延べ 1,200 人以上の CTO/VPoE が参加されています。11 年目となる 2024 年は、日本の地域活性化や年初の地震からの復興支援の願いも込め、石川県金沢市にて開催し178名にご参加頂き、オフサイトならではの学びとネットワーキングの場を提供いたしました。今回は同市大手町の「KKRホテル金沢」をメイン会場として 2024 年 7 月 26 日に行った Day2 の模様を、ダイジェスト形式でお届けします。

Morning Activity

Morning Activity は、参加者同士の交流や学びの機会を提供するアクティビティやワークショップです。各参加者は 9 種類の会場のうち、興味のあるものに取り組みます。このレポートでは各 Activity のなかから、ピックアップして 2 つをご紹介します。

Activity:【復興支援】石川ビヨンドリカバリー in CTO Night & Day

今年の目玉企画の一つである、石川県とのコラボ復興支援企画。能登半島地震で被災された企業や自治体が抱えている課題を参加者たちがヒアリングし、自社のサービスと技術で解決する方法を見つけるという Activity です。

AWS ジャパン スタートアップ事業本部 シニア事業開発マネージャー 野澤 紅美

Activity の冒頭では、本企画を担当する アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下、AWS ジャパン)スタートアップ事業本部 シニア事業開発マネージャーの野澤 紅美がごあいさつ。そして、AWS ジャパン 常務執行役員 デジタルサービス事業統括本部 統括本部長 佐藤 有紀子が AWS および Amazon の企業理念や復興支援の取り組みなどを紹介しました。

Activity では、カニカマや笹寿司を製造する会社、有名旅館といった石川県ならではの企業が、自社の経営課題を共有しました。また、参加者たちも石川県の企業に向けて自社サービスや技術、ソリューションの提案を実施。その後はグループディスカッションにて直接的に交流する時間を設けました。

Activity:AWS のボードゲーム!? 楽しみながら学べるアーキテクチャ

「AWS BuilderCards」はクラウドサービスやサービスを組み合わせたアーキテクチャ構築の知識を学べるカードゲームです。一般販売されておらず、AWS re:Invent などの AWS イベントでのみ限定配布されているものを、本イベント用に特別に用意しました。

Product Feedback Lunch(復興支援メニュー)

Morning Activity を終えた後は、今回の CTO Night & Day の新たな試みである Product Feedback Lunch を開催しました。選出された企業がテーブルごとに分かれて、自社プロダクトのピッチを行います。テーブルに座る視聴者からの忌憚のないフィードバックをもらうことで、登壇者・視聴者のどちらも学びを得ることを目的としました。また、このランチでは復興支援も兼ねて、Day1 に引き続き石川県金沢市の企業のお弁当(芝寿し、Natuleg)が配布されました。

しくじり! CTO Dojo

午後からのメインセッションは「しくじり! CTO Dojo」からスタートしました。本セッションでは、CTO Night & Day 2024 Kanazawa に参加する複数の CTO が登壇し、これまでのキャリアのなかで経験したしくじりをオフレコ・非公開で語りました。

企業の成功事例だけでなく失敗事例を学ぶことには、大きな意義があります。視聴者はそれらの事例から、特定の行動や戦略がどのようなリスクを引き起こすかを学ぶことで、同じ失敗をする可能性を低減できます。また、実際のビジネス環境における困難さや制約を理解することで、より良い戦略を立案できるようになります。そして登壇者も、過去の意思決定や経験を振り返ることで、改善すべき点について内省・分析する機会になります。

話された内容は組織作りやプロジェクトマネジメント、CEO との関係性、事業の撤退、企業買収、法令遵守など「オフレコだからこそ共有できる情報」の数々。他のイベントでは語られないような、生々しい話がいくつも飛び出しました。

CTO 公開メンタリング

「自分の悩みはみんなの悩み。先輩 CTO に相談してみよう!」というコンセプトのもと、悩める CTO の質問に対して経験豊富な CTO が答え、参加者全員で知見を共有する対話型のセッションです。

今年は 3 つのトラックに分かれ、それぞれのトラックで軸となるテーマを設定しました。その領域において第一線で活躍する CTO・VPoE が 2 名ずつメンターとして登壇し、1 名のメンティーが相談をする形式での進行です。

トラック1:E-Commerce(EC)& B2C の事業

メンター
株式会社BuySell Technologies 取締役 CTO 今村 雅幸 氏(写真左)
BASE株式会社 上級執行役員SVP of Development 藤川 真一 氏(写真左から 2 番目)

