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Amazon Q Apps の一般公開を開始、独自の生成 AI アプリ構築が可能に

AWS では 2024 年 4 月に Amazon Q Business をリリースした際、Amazon Q Apps のプレビュー版もリリースしました。Amazon Q Apps は、組織のデータに基づいて生成人工知能 (生成 AI) を利用したアプリケーションを作成するための、Amazon Q Business 内の機能です。ユーザーは自然言語を使用してアプリを構築し、それを組織のアプリライブラリに安全に公開して、誰もが使用できるようにすることができます。

プレビュー中にフィードバックや提案を収集してきましたが、7月10日、Amazon Q Apps を一般公開しました。Amazon Q Apps の API や、個々のカードレベルでデータソースを指定する機能など、プレビュー中には使用できなかった新機能もいくつか追加しています。

新機能については後ほど詳しく説明しますが、まず Amazon Q Apps の使用を開始する方法を見てみましょう。

会話を再利用可能なアプリに変える
Amazon Q Apps では、Amazon Q Business との会話からアプリを生成できます。Amazon Q Apps は会話のコンテキストをスマートにキャプチャして、特定のニーズに合わせたアプリを生成します。実際の動作を見てみましょう。

この記事を書き始めたとき、Amazon Q Business の協力を得て、Amazon Q Apps の製品概要を生成することを考えました。結局のところ、Amazon Q Business は従業員の生産性を高めるために存在しているからです。そこで、製品メッセージドキュメントを Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) バケットにアップロードし、Amazon Q Business 用の Amazon S3 コネクタを使用して、データソースとして追加しました。

次のプロンプトから会話を始めます。

私は、Amazon Q Apps のリリースに関する記事を書いています。
製品の簡単な説明は次のとおりです。従業員は、幅広い Amazon Q Business アプリケーション環境内で、軽量かつ特定の目的のための Amazon Q Apps を作成できます。
製品の概要と主な機能の一覧表示を生成してください。

Amazon Q Business Chat

会話を開始してみて、製品の説明を記載した製品概要を作成することは、組織内の他のメンバーにとっても役立つことに気付きました。[Create Amazon Q App] (Amazon Q App を作成) を選択して、再利用および共有可能なアプリを作成します。

Amazon Q Business では、Amazon Q App を作成するプロンプトが自動生成され、必要に応じて確認と編集を促すプロンプトが表示されます。

Q にとって既知の製品/サービスに関するデータを利用して、製品またはサービスの短い説明を取り込み、その製品/サービスの概要と、主要機能の一覧を出力するアプリを構築します。

Amazon Q Apps Creator

[Generate] (生成) を選択してアプリの作成を続行します。4 枚のカード (ユーザー入力を取得する 2 枚の入力カードと、製品の概要および主要機能を表示する 2 枚の出力カード) を含む Product Overview Generator アプリを作成します。

Product Overview Generator App

カードのサイズを変更したり移動したりすることで、アプリのレイアウトを調整できます。

また、個々のテキスト出力カードのプロンプトが自動的に生成されるので、これらを表示したり編集したりできます。[Product Overview] (製品概要) カードの編集アイコンを選択すると、サイドパネルにプロンプトが表示されます。

サイドパネルでは、テキスト出力カードのソースを選択し、大規模言語モデル (LLM) の知識または承認されたデータソースのいずれかを使用して、出力を生成することもできます。承認されたデータソースについては、この Amazon Q Business アプリケーション用に設定されているデータソースを 1 つ以上選択できます。このアプリを作成するために設定したマーケティング (Amazon S3) データソースを選択します。

Text Output Card Prompt (テキスト出力カードプロンプト) の編集とソースの選択

お気付きかもしれませんが、基本プロンプトや個々のテキスト出力カードのプロンプトを変更することなく、会話自体から完全に機能するアプリを生成しました。

[Publish] (公開) を選択すると、このアプリを組織のアプリライブラリに公開できます。しかし、アプリを公開する前に、Amazon Q アプリを作成する別の方法を見てみましょう。

自然言語を使用して生成 AI アプリを作成する
Amazon Q Business での会話を起点としてアプリを作成する代わりに、[Apps] (アプリ) を選択し、作成したいアプリを自分の言葉で説明することができます。または、事前に設定された例のいずれかのプロンプトを試してみることもできます。

Amazon Q App

目的に合わせてプロンプトを入力し、[Generate] (生成) を選択してアプリを作成できます。

チームとアプリを共有する
レイアウトとプロンプトの両方に満足し、アプリを共有する準備が整ったら、一元化されたアプリライブラリにアプリを公開して、この Amazon Q Business アプリケーション環境のすべてのユーザーがアクセスできるようにします。

Amazon Q Apps は Amazon Q Business の強固なセキュリティとガバナンスコントロールを継承しており、データソース、ユーザー権限、ガードレールを確実に維持します。そのため、他のユーザーがアプリを実行すると、基礎となるデータソースでアクセスできるデータに基づく回答のみが表示されます。

