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【開催報告】第8回 Amazon SageMaker 事例祭り

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 機械学習ソリューションアーキテクトの上総 (Twitter:@tkazusa) です。AWS Japan 目黒オフィスでは「Amazon SageMaker 事例祭り」(Twitter: #sagemaker_fes) を定期的に開催しています。2019年9月19日に開催された 第8回 Amazon SageMaker 事例祭り|体験ハンズオン では、前半にセッションの部として、AWS Japan のソリューションアーキテクトによるサービスの最新情報や技術情報と、Amazon SageMaker をご利用いただいているお客様をゲストスピーカーにお招きし、実際に導入頂いたお客様による「体験談」をお話し頂きました。また後半ではハンズオンの部として、SageMakerを用いた機械学習モデル開発のプロセスを、機械学習を利用した異常検知や画像分類を例に、ご来場の皆様と共にハンズオン形式でご体験頂きました。

「AWSの機械学習サービス概要とAmazon SageMaker」[Slides]

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
機械学習ソリューションアーキテクト 大渕 麻莉

AWS が提供する機械学習サービスの全体像について、Machine Learning サービススタックという、AWS のコンセプトにもとづいて紹介をしました。Machine Learning サービススタックとは、深いスキルの必要なしにご活用頂ける AI サービス、独自の機械学習サービスを構築するためのプラットフォームである ML サービス、エッジデバイスを含めた独自環境を構築するためのML フレームワーク&インフラストラクチャの 3層からなり、それぞれのレイヤー毎に AWS のサービスをご紹介をさせて頂きました。AI サービスについてはサービスの種類が一段と充実してきました。レコメンドサービスである Amazon Personalize や時系列データ予測のための Amazon Forecast など、今年に入ってから新しく一般公開となったサービスを含め、それぞれのAIサービスの概要や活用事例をご紹介しました。また、セッションの後半では ML サービスの中心になるAmzon SageMaker についてご紹介しました。SageMaker の持つそれぞれの機能や、それらを活用した開発プロセスをお伝えし、環境構築などの業務負荷を削減し、ユーザーが機械学習モデルの構築に集中できるという点をご紹介しました。その中でご案内したスポットインスタンスによる学習や、Amazon FSx for Lustre のサポートといった新機能によって SageMaker をますます便利にお使い頂けるのではないでしょうか。SageMaker の最近のアップデートについては「Amazon SageMaker 2019年4月から8月のアップデート」というブログ記事がありますので、こちらもご参照を頂けたらと思います。

「SageMakerによる意図解釈サービス基盤の開発事例」[Slides]

株式会社コトバデザイン
マネージャ / リサーチエンジニア 土田 正明 様

株式会社コトバデザインでは、対話インターフェイス開発の民主化を狙い、そのバックエンドとなる対話エージェントの開発・運用のプラットフォームを開発されています。対話エージェントではユーザ発話の意図を解釈し意図に応じた行動を行います。認識すべき発話意図は対話エージェントを通じて提供する機能やサービスに依存してしまうので、準備されている意図解釈機能だけでは足りず、多くの場合開発が必要になります。今回のご発表では、それぞれの開発者が対話エージェントに必要な意図解釈機能を作成・運用するための意図解釈サービス基盤を、SageMakerを使って開発されたご経験をお話頂きました。SageMakerを基盤にご活用頂く決め手とされた点は、運用工数に限りがあるため、可用性や耐障害性について意識することなく機能開発に集中できるようマネージド・サービスを使いたかった点や、独自のDocker Imageが利用可能であるため日進月歩な機械学習技術の変化に素早く対応できる点などを挙げておられました。セッションの後半では訓練ジョブの同時実行数の制御など、不特定多数の開発者が活用することを前提としたサービスの基盤としてSageMakerをお使い頂くために工夫されたポイントをお話頂きました。

「SageMakerから学ぶ時系列情報の予測に機械学習を適用するコツ」[Slides]