メンティー
株式会社パンフォーユー システム事業部 部長 喜多 将人 氏(写真右)

トラック2:Digital Transformation(DX)& B2B の事業

メンター
シナジーマーケティング株式会社 取締役 CTO 馬場 彩子 氏(写真左)
グリー株式会社 取締役 CTO / デジタル庁 CTO 藤本 真樹 氏(写真左から 2 番目)

メンティー
アセンド株式会社 取締役 CTO 丹羽 健 氏(写真右)

トラック3:Global Expansion(海外展開)

メンター
キャディ株式会社 Drawer VP of Engineering 藤倉 成太 氏(写真左)
株式会社ソラコム 共同創業者 CTO 安川 健太 氏(写真左から 2 番目)

メンティー
株式会社LayerX 代表取締役 CTO 松本 勇気 氏(写真右)

CTO 1000 本ノック 〜ネクストキャリア、いまだから話せるあの日々〜

CTO のキャリアは多種多様です。特定企業で CTO として長く働く人もいれば、CTO を経験したうえで、次のチャレンジをする人もいます。CTO Night & Day 最後のセッションでは、次のキャリアに進んだ元 CTO の方々がパネリストとして登壇。会場からリアルタイムに寄せられる質問に答えていきました。

いまだからこそ話せる前職でのぶっちゃけ話や、CTO を経験して得られた学び、そして自分自身の新しいチャレンジについてなど、さまざまなエピソードが飛び出しました。視聴者の方々にとって「CTO のネクストキャリア」について考える良い機会となったようです。

パネリスト
【写真左から】
元・株式会社FiNC Technologies CTO 現・株式会社GROWTH VERSE 代表取締役 CTO 南野 充則 氏
元・株式会社メルカリ VPoE 現・スターフェスティバル株式会社 取締役 CTO 柄沢 聡太郎 氏
元・株式会社ナビタイムジャパン VPoE 現・株式会社カケハシ エンジニアリングマネージャー 小田中 育生 氏
元・クックパッド株式会社 CTO 現・株式会社IVRy Principal Engineer 成田 一生 氏

Day2 Closing

CTO Night & Day 2024 Kanazawa の全セッションが終わり、閉会のあいさつが行われました。会場で参加者を数名ピックアップし、イベントの感想をお聞きしました。

ミチビク株式会社 創業者 取締役 CTO 金杉 優樹 氏(写真左上)
「他のイベントでは出てこないようなオフレコの話をみなさんと一緒にできたので、非常に楽しく学びになりました」

エムスリー株式会社 取締役 CTO 兼 VPoP 山崎 聡 氏(写真左下)
「私は過去に開催された CTO Night & Day にも参加していますが、やはり CTO や VPoE が集まるイベントは貴重なものです。また、AWS 社員の方々の対応は、エンジニアフレンドリーであるといつも感じます。今後も毎年参加したいです」

Turing株式会社 共同創業者・取締役 CTO 青木 俊介 氏(写真右上)
「CTO Night & Day は本編の各セッションが勉強になるのはもちろんですが、イベントの飲み会で他の方々と話したことも大きな学びになります。私は昨年も参加したのですが、その後に仕事でさまざまな出来事に遭遇するなかで『飲み会であの人が話していたのはこういうことか』と実感することが多くありました。今回のイベントで話したことも、今後の仕事に生きるはずです」

bgrass株式会社 CEO 兼 CTO 咸 多栄(だむは)氏(写真右下)
「今回初めて CTO Night & Day に参加し、本当に勉強になりました。私が CTO と名乗り始めたのは、実は CTO Night & Day が大きく関係しています。このイベントの参加者数名から『CTO・VPoE の女性割合が低いから、なんとか改善できないだろうか』と相談の連絡をもらいました。ならば、自分から行動しようと思って CTO になったんです。このイベントでは私が思っている以上に他の方々も『IT 業界で活躍する女性を増やしたい』と考えていることがわかり、より一層がんばりたいという気持ちが大きくなりました」

After Party

閉会後は「KKRホテル金沢」内の会場で After Party が催されました。イベント最終盤ではありますが、みなさんまだまだ話し足りない様子。会場の至るところで熱量の高い議論が交わされていました。

こうして、CTO Night & Day 2024 Kanazawa は幕を閉じました。改めて、参加者の方々やイベント運営にご協力いただいた方々に、心より感謝を申し上げます。ぜひ、次回の CTO Night & Day も、多くの方にご参加いただければ幸いです。