作成した Product Overview Generator アプリでは、[Publish] (公開) を選択します。アプリのプレビューが表示され、最大 3 つのラベルを選択できます。ラベルは、組織内の部門やその他のカテゴリ別にアプリを分類するのに役立ちます。ラベルを選択したら、プレビューポップアップでもう一度 [Publish] (公開) を選択します。

Amazon Q App の公開

アプリはすぐに Amazon Q Apps ライブラリで利用可能となり、他のユーザーが使用、コピー、ビルドできるようになります。[Library] (ライブラリ) を選択して Amazon Q Apps ライブラリを閲覧すると、作成した Product Overview Generator アプリが見つかります。

Amazon Q Apps ライブラリ

特定のニーズに合わせてアプリライブラリ内のアプリをカスタマイズする
Amazon Q Apps では、共有アプリを特定のニーズに合わせてカスタマイズおよび調整することで、個人またはチームの生産性をすばやく向上できます。ゼロから始める代わりに、既存のアプリを確認したり、そのまま使用したり、アプリを変更して独自のバージョンをアプリライブラリに公開したりできます。

アプリライブラリを閲覧して、カスタマイズするアプリを見つけましょう。[General] (一般) というラベルを選択して、そのカテゴリのアプリを検索します。

Document Editing Assistant アプリ

ドキュメントをレビューして文法上の間違いを修正する、Document Editing Assistant (ドキュメント編集アシスタント) アプリを見つけました。新しいバージョンのアプリを作成して、ドキュメントの概要も含めたいとします。その方法について説明します。

[Open] (開く) を選択するとアプリが開き、[Customize] (カスタマイズ) オプションが表示されます。

Document Editing Assistant アプリを開く

[Customize] (カスタマイズ) を選択すると、アプリのコピーが作成され、変更を加えられるようになります。

アプリのカスタマイズ

アプリタイトルの編集アイコンを選択して、アプリのタイトル説明を更新します。

このアプリの生成に使用された元のアプリプロンプトが表示されます。プロンプトをコピーして、同様のアプリを作成する際の出発点として使用できます。これにより、追加したい機能の説明を含め、Amazon Q Apps Creator に処理を任せることができます。または、このアプリのコピーの変更を続行することもできます。

既存のカードを編集または削除するオプションがあります。例えば、カードの編集アイコンを選択すると、[Edited Document] (編集済みドキュメント) のテキスト出力カードのプロンプトを編集できます。

テキスト出力カードプロンプトの編集

機能をさらに追加するには、ユーザー入力、テキスト出力、ファイルアップロード、または管理者が事前設定したプラグインなどのカードを追加できます。例えば、ファイルアップロードカードを使用して、質問への回答を絞り込んだり、微調整したりするための別のデータソースとしてのファイルを提供できます。プラグインカードを使用すると、フォローアップとして実行する必要のあるアクションアイテムの Jira チケットの作成などを行えます。

[Text output] (テキスト出力) を選択して、ドキュメントを要約する新しいカードを追加します。タイトルを「Document Summary (ドキュメント概要)」とし、次のようなプロンプトを入力します。

@Upload ドキュメントに数行で要点を要約してください

テキスト出力カードの追加

これで、このカスタマイズしたアプリを新しいアプリとして公開し、組織内の全員と共有できるようになりました。

プレビュー後の追加機能

前述のとおり、プレビュー期間中にお寄せいただいたフィードバックや提案を基に、新しい機能を追加しました。追加した新機能は次のとおりです。

カードレベルでのデータソースの指定 – アプリ作成時に示したように、出力の生成元となるデータソースを指定できます。応答の精度を向上させるためにこの機能を追加しました。

Amazon Q Business インスタンスでは、複数のデータソースを設定できます。ただし、アプリを作成する際、ユースケースによってはこれらのデータソースのサブセットのみが必要となる場合があります。この機能によって、アプリ内のテキスト出力カードごとに特定のデータソースを選択できるようになりました。また、必要に応じて、データソースを使用する代わりに LLM ナレッジを使用するようにテキスト出力カードを設定できます。

Amazon Q Apps API – アプリ、アプリライブラリ、アプリセッションを管理するための API を使用して、Amazon Q Apps をプログラムで作成および管理できるようになりました。これにより、Amazon Q Apps のすべての機能を、お好みのツールやアプリケーションに統合できます。

留意点

  • リージョン – Amazon Q アプリは現在、Amazon Q Business が利用できるリージョン、つまり米国東部 (バージニア北部) リージョンおよび米国西部 (オレゴン) リージョンで一般的にご利用いただけます。
  • 価格 – Amazon Q APps は、Amazon Q Business Pro サブスクリプション (ユーザーあたり月額 20 USD) で利用可能で、ユーザーは Amazon Q Business のすべての機能にアクセスできます。
  • 学習リソース – 詳細については、Amazon Q Business ユーザーガイドの Amazon Q Apps をご覧ください。

–  Prasad

原文はこちらです。