AWS Startup ブログ

【AWS Startup.fm】スタートアップならではの課題:人材採用/育成、リソース不足の解決策をご紹介します!

人材採用や育成、人員のリソース不足などの課題を抱えるスタートアップ企業は非常に多いものです。「良いエンジニアを採用したいが、何から手を付けたらいいのかわからない」「新規開発を進めたいが、既存サービスの運用保守に工数を取られている」といった悩みを抱える企業もいらっしゃるのではないでしょうか。こうしたスタートアップならではの課題に対して、AWS はさまざまな支援をご提供しています。

2023 年 6 月 27 日開催の「AWS Startup.fm」では、これらの悩みを抱える方々に向けて「【AWS Startup.fm】スタートアップならではの課題:人材採用/育成、リソース不足の解決策をご紹介します!」と題したイベントを実施しました。

本ウェビナーでは、AWS の佐藤 大資と伊藤 優史が、具体的な支援内容について解説。さらに、株式会社sustenキャピタル・マネジメントの益子 遼介 氏にもご登壇いただき、AWS の支援の活用事例についてお話しいただきました。

本セッションの一部をYoutubeにて公開をしております。

<スピーカー>

株式会社sustenキャピタル・マネジメント テクノロジー本部長 益子 遼介 氏

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 スタートアップ事業本部 Partner Success Manager 伊藤 優史

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 スタートアップ事業本部 Startup SA, Manager 佐藤 大資

ex-CTO メンタリングのご紹介

イベント序盤では、AWS の佐藤が登壇しました。佐藤はこれまで複数のスタートアップ企業で CTO や開発組織のマネジメントを経験した後、AWS に参画しました。佐藤はその業務のなかで ex-CTO メンタリングに携わっています。

ex-CTO メンタリングとは、スタートアップ企業の元 CTO であるソリューションアーキテクトが、「CTO および技術責任者、または CTO と関わる経営者」を対象に「エンジニア組織のマネジメント全般の相談、エンジニアの採用・評価・育成の相談、CTO 職としての役割についての悩み、CTO 採用活動中または CTO 不在時の悩み相談」についてメンタリングを行うものです。

佐藤が ex-CTO メンタリングに携わり始めた 2021 年から 2023 年 6 月時点までで、延べ 54 セッションを実施してきました。最も多い相談内容は採用です。続いて、組織設計や評価制度、文化醸成についての相談が多く寄せられているといいます。

ex-CTO メンタリングは基本的に、コーチングとティーチングのセッションに分かれています。まずコーチングでヒアリングを行い、顧客の課題を聞きつつ、その企業がどのような状況にあるのかを深掘りしていきます。そのうえで、ティーチングで解決策を提案していくのです。

ウェビナーではこれまでどのような相談があり、それに対してどのようなアドバイスをしてきたのかをピックアップして解説。さらに、ex-CTO メンタリングを活用して大きな成果を上げたスタートアップとして、Baseconnect株式会社の事例を紹介しました。

エンジニア採用が大幅に改善。開発組織の課題を解決する、ex-CTO メンタリングとは

https://aws.amazon.com/jp/blogs/startup/program-ex-cto-mentoring-baseconnect_2022/

寄せられる採用の悩みや課題には、いくつかのパターンがあります。たとえば、「開発組織のメンバーのリファラルでの人脈が枯渇してしまった」「企業ブランディングや技術ブランディングに対して投資ができていない」などです。CTO は非常に多忙であるため、採用活動に時間を割くことが難しく、こうした課題が生じてしまうのです。

ですが採用を成功させるには、それに関連する活動に中長期にわたってコミットメントを続ける必要があります。たとえばリファラルの枯渇を防ぐには、継続的に各種のコミュニティに参加して、新しいコネクションを作り続ける必要があります。また企業ブランディングや技術ブランディングの活動は、効果が表れるまでに最低でも 1 年以上、長ければ 3 年近くの時間を要します。

採用だけではなく育成においても、新卒採用や未経験採用だった場合には、その人に組織で活躍してもらうまでには 1 年程度の時間がかかると考えていくべきです。つまり、採用と育成のどちらにおいても、「即時で効果を出すのは難しい」ということが言えます。

そこで佐藤は視聴者に向けて、「各種の業務を代行してくれる外部リソースの活用も視野に入れてほしい」と提案をしました。採用や育成、リソース不足などの課題を解消するために、業務の一部を外部の業者に委託することで、社内のメンバーだけで取り組むよりも、さらに大きな成果を出せるのです。

AWS パートナーのご紹介

続いては AWS の伊藤が登壇。はじめにAWS のパートナープログラムの概要や特徴についての解説をしました。

AWS パートナーの特徴は大きく 3 つあります。まずはパートナーの種類が多種多様であること。現在、日本国内だけでも数百社以上がパートナーネットワークに参画しています。大手の SIer からスタートアップ企業まで、さまざまな規模や事業形態のパートナーが登録されているのです。

次に、幅広い顧客の支援実績があること。スタートアップから大手企業、官公庁に至るまで、各種の業種や事業領域、ユースケースの支援を行っています。そして、いろいろな開発組織の課題に対応していること。個々の課題や状況に応じたパートナーを AWS がご紹介することで、課題解決や事業成長を支援します。

AWS パートナーは、AWS を用いたサービス開発のスペシャリスト企業です。それに加えて、要件定義や設計、インフラ構築、アプリケーション開発、リリース後の保守・運用、アプリケーションの UI/UX 改善など各種の分野を得意とする企業が所属しています。

