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新機能 – Amazon Lookout for Equipment でセンサーデータを分析し、機器の故障検出に役立てる

産業機器を運用する企業は、運用効率性の向上と、コンポーネントの故障による計画外ダウンタイムの回避に絶えず取り組んでいます。これらの企業は長年の間、機器の状態を監視し、リアルタイムのアラートを受け取るために、物理センサー (タグ)、データ接続、データストレージ、およびダッシュボードの構築に多額の投資を繰り返し行っています。主なデータ分析手法は、単一変数の閾値と物理学に基づくモデリングのアプローチであり、これらの手法は特定の故障タイプや稼働状態の検出には効果的ですが、各機器の多変量関係を導き出すことによって検出される重要な情報を見逃すことがよくあります。

機械学習の使用により、機器の履歴的なデータから学習するデータ駆動のモデルを提供できる、より強力なテクノロジーを利用できるようになりました。しかし、このような機械学習ソリューションの実装は、設備投資とエンジニアのトレーニングが原因で時間がかかり、コストも高額になります。

本日は、機器の異常な動作を検出する API ベースの機械学習 (ML) サービス、Amazon Lookout for Equipment をご紹介します。Lookout for Equipment を使用することによって、お客様は、モデルごとにセンサーやアクチュエータなどのコンポーネントからのデータタグを最大 300 個設定できる、産業機器から生成された履歴的な時系列データと過去のメンテナンスイベントを取り込むことができます。Lookout for Equipment は、可能な組み合わせを自動的にテストし、機械学習モデルを構築して機器の正常な動作を学習します。エンジニアに機械学習の専門知識は必要なく、クラウドでリアルタイム処理のためのモデルを簡単にデプロイできます。

その後、お客様は簡単に ML 推論を実行して、機器の異常な動作を検出することができるようになります。結果は、既存のモニタリングソフトウェア、または AWS IoT SiteWise Monitor に統合して、リアルタイム出力を視覚化する、または資産が異常状態になりやすくなっている場合にアラートを受け取ることができます。

Lookout for Equipment の仕組み
Lookout for Equipment は、Amazon S3 バケットからデータを直接読み取ります。お客様は、S3 に産業データをパブリッシュし、Lookout for Equipment を利用してモデルを開発することができます。トレーニングに使用される値や期間の決定、および適切なラベルの割り当てはユーザーが行います。Lookout for Equipment は、この情報に基づいて学習タスクを開始し、お客様それぞれに最適な ML モデルを作成します。

Lookout for Equipment は自動化された機械学習ツールであるため、ユーザーが Lookout for Equipment を使用して新しいデータでモデルを再トレーニングするたびに、Lookout for Equipment も少しずつスマートになっていきます。これは、目に見えない新たな障害が発生した場合、または時間の経過とともにモデルのドリフトが生じた場合におけるモデルの再作成に役立ちます。モデルが完成し、推測できるようになると、Lookout for Equipment がリアルタイムの分析を提供します。

機器データは S3 にパブリッシュされているので、ユーザーは 5 分から 1 時間の範囲で推定をスケジュールできます。S3 がユーザーデータを受け取ると、Lookout for Equipment が希望のスケジュールで新しいデータを取得し、データ推論を実行して、その結果を別の S3 バケットに保存します。

Lookout for Equipment はこれらのシンプルなステップで設定します。

  1. S3 バケットにデータをアップロードする
  2. データセットを作成する
  3. データを取り込む
  4. モデルを作成する
  5. 推論をスケジュールする (リアルタイム分析が必要な場合)

1. データをアップロードする
機器からのタグデータを任意の S3 バケットにアップロードする必要があります。

2. データセットを作成する

[Create dataset] (データセットを作成する) を選択し、[Dataset name] (データセット名) を設定してから、[Data Schema] (データスキーマ) を設定します。データスキーマは、後から投入されるデータを定義するデータ設計ドキュメントのようなものです。その後、[Create] (作成) を選択します。

データセットコンソールの作成

3. データを取り込む
データセット作成後の次のステップは、データの取り込みです。Amazon Personalize または Amazon Forecast を使用したことがあるならば、この画面に見覚えがあるのではないでしょうか。 Lookout for Equipment も、これらと同じくらい簡単に使用できます。

[Ingest data] (データを取り込む) を選択します。

データの取り込みコンソールデータをアップロードした S3 バケットの場所と、IAM ロールを指定します。IAM ロールには「lookoutequipment.amazonaws.com」との信頼関係が必要です。テストには以下のポリシーファイルを使用できます。

{
  "Version": "2012-10-17",
  "Statement": [
    {
      "Effect": "Allow",
      "Principal": {
        "Service": "lookoutequipment.amazonaws.com"
      },
      "Action": "sts:AssumeRole"
    }
  ]
}

S3 バケットのデータ形式は、ステップ 2 で設定したデータスキーマと一致する必要があります。詳細については、AWS の技術ドキュメントを参照してください。データの取り込みは、データの量に応じて数分から数十分かかります。

4. モデルを作成する
データの取り込みが完了したら、独自の ML モデルをトレーニングできるようになります。[Create new model] (新しいモデルを作成する) を選択します。[Fields] (フィールド) には、取り込まれたデータのフィールドのリストが表示されます。デフォルトで、選択されているフィールドはありません。Lookout for Equipment に学習させたいフィールドを選択できます。Lookout for Equipment は、指定された複数のフィールドから相関関係を自動的に検出してトレーニングし、モデルを作成します。

フィールドの設定を説明する画像。

使用しているデータに異常なデータが含まれているという確信がある場合は、オプションでそのデータを除外するウィンドウを設定できます。

メンテナンスウィンドウのセットアップオプションで、取り込んだデータをトレーニング用に分割してから、評価用に分割することができます。評価期間中に指定されたデータは、トレーニングされたモデルに照らしてチェックされます。

評価ウィンドウのセットアップ

[Create] (作成) を選択すると、Lookout for Equipment がモデルのトレーニングを開始します。この処理は、データの量に応じて数分から数時間かかります。トレーニングが終了したら、評価期間データを使用してモデルを評価できます。

モデルパフォーマンスコンソール

5. 推論をスケジュールする
それでは、リアルタイムデータを分析しましょう。[Schedule Inference] (推論をスケジュールする) を選択して、入力用の S3 バケットを設定します。

入力 S3 バケットのセットアップ

また、実際には推論頻度と同じである [Data upload frequency] (データのアップロード頻度) と [Offset delay time] (オフセット遅延時間) も設定できます。Lookout for Equipment は推論の結果を出力するので、[Output data] (出力データ) を設定する必要があります。

推論を出力する S3 バケットのセットアップ

Amazon Lookout for Equipment のプレビュー版は本日からご利用いただけます
Amazon Lookout for Equipment のプレビュー版は、本日から米国東部 (バージニア北部)アジアパシフィック (ソウル)、および欧州 (アイルランド) でご利用いただけます。ドキュメントは、こちらからご覧ください。

– Kame