株式会社ナビタイムジャパン
開発部 早川 拳人 様

株式会社ナビタイムジャパンでは、カーナビゲーションアプリを提供しており、渋滞予測に取り組んでおられます。道路の属性や曜日などの固定の要素の他に、交通量や天気などの不確定要素を含めて、より正確な予測をすることがユーザーの移動に関する不安/ストレスの低減に繋がります。今回は、渋滞予測を行う機械学習モデルの精度向上のための研究開発にSageMakerを利用された事例をご紹介頂きました。SageMakerをお使いになられるきっかけになったのは、SageMaker体験ハンズオンへの参加され、そのハンズオンの中で、機械学習モデリングについての疑問をAWSのソリューションアーキテクトへ相談することができて役立ったことだったと仰っておられました。また、使いたいアルゴリズムがSageMakerにビルトインで用意されていたため実装が容易だった点も採用の決め手の一つだったようでした。また、機械学習モデル開発を効率化するために、SageMakerのノートブックインスタンス上からサーバーレスなクエリサービスであるAmazon AthenaへSQLクエリを実行することで、ノートブックインスタンスでは処理が難しいサイズの大きいデータへ対応するなどの工夫された点などをご紹介頂きました。

「Amazon SageMaker 体験ハンズオン」[Slides]

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
機械学習ソリューションアーキテクト 宇都宮 聖子

Amazon SageMaker は、機械学習モデルの開発・学習・推論を行うためのマネージドサービスです。開発に便利な環境をコンテナで提供しつつも、開発者⾃⾝が環境を変更したり、独⾃のアルゴリズムを持ち込んだりすることが可能であり、その使いやすさや柔軟性から、多くのお客様に⽀持いただいています。今回のハンズオンセミナーでは、1. ビルトインアルゴリズムXGBoost を利⽤したユーザー離反解析と、2. TensorFlowによる分散学習を活用した手書き文字画像(MNISTデータセット)を用いた分類を行いました。1つ目のXGBoostを用いたハンズオンでは、ノートブックインスタンスで前処理したデータをS3に保存し、学習用のインスタンスを立ち上げて機械学習モデルを学習、推論エンドポイントをデプロイして、テストデータを用いてモデルを評価するという一連の流れを実施しました。各工程が数行で実行できる簡単さをご体感頂けたのではないでしょうか。また、2つ目のTensorFlowを用いたハンズオンでは、TensorFlow 公式の CNN をベースに SageMaker を使って学習・推論を実施いただきました。SageMaker の TensorFlow コンテナを使うことで、GPU などのインスタンスを学習に必要な分だけ秒単位で立ち上げ自動的に終了できるのでインスタンスを効率よくお使い頂くことができ、デプロイはたった1行のコードでエンドポイントの立ち上げが可能な点をご紹介しました。学習インスタンスの管理や分散学習環境などを容易に実装できるため、機械学習モデルの開発に集中して頂けるのではないでしょうか。また、8月に一般公開になりましたスポットインスタンスを用いた学習を実施したところ、多くの参加者がオンデマンドインスタンスでの学習に対して約70%のコスト削減を確認できました。スポットインスタンスを使った学習については、「管理型スポットトレーニング: Amazon SageMaker トレーニングジョブで最大 90% を節約」というブログ記事もありますのでご参考に下さい。

まとめ

今回は AWS の機械学習サービス全体の話をご紹介した上で、Amazon SageMaker を活用されているゲストの方々をお迎えし、ご活用実例についてお話し頂きました。なお、過去の Amazon SageMaker 事例祭りの開催概要と登壇スライドは下記のリンクからご覧いただけます。

  • 第1回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年1月15日 [Web]
  • 第2回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年2月12日 [Blog]
  • 第3回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年3月12日 [Blog]
  • 第4回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年4月24日 [Blog]
  • 第5回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年5月21日 [Blog]
  • 第6回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年7月18日 [Blog]
  • 第7回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年8月29日 [Blog]

さらに、今後もセミナーやハンズオンを通じてサービスのご紹介やゲストによる体験談のご紹介をしていく予定です。まず10月31日(木)に、レコメンデーションと時系列予測のためのAIサービスをご紹介/ご体験頂けますAmazon Forecast&Personalizeハンズオンセミナーを開催します。また、次回の第9回 Amazon SageMaker 事例祭りは 10月30日に予定しております。最後に、10月1日(火) 〜 11月5日(火)に開催されます、AWS Innovate オンラインカンファレンス にも多くの機械学習関連のセッションがありますので、ぜひご覧頂けたらと思います。