また、準委任契約や短期間の契約、SES 契約など柔軟性のある協業体制が可能です。契約価格も、一般的な業務委託のエンジニアと契約するのとそれほど大きく変わらない金額となっています。さらに、1 人月未満の稼働にも対応でき、なかには 0.1 人月以下でも対応可能なパートナーもいます。請負型の外部委託だけではなく、社内の開発組織にパートナーが参画して支援を行うケースもあります。

また、システムの開発や運用の支援の他にも、フリーランスエンジニアの紹介や IPO 準備に伴う IT 統制の支援といったソリューションを提供しているパートナーもいます。効率的にプロダクト開発を進めて事業をスケールさせるためのベストプラクティスのひとつとして、AWS パートナーの活用はとても効果的なのです。そのため、AWS は、スタートアップ企業がパートナーを活用することを積極的に推進しています。具体的な取り組みは大きく 3 つです。

まずはパートナーの開拓。技術面・ビジネス面で専門性の高いパートナーを継続的に増やしていくことで、連携の受け皿を広げています。次に社内外に対する啓蒙活動。AWS アカウントマネージャーやソリューションアーキテクトに向けたパートナー勉強会を開催したり、パートナーに向けてスタートアップの情報提供や共同のソリューション開発をしたりといったことに取り組んでいます。そして、専用のファンドプログラムを提供しています。これにより、スタートアップが AWS パートナーを活用するうえでの経済的な条件のギャップを解消しようとしているのです。

「AWS パートナーを活用することで、企業の抱える課題を解決でき、かつ事業において重要な業務に社内リソースを集中させることができます」と伊藤は推奨。そして、スタートアップによるパートナー活用事例について紹介し、セッションを終えました。

つみたて NISA プロジェクトにおける AWS パートナーの活用

最後は株式会社sustenキャピタル・マネジメントの益子 氏が、つみたて NISA プロジェクトにおいて AWS パートナーを活用した事例の紹介を行いました。sustenキャピタル・マネジメント社はフィンテックスタートアップであり、2019 年に創業しました。

プロレベルの資産運用をスマホから簡単に始められる資産運用サービス「SUSTEN」を開発・運用しています。2021 年 2 月にサービスをローンチして、これまで 2 年半ほど運用が続けられてきました。最近のトピックとしては、2022 年 11 月にスマートフォンアプリを提供開始。2023 年 2 月につみたて NISA の機能をリリースしました。今回の事例は、このつみたて NISA 機能の開発に関するエピソードです。

「今回のセッションで伝えたいことは主に 2 点あります。まずは、スタートアップで委託開発をするには適切にシステムコンポーネントを切り離す必要があること。そして、パートナー活用をするうえでは、開発を外部に丸投げするのではなく、チームを丸ごと採用するという考え方が重要だということです」と益子 氏は述べます。

「SUSTEN」では従来のロボアドバイザー型の投資に加えて、つみたて NISA への参入を 2022 年 5 月から検討し始めました。つみたて NISA の対応を行うには全社的なシステム改修が必要になりました。開発期間は約 9 カ月確保していたものの、すべての開発を内製すると約 2 年がかかってしまうことが判明したのです。そのため開発チームの体制を、約 2 カ月ほどの短期間で強化する必要が生じました。

人員を増員するために、多種多様な手段を活用しました。まず、正社員を増やすために採用ブランディングや採用媒体への投資を強化しました。ただし、前述のとおりブランディングや育成には長い期間を要するため、この活動は一朝一夕には成果が出ません。

さらに、業務委託のメンバーも増やしましたが、金融のドメイン知識を持ったフリーランスエンジニアは希少な存在です。そのため、金融関連の知識をそれほど必要としないアプリケーションの担当を主に依頼しました。

そして、3 番目の選択肢としてパートナー企業に依頼することを検討しました。パートナーのなかには、特定の事業ドメインに強みを持つ企業が数多く存在しています。また、短期でのリソース確保が可能です。

パートナーの選定にあたっては AWS が sustenキャピタル・マネジメント社の支援をさせていただき、電通国際情報サービス(ISID)社をご紹介しました。そして、商談を開始してからおよそ 1 カ月くらいの期間で、契約・稼働できたといいます。

また、0.5 人月単位、準委任という柔軟な契約形態を結び、コストを抑えることもできたのです。セッション後半では、プロダクト開発にあたって具体的にどのような苦労や工夫をし、どういった成果を上げることができたのかというエピソードを益子 氏は詳細に解説しました。経験を踏まえて、システムを外部に開発委託するうえでの要点を以下のようにまとめます。

「現在、どの企業もエンジニアの採用に苦労しています。そのなかで、リソース不足を解消するために、パートナーとの協業は今回の私たちの事例にあるように、有効な選択肢になるはずです。正社員採用は ex-CTO メンタリングを活用しつつ中長期的な施策を実施していく、そしてパートナー活用は AWS のパートナープログラムを利用するといったように、適切に使い分けることをおすすめします」と結びました。

各者による発表が終わった後は、登壇者の方々がリスナーからの質問に答える Q&A セッションを実施しました。「AWS Startup.fm」では今後も、スタートアップ企業で働く方々にとって有益なセッションを実施してまいります。ぜひこの記事を読まれたあなたも、次回のイベントにご参加いただければ幸いです。


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